
抄録
I-004
運動錯視の知覚に関する視覚特性に基づく基礎的検討
◎新井 駿(電機大)・井ノ上寛人(日本学術振興会)・鉄谷信二(電機大)
静止画であるにも関わらず持続的な運動が知覚されることがあり,そのような錯覚を引き起こす運動錯視がある.錯覚の仕組みについては,多くの研究報告があるが,現時点ではまだ不明瞭な点も多い.代表的な運動錯視の,「蛇の回転」は,フレーザー・ウィルコックス錯視群に分類されるが,その生起メカニズムについては,現在までに,伝達速度説と眼球運動説の2つの仮説がある.しかし,これらの仮説は,フレーザー・ウィルコックス錯視群のすべての特性を説明するには至っておらず,より本質的な要因について検討していく必要がある.本研究では,運動錯視の空間周波数と錯視量の関係に注目して検証した実験結果について報告する.