○三好孝治（広島工大）

近年、地域の歴史や文化を学ぶ目的の歴史散策が頻繁に開催されている。本稿では、iPadを活用した親しみやすく歴史学習効果のある町歩きの一手法を提案する。今回事例とする宮島の町屋通りは、料理屋、土産物屋で賑わう浜通りから一筋山側に入った通りであり、かつては町の中心であった。iPadの画面に表示された宮島に伝わる吉田家絵図、厳島図絵、商いの様子が描かれた絵、およびその説明文により、現在は静かな環境を保つ町屋通りの江戸期の賑わいを想像しながら町歩きをおこなう。絵図に記された屋号から商いの種類を知り、当時の町の様子を把握する点、また現代地図と切り替えながら歩き、町の変遷を知ることができる点が特徴である。