情報処理学会第74回全国大会 会期:2012年3月6日(火)~8日(木) 会場:名古屋工業大学 一般社団法人情報処理学会 第74回全国大会 会期:2012年3月6日(火)~8日(木) 会場:名古屋工業大学
サスティナブルな次世代社会情報メカニズム

日時:3月6日(火)15:00-17:30
会場:第1イベント会場 (51号館 1F 5111)

【セッション概要】サステイナブルな社会システムを実現するためには、最先端の情報技術が絶対不可欠である。現在、誰もが持っているスマートフォンは、一昔前のスーパーコンピュータ並の計算能力を持ち、さらにほとんどすべてがネットワークに接続されている。人類史上、人間同士のつながりがこれほど密になっている状況はない。道路網や鉄道といった既存の社会インフラの上に、これらの新しい情報技術による社会メカニズムを創造構築していくことで、人や環境に優しく、弾力性のある社会システムを構築することができる。本イベント企画セッションでは、次世代の情報技術を用いた社会メカニズムについて、交通、災害、医療、介護の主要分野からのご講演をいただく。

司会:伊藤 孝行 (名古屋工業大学 産業戦略工学専攻/情報工学科 教授)
【略歴】2000年名工大博士後期課程修了。博士(工学)。2001年北陸先端大助教授。2003年名工大情報工学専攻助教授。2006年名工大産業戦略工学専攻准教授。2009年JSTさきがけ大挑戦型研究員。名工大グリーン・コンピューティング研究所所長、現在に至る。JSPS特別研究員、および、USC、ハーバード大学、MIT、東京大学の客員研究員を歴任。2011年内閣府最先端・次世代研究開発プロジェクト代表研究者。2007年文部科学大臣表彰受賞。情報処理学会長尾真記念特別賞受賞。AAMAS2006最優秀論文賞受賞。2005年日本ソフトウェア科学会論文賞受賞。2004年度IPA未踏ソフトウェア創造事業スーパークリエータ認定。第66回情報処理学会全国大会優秀賞及び奨励賞受賞。マルチエージェントシステム国際財団(IFAAMAS)理事。
15:00-15:10 ご挨拶(名古屋工業大学グリーンコンピューティング研究所のご紹介)
伊藤 孝行 (名古屋工業大学 産業戦略工学専攻/情報工学科 教授)
【略歴】2000年名工大博士後期課程修了。博士(工学)。2001年北陸先端大助教授。2003年名工大情報工学専攻助教授。2006年名工大産業戦略工学専攻准教授。2009年JSTさきがけ大挑戦型研究員。名工大グリーン・コンピューティング研究所所長、現在に至る。JSPS特別研究員、および、USC、ハーバード大学、MIT、東京大学の客員研究員を歴任。2011年内閣府最先端・次世代研究開発プロジェクト代表研究者。2007年文部科学大臣表彰受賞。情報処理学会長尾真記念特別賞受賞。AAMAS2006最優秀論文賞受賞。2005年日本ソフトウェア科学会論文賞受賞。平成16年度IPA未踏ソフトウェア創造事業スーパークリエータ認定。第66回情報処理学会全国大会優秀賞及び奨励賞受賞。マルチエージェントシステム国際財団(IFAAMAS)理事。
 
15:10-15:40 特別講演-1 スマートシティにおけるマルチエージェントシミュレーションの力
中島 秀之 (公立はこだて未来大学 学長)
【講演概要】スマートシティとはITを活用することにより都市機能を高めた、新しい住み良い都市の仕組みを探る試みに付けられた呼称である。我々は広域函館圏を対称としたスマートシティプロジェクトを展開中であるが、本プロジェクトの中心は新しい公共交通網である。公共交通網を動脈とし、様々な都市内サービス(医療、食事、購買、教育など)を有機的に連携させることを目指している。このような都市全体規模の改変を考える場合、通常の小規模実証実験では正しい結果が得られないことが多い。フルデマンドバスは小規模都市でしか有利性が無いという実証実験結果が得られているが、我々の行ったシミュレーションでは逆の結果(大都市程有利)が出ている。今後、大規模システムの実証は、マルチエージェントシミュレーションに頼らざるを得なくなるのではないかと考える。
【略歴】1983年、東大情報工学専門課程修了(工学博士)。同年、電総研入所。2001年より産総研サイバーアシスト研究センター長。2004年より公立はこだて未来大学学長。認知科学会元会長、ソフトウェア科学会元理事、人工知能学会元理事・フェロー、情報処理学会元副会長・フェロー。マルチエージェントシステム国際財団元理事、日本工学アカデミー会員、電子情報通信学会会員、日本学術会議連携会員。未踏ソフトウェア元PM、さきがけ総括。
 
15:40-16:00 講演-1 活動・交通行動シミュレーションによる次世代交通システムの評価
金森 亮 (名古屋工業大学 しくみ領域 特任准教授)
【講演概要】日常生活を円滑に過ごすために、我々は自宅以外で活動を行うために移動する。これは情報化社会、高齢化社会となっても、その時々に応じた都市交通問題が生じ、対処していく必要があることを意味する。次世代交通システムはICT/ITSの進展によって実現されるが、その導入効果を評価するためにはサービス提供化における各個人の活動・交通行動を集約し、交通量やCO2排出量の変化を分析する必要がある。今回は評価モデルの開発事例と名古屋都市圏を対象としたロードプライングやLRT(次世代路面電車)、EV(電気自動車)専用レーンなどの導入評価結果を紹介する。
【略歴】1975年生まれ。2001年名古屋大学大学院工学研究科土木工学専攻修了、修士(工学)。中央復建コンサルタンツ(株)勤務を経て、2007年名古屋大学大学院環境学研究科都市環境学専攻修了、博士(工学)。名古屋大学大学院環境学研究科研究員、東京大学大学院工学系研究科特任助教、名古屋大学大学院環境学研究科特任助教を経て、2011年より名古屋工業大学大学院工学研究科特任准教授。
 
16:00-16:20 講演-2 環境負荷・減災と快適性の評価に基づく都市計画
松尾 徳朗 (山形大学 大学院理工学研究科 准教授 / 名古屋工業大学 プロジェクト教授 / セントラルミシガン大学 SEITIリサーチフェロー / 中国上海大学 客員研究員)
【講演概要】東日本大震災の復興を見るまでもなく、新しいまちづくりにおける重要な要件として、減災と環境負荷および快適性が認識されており、これらのいずれも満たした都市の計画が求められてきている。本講演では、都市の特徴に基づき生成された数多くの都市計画案をに対して、上記の要求を出来るだけ満たす都市計画用シミュレーションについて紹介する。地理的な条件だけではなく、住民や地域の属性に注目した新しい都市計画の方法論について言及し、実際の利用におけるエンドユーザの理解促進の方策を含め解説する。

【略歴】2001年佐賀大学文化教育学部卒、2003年北陸先端科学技術大学院大学知識科学研究科博士前期課程修了、2006年名古屋工業大学工学研究科博士後期課程修了。博士(工学)。同年、山形大学大学院理工学研究科准教授。2010年~2011年カリフォルニア大学(アーバイン)客員研究員。2010年~セントラルミシガン大学SEITIリサーチフェロー、2011年~名古屋工業大学プロジェクト教授、2011年〜中国上海大学客員研究員、2011年~電気学会観光情報システム調査専門委員会委員長、2008年~総務省地域情報化アドバイザ。主著として、「Electronic Commerce」(Springer, 2008)、「E-Activity and Intelligent Web Construction」(IGI, 2011)を含め多数。2006年情報処理学会山下記念研究賞、2006年情報処理学会FITヤングリサーチャー賞、2008年第7回インテリジェント・コスモス研究奨励賞、2011年日本政府観光局国際会議誘致・開催貢献賞等受賞多数。

 
16:20-16:40 講演-3 消費者のグリーン社会貢献活動への試み
桑原 英人 (ARCHES株式会社 代表取締役社長)
【講演概要】「エコモチ」は、「環境の意識の向上や環境に優しい行動ができる」企業人を育てるためのITサービスとして開発し、数々の賞を受賞した企業人のエコモチベーションアッププロジェクトである。2008年よりスタートし、3年以上に渡り展開している同プロジェクトの試みと成果がある。本講演では、企業向けのグリーンITサービスにおけるビジネス展開の現状を伝える。
【略歴】1976年愛知県名古屋市生まれ。ARCHES株式会社代表取締役社長。2011年より、国立大学法人名古屋工業大学グリーン・コンピューティング研究所プロジェクト准教授。マーケティング、ブランディングとITの分野で多くの企業と連携しプロジェクトを手掛ける。2008年よりスタートしたウェブエコポイントシステム「エコモチ」は環境省等より数々の賞を受賞している。
 
16:40-17:10 特別講演-2 超高齢社会のためのICT技術とその応用
秋山 昌範 (東京大学 政策ビジョン研究センター 教授)
【講演概要】複数疾患を抱える高齢者が増えている超高齢社会を迎え、近年の医療法・介護保険法等の制度の改正によって、病院での在院日数が短縮され、ますます在宅医療・在宅介護のニーズや重要性が高まっている。その中で、従来は病院で診療科毎にカルテとして記録・管理されていた医療情報は、在宅が中心の時代において、病院には存在しない状況が発生する。一方、在宅医療介護に関する情報は、ノートに手書きで記録が行われているのが現状であり、患者単位で情報の記録・管理を行える仕組みが求められている。例えば、センサーによるモニタリングを医療情報システムと連動させること等により、在宅高齢者の生活行動を記録し、自動的に情報が蓄積し、その情報を活用して見守りサービスの提供、住宅設備を含めた仕組み等、在宅医療に関わる政策を含む諸問題とICTを用いた解決法を紹介する。
【略歴】1983 年徳島大学医学部卒。同泌尿器科と関連病院、慶應義塾大学医学部、国立国際医療センター、マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院客員教授を経て現職。医学博士。専門は、医療情報学、医療経済・経営工学、医療安全管理学。その他、2001年米連邦政府国務省短期出張。2005年~2007年:文部科学省科学技術振興調整費(科学技術連携施策群の効果的・効率的な推進;医療分野における電子タグ利活用実証実験)研究代表者、2007年度経済産業省流通・物流効率化システム開発調査委託費(医療分野における電子タグの適用調査及び実証事業)検討委員会委員長、2006年~ バーコードや電子タグの国際標準組織GS1-Healthcare メンバー。2008年~ WHO World Alliance for Patient Safety (Technology for Patient Safety) Core Group 日本代表委員。その他、日本医療情報学会理事(1999年~2010年)、デジタル・フォレンジック研究会理事(2004年~)等も勤める。
 
17:10-17:30 講演-4 音声韻律・脳血流情報を用いた認知症の早期スクリーニングをめざして
加藤 昇平 (名古屋工業大学 大学院工学研究科情報工学専攻 准教授)
【講演概要】我が国の長寿高齢化社会の進展に伴い、高齢者のためのサステイナブルなICT技術と地域社会サービスの重要性が提唱されている。そこで本研究では、長寿高齢化社会に不可欠である認知症の早期発見技術の実現を目指して、高齢者の音声および脳血流を用いた『非専門家でも短時間で実施できる軽度認知症スクリーニングツール』の2システム、在宅でも利用可能な音声認知症スクリーニングツール(1次スクリーニング)、ならびに、自然な体勢で脳機能を測定できる機能的近赤外分光法(fNIRS)に着目した認知課題テスト実施中の脳血流データを用いた認知症スクリーニング(2次スクリーニング)、の研究開発を実施している。本講演では、これらの研究開発で得られた最先端事例について紹介する。
【略歴】1998年名古屋工業大学大学院工学研究科博士後期課程電気情報工学専攻修了。豊田工業高等専門学校勤務を経て、現在名古屋工業大学大学院情報工学専攻所属、准教授。博士(工学)。知能・感性ロボティクス、知識推論・計算知能、ヒューマンインタラクションなどに興味を持つ。2006 年日本感性工学会技術賞。2010 年日本知能情報ファジィ学会論文賞。情報処理学会、人工知能学会、電子情報通信学会、日本ロボット学会、日本感性工学会、日本知能情報ファジィ学会、電気学会、日本認知症学会、IEEE 各会員。