情報処理学会第74回全国大会 会期:2012年3月6日(火)~8日(木) 会場:名古屋工業大学 一般社団法人情報処理学会 第74回全国大会 会期:2012年3月6日(火)~8日(木) 会場:名古屋工業大学
大学認証基盤の運用経験から見えてきた効用と課題

日時:3月7日(水)9:30-12:00
会場:第1イベント会場 (51号館 1F 5111)

【セッション概要】ICT技術の発達に伴い、大学運営の基盤として、さまざまな大学で認証基盤が導入され、運用されている。しかし、その利用形態として、LDAPによる認証統合から、LMSやポータルを含む種々のICTシステムへのシングルサインオン、Sibbolethや学認を用いた学外認証フェデレーションまで多岐にわたる。本パネル討論では、各大学における認証基盤の現状と利用形態について紹介して頂いた後、認証統合の効用と課題について討論する。

司会:松尾 啓志 (名古屋工業大学 大学院工学研究科情報工学専攻・情報基盤センタ 教授,附属図書館長,情報基盤センター長)
【略歴】1989年名古屋工業大学大学院電気情報工学専攻修了。同年,名古屋工業大学電気情報工学科助手。講師、助教授を経て2003年名古屋工業大学電気情報工学科教授。現在,情報工学科教授,付属図書館長,情報基盤センター長,全学情報システム統括責任者(CIO)補佐。
9:30-9:55 講演-1 名古屋工業大学におけるPKI・ICカード認証の運用5年間の経験から
内匠 逸 (名古屋工業大学 大学院工学研究科情報工学専攻・情報基盤センタ 教授,ネットワーク・セキュリティ部門長)
【講演概要】名古屋工業大学では、2007年3月より学生証、職員証として接触・非接触のデュアル型ICカードを導入した。スマートカードログオン、SSO、VPNやワークフローの認証を安全に行うことを目的として、そのICカードに電子証明書を格納し、PKI認証を行うこととした。2007年2月にプライベート認証局を設置し、継続的に電子証明書を発行してきた。このプライベート認証局の選択に関して、コスト、ICカードの紛失時の対応、ICカード再発行作業、電子証明書の失効などの側面から総括する。また、この5年間における認証局やICカードを取り巻く社会環境の変化について述べ、これからの数年間で大学の研究者がなすべきことについて考える。
【略歴】1982年名古屋工業大学電子工学科卒業。同大学院、沖電気工業(株)を経て、1986年名古屋工業大学電気情報工学科助手に着任。以来、教育とディジタル信号処理・通信の研究の傍ら、学内ネットワークの構築と運用に従事。2002年から4年間、名古屋工業大学ネットワークセンター長。2003年から情報工学専攻教授。2006年から情報基盤センタネットワーク・セキュリティ部門長を兼務。
 
9:55-10:20 講演-2 認証統合を起点とした情報基盤整備:佐賀大学の事例
只木 進一 (佐賀大学 総合情報基盤センター 総合情報基盤センター長、教授)
【講演概要】組織業務にあって、情報化の目的・効果は、業務の効率化ではない。異なるシステムが持っている情報を紐づけることによって,新しい情報,新しい価値,新しいサービスを生み出すことが真の目的・効果である。大学においては,教員や学生などの教育研究の基本単位でのデータの紐づけから,大学の教育・研究・組織業務の活性度・成果を見えるようにすることが重要である。佐賀大学では,図書館利用者と一般情報処理教育対象者を紐付けることで,学生と教員に学術情報基盤のシームレスなサービスを提供することを出発点に,認証統合を構築してきた。その過程で,教務と人事からの情報を統合し,基礎的な大学構成員のデータベースとその運用体制を構築した。認証基盤の存在は,全学規模での認証ネットワークopengateの構築,教務システム,研究業績システム等のシステム構築を可能とした。2010年にはシングルサインオン機構の導入により,ネットワークへのPC接続が,基幹情報システムへのゲートウェイとなるシステムへと発展した。本講演では,認証基盤整備が情報基盤整備の核となることを事例によって紹介する。
【略歴】1959年、北海道旭川市生まれ。1987年、東北大学理学研究科物理学第二専攻修了、理学博士。日本学術振興会特別研究員(京都大学理学部)を経て、1990年、佐賀大学理工学部情報科学科(現:知能情報システム学科)助教授。2000年、同教授。2000年10月、佐賀大学学術情報処理センター(現:総合情報基盤センター)教授。2006年より、佐賀大学総合情報基盤センター長。統計力学、計算科学、学術情報システムを専門とする。
 
10:20-10:45 講演-3 岡山大学における生涯IDとGmailサービスの開発と運用
稗田 隆 (岡山大学 情報統括センター 情報統括センター長、教授)
【講演概要】岡山大学は2009年4月よりGmailの全学サービスを開始した。また、学生番号、職員番号に代えて生涯に亘って利用可能なID(生涯ID)を2010年度より統合認証基盤サービスとして提供している。Gmail認証、学内の各種サービス認証には、NIIの学術認証フェデレーションと連携可能なShibbolethを中心に、生涯IDによるSSOサービスを提供している。なお、生涯IDはランダムな英数字のため各個人が覚えやすい任意の別名を設定、別名を用いた認証を実現している。現在、3年目に入っている学生Gmailは,平均4000件/日(延べ数)の利用状況である。今後、統合認証基盤サービスのオープンな属性、権限管理とGoogleの各種サービスを連携させ学内のICT利用を推進している。
【略歴】1978年3月、熊本大学修士課程修了。同4月日本電信電話公社、横須賀電気通信研究所入社。主に、大型計算機の設計、実用化に従事。その後、NTT社内システムの開発、運用に従事。2004年4月、NTTアドバンステクノロジ株式会社入社。主に、お客様に向けた各種ICTシステムの受託開発に従事。2008年4月、岡山大学非常勤講師(客員教授)。2010年5月、岡山大学情報統括センター就任。同6月、情報統括センター センター長(現職)。
 
10:45-11:10 講演-4 名古屋工業大学における統一データベースの開発と運用
齋藤 彰一 (名古屋工業大学 大学院工学研究科情報工学専攻・情報基盤センタ 准教授)
【講演概要】名古屋工業大学では、2007年4月より大学構成員の情報を統一管理するデータベースの運用を行っている。このデータベースは、学内情報システムにユーザ情報を提供するとともに、ICカードの基礎情報の発行、ADやLDAPなどへのユーザ情報の登録などユーザ認証の情報を管理している。さらに、学内構成員のさまざまな属性情報を集約し、必要な教職員や学生に提供する学内情報共有基盤の中核としての役割を併せ持っている。情報の共有は、情報収集のためのコスト削減と、情報の劣化を抑制する効果がある。本講演では、名古屋工業大学における統一データベースの概要と運用状況について述べる。
【略歴】1993年立命館大学理工学部情報工学科卒業。1998年同大学大学院博士後期課程単位習得退学。同年和歌山大学システム工学部情報通信システム学科助手。2003年同講師,2005年同助教授。2006年名古屋工業大学大学院助教授,2007年同准教授.現在に至る。オペレーティングシステム,インターネット,セキュリティなどの研究に従事。博士(工学),ACM,IEEE-CS 各会員。
 
11:10-12:00 パネル討論
司会: 松尾 啓志 (名古屋工業大学 大学院工学研究科情報工学専攻・情報基盤センタ 教授,附属図書館長,情報基盤センター長)
【略歴】1989年名古屋工業大学大学院電気情報工学専攻修了。同年,名古屋工業大学電気情報工学科助手。講師、助教授を経て2003年名古屋工業大学電気情報工学科教授。現在,情報工学科教授,付属図書館長,情報基盤センター長,全学情報システム統括責任者(CIO)補佐。
パネリスト:内匠 逸 (名古屋工業大学 大学院工学研究科情報工学専攻・情報基盤センタ 教授,ネットワーク・セキュリティ部門長)
【略歴】1982年名古屋工業大学電子工学科卒業。同大学院、沖電気工業(株)を経て、1986年名古屋工業大学電気情報工学科助手に着任。以来、教育とディジタル信号処理・通信の研究の傍ら、学内ネットワークの構築と運用に従事。2002年から4年間、名古屋工業大学ネットワークセンター長。2003年から情報工学専攻教授。2006年から情報基盤センタネットワーク・セキュリティ部門長を兼務。
パネリスト:只木 進一 (佐賀大学 総合情報基盤センター 総合情報基盤センター長、教授)
【略歴】1959年、北海道旭川市生まれ。1987年、東北大学理学研究科物理学第二専攻修了、理学博士。日本学術振興会特別研究員(京都大学理学部)を経て、1990年、佐賀大学理工学部情報科学科(現:知能情報システム学科)助教授。2000年、同教授。2000年10月、佐賀大学学術情報処理センター(現:総合情報基盤センター)教授。2006年より、佐賀大学総合情報基盤センター長。統計力学、計算科学、学術情報システムを専門とする。
パネリスト:稗田 隆 (岡山大学 情報統括センター 情報統括センター長、教授)
【略歴】1978年3月、熊本大学修士課程修了。同4月日本電信電話公社、横須賀電気通信研究所入社。主に、大型計算機の設計、実用化に従事。その後、NTT社内システムの開発、運用に従事。2004年4月、NTTアドバンステクノロジ株式会社入社。主に、お客様に向けた各種ICTシステムの受託開発に従事。平成20年4月、岡山大学非常勤講師(客員教授)。2010年5月、岡山大学情報統括センター就任。同6月、情報統括センター センター長(現職)。
パネリスト:齋藤 彰一 (名古屋工業大学 大学院工学研究科情報工学専攻・情報基盤センタ 准教授)
【略歴】1993年立命館大学理工学部情報工学科卒業。1998年同大学大学院博士後期課程単位習得退学。同年和歌山大学システム工学部情報通信システム学科助手。2003年同講師,2005年同助教授。2006年名古屋工業大学大学院助教授,2007年同准教授.現在に至る。オペレーティングシステム,インターネット,セキュリティなどの研究に従事。博士(工学),ACM,IEEE-CS 各会員。