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FIT2013第12回情報科学技術フォーラム 開催日:2013年9月4日(水)~6日(金) 会場:鳥取大学鳥取キャンパス
イベント企画
環境問題とサイバーワールド~身近な問題にどうやって取り組むか~
9月6日(金)09:30-12:00
第1イベント会場 (共通教育棟 A棟 2F A20 大講義室)
【セッション概要】PM2.5や黄砂の飛来といった国を越境する広いスケールの大気環境問題や、アオコや赤潮の大発生・シジミや赤貝の漁獲減少など、景観や食生活に直結する水環境問題に対する関心が高まっている。それらの発生メカニズムの解明や対策・対応の取組みでは、サイバーワールドにおける環境モニタリングやシミュレーション等の技術の相互連環への期待が大きい。そこで、本特別企画では、広域越境大気汚染に関する研究者、乾燥地における環境評価の研究者、および、水環境モニタリングの研究者をお呼びし、環境問題への技術的な取り組みについてサイバーワールドの観点から俯瞰することにより、学際的な展望を得る。
司会:川喜田 裕之(日本放送協会 放送技術研究所 次世代プラットフォーム研究部 研究員)
  【略歴】2004年東京工業大学大学院理工学研究科修士課程修了。同年、NHK入局。広島放送局にて放送波の受信技術業務に従事し、2007年放送技術研究所配属。放送コンテンツのアクセス制御方式の研究を経て、現在は放送通信連携における端末連携の研究に従事。気象予報士。電子情報通信学会、映像情報メディア学会、日本気象予報士会に所属。
09:30-10:00 講演-1 日本のPM2.5の現状と数値シミュレーションの課題
菅田 誠治(独立行政法人国立環境研究所 地域環境研究センター 都市大気環境研究室 主任研究員)
【講演概要】今年の1月以降、PM2.5(微小粒子状物質)の高濃度問題がニュース等で大きな話題になりました。PM2.5の環境基準は2009年に定められたばかりで、検証に使える観測データも多くありませんが、今年の1月2月の高濃度事例がここ数年と比べてどうであったのか、観測から解るPM2.5の経年変動や季節変動について紹介します。大気中物質の高濃度の原因を探るには、観測データ以外に化学輸送モデルを用いた数値シミュレーション等が有力な助けになります。化学輸送モデルを用いて何が解るのか解らないのか、モデルの概要と、どこに改良の余地が大きいと考えられるのか等についても紹介します。
  【略歴】1993年京都大学大学院理学研究科博士後期課程(気象学)単位取得退学、総理府環境庁国立環境研究所大気圏環境部研究員。同年11月に博士(理学)取得。1998年10月から1年間、科学技術庁長期在外研究員として米国EPA国立暴露研究所。2007年内閣府の総合科学技術会議事務局に研修出向。現在は(独)国立環境研究所地域環境研究センター都市大気環境研究室主任研究員、筑波大学生命環境科学研究科連携大学院准教授。専門は大気中物質輸送。所属学会は日本気象学会、大気環境学会、American Geophysical Union。
10:00-10:30 講演-2 東アジア黄砂発生監視システムの開発
木村 玲二(鳥取大学 乾燥地研究センター 准教授)
【講演概要】黄砂(ダスト)の発生源であるモンゴル・中国の乾燥地域において、ダスト発生モニタリングに関する観測ステーションを設置し、春季における黄砂の発生と地表面の状態の関係に関するデータを得ることに成功した。その結果、黄砂の発生に対する植生(特に枯れ草)や土壌水分の効果が観測によって明らかにされるとともに、ダストの発生と地表面状態の関係について衛星データを用いて定式化し、黄砂被害の軽減資料として役立つ「黄砂ハザードマップ」の試作品を公表した。
  【略歴】専門は気象学。1999年3月東北大学大学院理学研究科博士課程修了後、1999年4月、岡山大学資源生物科学研究所非常勤講師に採用。1999年8月、琉球大学理学部物質地球科学科助手に着任し、2001年4月、鳥取大学乾燥地研究センター講師に転任。2007年4月、現職(准教授)。所属学会は日本気象学会、日本農業気象学会、水文水資源学会。1999年7月、日本農業気象学会奨励賞受賞、2003年3月、鳥取大学科学研究業績表彰。

10:30-11:00 講演-3 マルチプラットフォームによる汽水域環境モニタリング技術の現状と課題

作野 裕司(広島大学 大学院工学研究院エネルギー・環境部門 助教)
【講演概要】近年、宍道湖・中海や東京湾奥のような汽水域(海水と淡水が入り混じる水域)では、赤潮、青潮、アオコ、水草等の大発生と連動して、悪臭や景観悪化、またシジミに代表される水産物が収穫できなくなるような環境問題が各地で発生しています。本講演ではこのような環境問題をいくつか取り上げ、そのような環境問題を解決するにあたっての第一歩である環境モニタリング技術について解説します。特に、ここ数年、東日本大震災等の経験を経て、急速に発達したラジコンヘリ、気球、航空機、人工衛星等のマルチプラットフォーム(撮影機器を載せる様々な飛行体)を利用した面的観測・データ処理技術について詳しく紹介します。  講演資料はこちら
  【略歴】1994年3月鳥取大学教育学部小学校教員養成課程卒業、1996年3月島根大学大学院理学研究科地質学専攻修士課程修了、2000年3月東京大学大学院工学系研究科地球システム工学専攻博士課程修了、博士(工学)、2000年10月広島大学工学部助手、2010年4月広島大学大学院工学研究院助教、現在に至る。専門はリモートセンシング工学。現在は主に湖沼、サンゴ礁の水質、藻場モニタリング研究が主体。
11:10-12:00 パネル討論 きれいな水と空気が当たり前と思ってはいけない!
                ~環境問題を解決する技術のあり方を、技術、社会、人の立場から議論する~
【パネル討論概要】我々の生活を取り巻く環境の中でも水と空気は最も重要な要素の一つである。本パネルセッションでは、環境問題を解決するICT技術に関し、これら二つの要素に着目し議論を行う。前半は、各種要素に共通の課題と、要素固有の課題に分けて、解決すべき問題の本質を探る。その中で、シミュレーションによるアプローチと、現場指向のアプローチの限界と可能性についても言及する。後半は、技術を創り出す側と、利用する側の両方の立場から、技術のあるべき姿を議論する。環境問題という現象の客観化、問題を解決する技術の実現、社会制度としての技術運用、および、ユーザの意識改革と享受する恩恵、の面から多角的な議論を行う。
司会:井原 雅行(日本電信電話株式会社 NTTサービスエボリューション研究所 主幹研究員)
  【略歴】1994年東工大・修士了。同年、NTTヒューマンインタフェース研究所入所。人間の好みのモデル化、価値観共有、ヒューマンアフォーダンスの研究等に従事。近年は次世代ブラウザを用いた災害時向け情報共有技術の研究に取り組む。2002-2003年加国New Media Innovation Centerおよびブリティッシュコロンビア大学にて客員研究員。現在NTTサービスエボリューション研究所主幹研究員。工学博士。ACM、電子情報通信学会、情報処理学会、画像電子学会各会員。
パネリスト:菅田 誠治(独立行政法人国立環境研究所 地域環境研究センター 都市大気環境研究室 主任研究員)
  【略歴】1964年生まれ。1993年京都大学大学院理学研究科博士後期課程(気象学)単位取得退学、総理府環境庁国立環境研究所大気圏環境部研究員。同年11月に博士(理学)取得。1998年10月から1年間、科学技術庁長期在外研究員として米国EPA国立暴露研究所。2007年内閣府の総合科学技術会議事務局に研修出向。現在は(独)国立環境研究所地域環境研究センター都市大気環境研究室主任研究員、筑波大学生命環境科学研究科連携大学院准教授。専門は大気中物質輸送。所属学会は日本気象学会、大気環境学会、American Geophysical Union。
パネリスト:木村 玲二(鳥取大学 乾燥地研究センター 准教授)
  【略歴】専門は気象学。1999年3月東北大学大学院理学研究科博士課程修了後、1999年4月、岡山大学資源生物科学研究所非常勤講師に採用。1999年8月、琉球大学理学部物質地球科学科助手に着任し、2001年4月、鳥取大学乾燥地研究センター講師に転任。2007年4月、現職(准教授)。所属学会は日本気象学会、日本農業気象学会、水文水資源学会。1999年7月、日本農業気象学会奨励賞受賞、2003年3月、鳥取大学科学研究業績表彰。
パネリスト:作野 裕司(広島大学 大学院工学研究院エネルギー・環境部門 助教)
  【略歴】1994年3月 鳥取大学教育学部小学校教員養成課程卒業、1996年3月 島根大学大学院理学研究科地質学専攻修士課程修了、2000年3月 東京大学大学院工学系研究科地球システム工学専攻博士課程修了、博士(工学)、2000年10月広島大学工学部助手、2010年4月 広島大学大学院工学研究院助教、現在に至る。専門はリモートセンシング工学。現在は主に湖沼、サンゴ礁の水質、藻場モニタリング研究が主体。