
抄録
C-023
トランザクショナルメモリを実現するスヌープキャッシュの遅延更新プロトコル
◎一井世界・布目 淳・平田博章・柴山 潔(京都工繊大)
並列プログラミングにおける排他制御のための機構としてトランザクショナルメモリが注目されている.その実現において,トランザクション中に更新するデータをキャッシュに記憶する方式では,アボート処理に時間はかからないがコミット処理に時間がかかる.一方,更新する前のデータをログとして記憶する方式では,逆に,コミット処理に時間はかからないが,アボート処理に時間がかかる.本稿では,前者の方式においてコミット時の更新データのメモリへの書き戻しを,実際にそのデータへのアクセスがあるまで遅らせることにより,アボート処理だけでなくコミット処理も高速に行う方式を提案する