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端末移動に伴う無線LANの電波環境変化に着目した構造物検出手法
○梶 克彦,河口信夫(名大)
本稿では,ある地点を挟んで大きく無線LAN電波強度が異なる箇所(電波環境特異点)を検出する手法を提案する.
一般に電波強度と基地局との距離の関係は電波減衰モデルで表現され,距離に応じて電波強度が変化する.
しかし,屋内は障害物が多く存在するため,必ずしもこのような距離関数の通りに減衰しない.
ここで,距離関数に従わないような地点は,ドアや曲がり角,エレベータなどの
建物構造上重要な地点の場合が多いと想定される.
これらの地点を検出することができれば,ユーザ行動の把握やフロアマップの構造化などに有用な情報となる.

本研究では以下のアプローチで無線LAN特異点を検出する.
まず時刻t1,t2における携帯端末を保持したユーザの平均的な移動速度から移動距離を推定する.
次に,時刻t1,t2間の無線LAN電波強度の変化を距離関数に適用し,移動範囲を推定する.
これらが大きく異なる場合,その時刻t1からt2の間にドアや曲がり角など電波が遮断される電波環境特異点
を通過したと判定する.