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映像符号化の最新動向 ~HEVC標準化~
9月6日(金)13:00-15:00
第1イベント会場 (共通教育棟 A棟 2F A20) 
【セッション概要】最新の映像符号化標準規格であるHigh Efficiency Video Coding(HEVC)は、そのポテンシャルの高さから、映像処理分野にパラダイムシフトを起こす可能性を秘めた技術として、産業界から熱い期待を集めている。本企画では、標準化の経緯、技術概要、今後の展望等、HEVCの最新の技術動向に関する講演を通して、FIT参加者への情報提供の場としたい。
司会:坂東 幸浩(NTTアドバンステクノロジ株式会社 アプリケーションソリューション事業本部 担当課長)
  【略歴】2000年から2002年、日本学術振興会特別研究員。2002年、九州大学大学院システム情報科学研究科 博士後期課程修了。同年、日本電信電話株式会社 入社。NTTサイバースペース研究所にて、次世代映像フォーマットのための高能率符号化アルゴリズム研究等に従事。2011年より、現職。2008年FIT船井ベストペーパー賞、2012年情報処理学会 長尾真記念特別賞、2013年船井情報科学振興財団 船井学術賞等受賞。博士(工学)。
13:00-13:30 講演-1 HEVC技術解説[予測処理]
坂東 幸浩(NTTアドバンステクノロジ株式会社 アプリケーションソリューション事業本部 担当課長)
【講演概要】HEVCにおいて用いられるイントラ予測、インター予測に関して概説する。HEVCにおいて導入されたイントラ・インター予測処理に関する新技術は、(1)予測誤差の低減、(2)予測処理に用いる符号化パラメータの表現の高能率化、に大別できる。(1)としては、インター予測におけるブロックサイズの多様化、小数画素精度の参照画像生成の高精度化、およびイントラ予測における予測処理の多方向化等がある。(2)としては、インター予測における動きベクトルの時空間予測、類似した動きベクトル群に対する統合的な表現、およびイントラ予測における色チャネル間の予測モードの参照機構等がある。本講演では、こうした予測処理に関するアルゴリズムを解説する共に、H.264/AVCとの比較を通して、
HEVCにおける新規採用技術の効果等について概説する。
  【略歴】2000年から2002年、日本学術振興会特別研究員。2002年、九州大学大学院システム情報科学研究科 博士後期課程修了。同年、日本電信電話株式会社 入社。NTTサイバースペース研究所にて、次世代映像フォーマットのための高能率符号化アルゴリズム研究等に従事。2011年より、現職。2008年FIT船井ベストペーパー賞、2012年情報処理学会 長尾真記念特別賞、2013年船井情報科学振興財団 船井学術賞等受賞。博士(工学)。
13:30-14:00 講演-2 HEVC技術解説[直交変換符号化と量子化処理]
市ヶ谷 敦郎(日本放送協会 放送技術研究所 専任研究員)
【講演概要】HEVCにおいて用いられる直交変換符号化の仕組みと量子化処理について解説する。HEVCではイントラ符号化において直交変換としてDCTに加えてDSTが採用された。また、スクリーンコンテンツと呼ばれる人工的なCG画面などの効率的な符号化を実現するための変換スキップなどの新たな符号化処理について解説する。変換係数および残差信号の量子化処理について併せて解説する。
  【略歴】1998年NHKに入局。2000同放送技術研究所にて映像圧縮符号化などの研究に従事。HEVC標準化活動に寄与。
14:00-14:30 講演-3 HEVC技術解説[ループ内フィルタ処理]
蝶野 慶一(日本電気株式会社 情報・メディアプロセッシング研究所 主任研究員)
【講演概要】HEVCのループ内フィルタ処理は、ブロック歪を低減するデブロッキング・フィルタとリンギングを低減するサンプル・アダプティブ・オフセットによって構成されている。デブロッキング・フィルタは、AVCのデブロッキング・フィルタの改良発展であり、その並列処理に適した設計が大きな特徴となっている。一方、サンプル・アダプティブ・オフセットは、AVCには存在しない新たなループフィルタ方式であり、その画素単位適応処理が大きな特徴となっている。本講演では、それぞれのループ内フィルタ処理のアルゴリズムと効果を解説する。
  【略歴】2001年、九州大学大学院システム情報科学研究科修士課程修了。同年、NEC入社。2007年から2008年まで、Stanford大にて客員研究員。現在、情報・メディアプロセッシング研究所に勤務。主に、動画像符号化技術に関する研究開発に従事。
14:30-15:00 講演-4 HEVC技術解説[エントロピー符号化]
服部 亮史(三菱電機株式会社 情報技術総合研究所 映像情報処理技術部 担当)
【講演概要】最新の映像符号化国際規格であるHigh Efficiency Video Coding(HEVC)において用いられているエントロピー符号化の技術について解説する。HEVCでは、エントロピー符号化手法として、AVCにも採用されているCABAC(Context-based Adaptive Binary Arithmetic Coding) が採用されている。HEVCではコンテキスト情報の導出処理の簡易化や、バイパス(固定確率)モードの適用範囲拡大、加えて並列処理を考慮した処理の導入により、より高いスループットの処理が可能となっている。本講演では、HEVCのエントロピー符号化技術の概要およびAVCからの改善点について解説する。
  【略歴】2009年、九州大学大学院システム情報科学府知能システム学専攻修士課程修了。同年、三菱電機(株)入社。現在、三菱電機(株)情報技術総合研究所にて画像符号化技術の研究開発に従事。