
抄録
RE-001
奏者の意図したテンポ変動の推定に基づく演奏録音の自動伸縮修正法
◎小泉悠馬・伊藤克亘(法大)
低熟練度奏者による演奏には,意図的な変動である「真のテンポ曲線」と意図していない変動である「奏法誤差成分」の2種類のテンポ変動成分が含まれる.本稿では,奏法誤差成分を含んだ演奏から真のテンポ曲線を推定し,真のテンポ曲線を用いて,音響信号から自動的に奏法誤差成分を除去する楽音修正法を提案する.人間の聴覚特性を考慮した発音時刻推定法により発音時刻を推定し,多項式回帰を用いて真のテンポ曲線を推定する.真のテンポ曲線を用いて振幅スペクトログラムを伸縮することにより,楽音を修正する.聴取実験により,修正前および修正後の,目標演奏からのリズムの近さを評価した結果,修正後の評点に有意な上昇が認められた.