アクレディテーション委員会ソフトウェアエンジニアリング分科会 第2回議事録 日時: 1999年10月26日(火)14:00〜17:00 場所:(社)情報処理学会会議室 出席者:松本(大阪工大)、阿草(名大)、大岩(慶大)、高橋(拓大)、 上原(富士通)、角(日立)、小林(東芝)、宮下(日電)、 吉村(管理工学研究所)、嶋(三菱総研)、原田(アルゴテクノス)、 鍛治(JIPDEC)、玉井(東大)、沢田(京大)、木村(日立)記 事務局: 柳川(情報処理学会) 配布資料: No.99-2-1 ソフトウェアエンジニアリング分科会平成11年度第2回委員会次第 No.99-2-2 ソフトウェアエンジニアリング分科会平成11年度第1回議事録 No.99-2-3 情報処理学会・アクレディテーション委員会ソフトウェア エンジニアリング分科会・第2回委員会資料 No.99-2-3A ソフトウェアエンジニアリングアクレディテーションのイメージ No.99-2-3B 学部で教えているソフトウェアエンジニアリング・ディシプリン例 No.99-2-4 日本技術者教育認定基準試行案(1999.10.8手順・マニュアルWG) No.99-2-5 国際的技術者の登録The Engineer Mobility Forum(EMF)協定 No.99-2-6 高校教育/大学教育/高度情報化人材教育のスキル水準の相互関係 No.99-2-7 Building a foundation for tomorrow-Skill standard for Information Technology-(NWCET)(抜粋コピー) No.99-2-8 調査報告:米国におけるベンチャー起業と育成について (広島市立大学 大場充) 1. 前回議事録の確認 2. 報告事項 2.1 JABEEの発足準備状況   当初の予定より少し発足が遅れているが、現在、11月19日設立(総会) に向けて備作業が進められている。 2.2 アクレディテーション委員会活動報告   (大岩委員より)  JABEE関係の対応に力を注いでいる。現在の日本の情報工学はプログラム を作れる経験を重んじていない。教官の評価も論文を書くことでしか評価さ れないし、他人が使うプログラムを書いたことがない。それを要求すべきだ と考えている。  また、学生がソフトウェア開発のプロジェクトをするとしてそれを指導で きなくてはならない。そういった事をふまえて、ソフトウェア作成について 実務経験のある人を教員の構成の中に1人は含めるための定義、技術者の育 成能力の定義などについて議論している。  ソフトウェアエンジニアリングの場合には、実務経験のある教員の数がもっ と多くなると考える。 2.3 その他 ・高校教育/大学教育/高度情報化人材教育のスキル水準の相互関係(鍛治委員)   2001年に高等学校で情報A〜C(1つ選択、各58時間)の教育が開始され、  情報化に対応する「能力」と「態度」を育てることになっているが、これ  を教える教員がいない。間に合わなければ社会人を臨時に雇って実施する。   「高度情報処理技術者」のカリキュラムは、大学院の3分の1を網羅して  いると考える。「高校情報系学科」カリキュラムは、第II種カリキュラム  とはほぼ同じと考えているが、「高校情報系学科」の第8〜11(「モデル  化とシミュレーション」、「コンピュータデザイン」、「図形と画像の処  理」、「マルチメディア表現」)などの新しいものは、入っていない。   「高度情報化人材」カリキュラムから、英語と数学は落とした。 ・米国他での技術の標準化動向(鍛治委員)   米国ではDOL(Department Of Labor)が2000年での職場はどうなっているか  をまとめてSCANSとしてまとめている(資料99-2-7 p.4)。これによって  実社会で必要なスキルがわかる。   それをもとに NWCET(NorthWest Center for Emerging Technologies)  が情報技術に関する Skill standard をまとめている  (URL:http://nwcet.bcc.ctc.edu/products/preview_ITSS.htm)。   また、シンガポールの Polytechnic (3年制の専門学校、17才〜19才の  生徒)では米国の大学レベルの高いレベルのカリキュラムで授業が行われ  ている。 3. 審議事項 3.1今年度分科会作業案 (1)幹事側からの作業案  ・分科会として目標とする「新しい技術者」の確認  ・日本において、どの時点で、どのような形で、ソフトウェアエンジニア   リングという独立した専門職業を確立するのが妥当かの確認  ・ソフトウェアエンジニアにアウトソーシング可能な業務の分析  ・プロフェショナルが具備すべき資質、実績の分析  ・ソフトウェアエンジニアを目指す学生が習得すべき知識 (2)幹事案に対する質疑応答  ・JABEEは対象を「大学等」としているが、専門学校も入るのか?    議論されていない。  ・『JABEEは、「新しい技術者」を志す人材を教育するプログラム(組織   体ではない)を対象としている』(資料99-2-3 p.1)とあるが、プログ   ラムは教官を含むのか?    例えば、非常に大きな学科があったとき、学科自身を評価するのでは    なく、ソフトウェアエンジニアのように部分的な組織が評価の対象と    なる。  ・情報処理学会は日本の産業を良くするという意図で始めているが、通産   省は、米国とコンパチブルであることを望んでおり矛盾が有る。文部省   はその矛盾を解決するよう財政的手配をすると言っているが難しいと思う。    日本の産業を良くするためにこの活動をするのか、ワシントンアコー    ドのためにするのか方針を決めて進めていってほしい。  ・米国からの提案の背景は?    よくわかっていないが、IEEEの中でもソフトウェアエンジニアリング    はプロとして認められていないという状況で、各国の支援が欲しいと    いうことだと考えている。この分科会が発足する以前にIAB(Industry    Advisory Board)に3万ドル出して加入しないかという提案があったが、    資金不足ということで断っている。    必要であるならば、理事会として通産省とかにお願いをしていくべき    だろう。  ・JABEEの分野別基準というのは、情報処理学会が設定しろと言われてい   るのか?    JABEEは日本工学教育協会と日本工学会とが中心となって海外で日本    の技術者が仕事が出来なくなるのを防ぐためにも制度を作りたいとい    うことで始めたというのが1つある。    当初日本では表層的なことで対等であることを示そうとしたが、米国    アクレディテーションは教育をまじめにやっている人が報われるように    きちんとやっていることが分かってきて本気になった。  ・分野別基準についてはどう考えるのか?    ワシントンアコードのこともあるが、現状のカリキュラムでどこも受    からないような基準を設定しても意味が無いと考えている。    カリキュラム自身は小さく、どこでも対応可能なものとなっている。    ただ、ものを作った経験が有る先生が少ないということがアクレディッ    トするときに問題なのではないか。ということで、先ほどの本当にソ    フトウェアが作れる人材が教員に含まれるようにという話が出てきた。    米国の基準と日本の基準とは1対1対応ではないが、そう変わらない。    かつて、米国は日本に負けたのは、もの作りの教育が弱かったからと    いうことで、デザインの教育をどうするかで必死になっているが、    一方で、日本はどんどん衰退していっている。これを何とかしたいと    いうのが吉川さんの思い。  ・分科会のミッションとしてソフトウェアという分野のカリキュラムない   しは基本となる部分を設定することをもとめられているのか、あるいは、   幹事で用意したように、もう少し広げて、プロフェショナルが成立する   ための用件とか現状を調べていくのが良いと考えるのか。    日本のソフトウェア産業を良くしていく・競争力強化のために大学が    出来ることは何なのかをはっきりさせることが一番大事だと思う。    それと同時にそれを実行していくこと。ワシントンアコード等も考え    つつも、実行可能であり、大学にもメリットがあり、何よりも企業が    力を付ける・企業にとってうれしいようなシステムを作っていくこと    が大事。アクレディテーションで大事なのは論文ばかりでなく教育の    出来る人が教官としていられる人事制度を作ることだと思う。そのた    めには、評価が大事。評価するためには何をしなくてはならないか、    どういう風に教えて、どういう実績が上がったか評価できて、皆が納    得するような仕組みを作る。  ・ソフトウェアエンジニアリングをちゃんとやるためには、学部でCSをしっ   かりやっていかないと出来ないと思う。    CSとの関係をどうのように持つべきかをクリアーにする必要がある。    CSの卒業生は今後は少なくなって、SEがもっと必要になり、    ITエンジニアはもっともっと必要になると思う。  ・ソフトウェアエンジニアリングは今、曲がり角にきているのではないか。    従来のSEから新しいSEに脱皮していくときに脱皮可能なSEとしてのター    ゲットはどうなのかと言う点について、大学側も悩んでいるし、産業    側も悩ましいところなのではないか。その辺も皆さんに教えてもらい    たい。  ・スキルという言葉は技能と訳すが、技能を技術より下のものと見る意識   があり、その結果が企業でもスペックだけ作っていてものを作れないと   かいろいろなことが起こっているのではないか。スキルを単なる技能から脱   皮させて、何かプラスアルファしたものにしていく必要がある。  ・SEは現場を知らないといけない。どういうことが出来る人がプロフェショ   ナルなのか人材像がよく見えない。    米国では自分がプロと宣言したらプロであり、それで飯を食っていく    ところで自分はxxを知らなかったというところで学問が生まれてい    る。日本は逆になっている。SEもこれこれのことを知っていることと    いうよりも、何を知らないと使い物にならないかを調べた方がよいか    も。企業の方でこういうことを知っていてもらわねばということが    minimum requirement になるのでは。  ・仕掛けにこだわる人は価値が高いと考える。APソフトを作りやすい人   (会計など業務知識のある人)を採用している。ソフトの作り方は入社   後教えている。  ・他人が使うプログラムを作るときには、コミュニケーションをどのよう   にとるかが大切だと思う。要求分析の方法論だけ学んでも無理がある。   他人が使うソフトの制作には、作成者自身が使う場合に比べて数倍のコ   ストがかかる。  ・米国のソフトウェアラボだと、先生が請け負ったソフトを学生に作らせ   ている。    日本も無駄な実験ばっかりやっていないで実質的なものをやったほう    がよい。  ・ハッカーがいてお客さんの使用に耐えるソフトを作ってしまうが、ソフ   トウェアエンジニアリングとは別の世界になってしまっていて、SEがど   ういう場合に役に立つかを教えるのは難しい。成功例、失敗例の話も学   生には役に立つのでは。  ・日立の技術研修所では、1年で24名(30歳程度、実務経験5-6年を対象)   にSEコースを実施している(実質48日)。米国から先生を呼んできて   1チーム4人で、チューターが1人つく形でソフトウェア工房(Hut)を編成   し、要求スペックを聞いて第1版を作成する。第2版を作成するときにグ   ループ間でローテーションをして、他のグループの第1版をもとに、第   2版の作成を行う。   トップ1割を翌年のチューターとして2年やらせる。そうすると初めて、   オリジナルソフト作成のイメージが湧いてくる。SEはそれくらい難しい。   ディベート、インタビュー、ドキュメンテーションは難しい。 3.2その他  次回、12月21日(火)14:00〜17:00  今回の議論をもとに本分科会の活動計画の案を幹事側で作成する。