4S-1
合成音への表現力付与のための擦弦楽器の発想伝達関数の推定
○小泉悠馬,伊藤克亘(法大)
本稿では、擦弦楽器の合成音に表現力を持たせる手法を提案する。
クリエイターの意図を合成音に反映させるには、演奏時の奏法を反映できるため、物理モデルによる生成が有効である。
しかし、擦弦楽器の物理現象は未解決の問題が残っており、物理モデルのみでの合成は難しい。

そこで、本研究では奏法に関する特性関数の導入を提案する。
擦弦時のスペクトルと楽器の共鳴特性の逆フィルタを用いて、様々な奏法の演奏音声から演奏特性関数(擦弦位置により推定される鋸波を、表現をつけて演奏したヘルムホルツ波に変換するフィルタ)を推定する。
弦の運動はヘルムホルツ波という三角波であり、擦弦位置から推定可能である。演奏中のヘルムホルツ波の変化は非負値行列分解を用いて推定した。
楽器の共鳴特性は、駒接着型スピーカを用いてTSP応答を測定した。これらを用いて、実際の演奏を分解することで、演奏特性関数を抽出する。

10種類の発想記号を元に演奏特性関数を用いて音階を合成し、アンケートで合致度を5段階で評価する。