◎木下　僚（東大）・高須淳宏・安達　淳（NII）

実世界とサイバー空間の結合によって効率的な社会の実現を目指すサイバーフィジカルシステムにおける一つのアプリケーションとして，本論文では自動車の走行データから道路状態を推定する．まず，混合ポアソンモデルを用いて道路状態をモデル化する．各道路区間の精緻な推定を行いながら統計的に有意な結果を得るため，本論文の道路状態モデルではポアソン分布を階層的に混合する．続いて，モデルパラメータであるポアソン分布のパラメータと各道路での混合比率を推定する．EMアルゴリズムを用いるモデルパラメータの最尤推定法を導き，過去の実際の観測データから道路状態を推定する．過去のデータ全体を使って推定された道路状態は各道路の平均的な状態を表していると考えられ，各種の応用が期待できる．