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FIT2013第12回情報科学技術フォーラム 開催日:2013年9月4日(水)~6日(金) 会場:鳥取大学鳥取キャンパス
抄録
N-005
線形回帰分析による「漢字の将来」の予測(1963)と50年後の漢字使用率の実際 ~分析方法と結果の再検討、および統計教育への教訓~
綾皓二郎(石巻専修大)
計量言語学者の安本美典は「漢字の将来―漢字の余命はあと二百三十年か―」という論文を発表した(言語生活、第137号、pp.46-54、1963)。この論文は、国立国語研究所言語計量研究部長を務めた野村雅昭が漢字の将来を論ずるときの基本文献としているように(『漢字の未来』1988,2008)、その後の日本語表記論に大きな影響を及ぼした。本報告では、この論文における安本の最小二乗法を用いた回帰分析と結果を再検討して、問題点と統計的手法の誤りを指摘する。回帰分析法は、実験や卒業研究で頻繁に使われる統計的手法であり、安本の分析と論理は、今日の統計・情報教育への有益な教訓を含んでいる。