情報処理学会第73回全国大会 会期:2011年3月2日(水)~4日(金) 会場:東京工業大学大岡山キャンパス 情報処理学会 第73回全国大会ホームページ 社団法人情報処理学会 第73回全国大会 会期:2011年3月2日(水)~4日(金) 会場:東京工業大学 大岡山キャンパス
会員の研究活動活性化に向けた論文の書き方・査読の仕方

日時:3月2日(水)9:30-12:00
会場:第4イベント会場 (西5号館講義棟 4F W541)

【セッション概要】情報処理学会論文誌ジャーナル/JIP編集委員会では、会員の研究活動活性化の一環として、論文の投稿数、採択数を増やすために特別セッション企画することにした。改めて言うまでもなく、研究者にとって論文を投稿し、それが採択されることは、研究成果を広く発信し、業績として残すという面で極めて重要である。そのためには、基本的な論文の作成技法を身につけると同時に、参考文献の選び方やその影響についても理解する必要がある。さらに、採択決定の前提となるピアレビューでは論文投稿者が査読者の立場になることもあり、正当な評価を行うための査読の仕方も身につけることが重要である。情報処理分野の論文を対象に、論文の書き方/査読の仕方に関する講演と、パネル討論を行う。

司会:横田 治夫 (東京工業大学 大学院情報理工学研究科 教授)
【略歴】1980年東京工業大学工学部卒。1982年同大学修士課程修了。同年富士通株式会社。 同年(財)新世代コンピュータ技術開発機構研究所(ICOT)。1986年(株)富士通研究所。1992年北陸先端科学技術大学院大学助教授。1998年東京工業大学助教授。2001年東京工業大学教授。現在に至る。博士(工学)。主として情報の蓄積と活用の研究に従事。情報処理学会フェロー。理事。電子情報通信学会フェロー。ACM SIGMOD日本支部長。日本データベース学会理事。人工知能学会、IEEE、ACM 各会員。
9:30-10:00 講演-1 論文を書く前に -或いは,平均点の論文を書くには-
市川 周一 (豊橋技術科学大学 電気・電子情報工学系 准教授)
【講演概要】本発表では、これから論文を書こうとしている若手の方を対象として、論文を書く前に知っておきたい幾つかのポイントを紹介します。いくら研究内容が良くても論文原稿が不完全であれば価値が理解されませんし、査読でrejectされます。実際、投稿論文の相当部分(時には半分近く)には明白な欠点があって、一見するだけで採録できないことがわかるのです。これでは著者の努力も報われませんし、それを扱う査読者や編集委員も不幸です。こうした不幸を減らすために、この発表では致命的な欠点のない論文(平均点以上の論文)を書くための方法と技術について議論します。
【略歴】東京大学理学部 情報科学科卒業(1985年)、東京大学大学院 理学系研究科修士課程修了(1987年)、理学博士(東京大学・1991年)。新技術開発事業団・後藤磁束量子情報プロジェクト研究員、三菱電機LSI研究所、名古屋大学工学部 電子情報学科・助手、豊橋技術科学大学 知識情報工学系・講師~助教授~准教授をへて、現在 豊橋技術科学大学 電気・電子情報工学系・准教授。主な研究分野は、専用回路設計、並列処理。
10:00-10:30 講演-2 学術雑誌、学術論文および引用の実際
安達 淳 (国立情報学研究所 コンテンツ科学研究系 教授)
【講演概要】学術活動の成果は、主に学術論文として雑誌に掲載され流通し、それを引用し成果を積み重ねるということにより、人類共通の資産として共有されるというモデルが確立していた。この15年余りの期間で電子ジャーナルへ移行しつつあるが、まだ途上であり、これからも学術成果の流通のあり方は変わっていくと思われる。その中で特に情報分野での論文執筆の際に考慮すべき点を整理したい。情報分野での論文発表や評価の在り方が、他の学術分野とどのように異なるか、またインパクトファクターを始めとする指標の意味と考え方についても、可能な範囲で整理し、今後の学会員の論文執筆に寄与する情報を紹介したい。
【略歴】1981年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。工学博士。 東京大学大型計算機センター助手、文部省学術情報センター研究開発部助教授、教授を経て現在国立情報学研究所教授。東京大学大学院情報理工学研究科教授を併任。データベースシステム、情報検索等の開発研究に従事。電子情報通信学会、情報処理学会、IEEE、ACM 各会員。
10:30-11:00 講演-3 査読プロセスの実運用と妥当性確保のための取り組み
明石 修 (NTT未来ねっと研究所 主幹研究員)
【講演概要】論文査読は研究者によるピアレビューが基本であり、その基本となる枠組、手順、実運用を理解することは重要である。一方、査読プロセスは一連の論文査読の手引として公開されている資料に明文化されているものの、実際の査読プロセスにおいては、担当する分野毎、論文毎に状況が異なり、査読者や編集委員会の判断によって運用せざるを得ない部分も少なくない。編集委員会は査読報告書を中心に査読結果を最終承認するが、全論文を詳細まで読むことは不可能であり、査読者や担当編集委員レベルでの処理の妥当性と、編集委員会での査読結果のチェックが重要となる。本報告はこれらの状況を背景として、実際の査読プロセスの流れと実運用、査読者の立場での留意点、査読妥当性確保のための取り組み、に関して述べる。
【略歴】1987年東京工業大学理学部情報科学科卒業。1989年同大学院理工学研究科情報科学専攻修士課程修了。同年日本電信電話株式会社入社。以来、分散システム、ネットワークアーキテクチャ、マルチエージェントシステムなどの研究に従事。現在、NTT未来ねっと研究所主幹研究員。博士(理学)。ACM、情報処理学会、日本ソフトウェア科学会各会員。
11:00-12:00 パネル討論 執筆者、査読者、編集者の立場から見た論文投稿の活性化の課題
【討論概要】前半の論文の書き方/査読の仕方の3件の講演を受け、講演者および情報処理学会論文誌ジャーナル/JIP編集委員会関係者がパネリストとなり、執筆者の立場、査読者の立場、編集者の立場から見た論文投稿の活性化の課題に関して議論を行うと同時に、フロアとの意見交換を行う。
司会:横田 治夫 (東京工業大学 大学院情報理工学研究科 教授)
【略歴】1980年東京工業大学工学部卒。1982年同大学修士課程修了。同年富士通株式会社。 同年(財)新世代コンピュータ技術開発機構研究所(ICOT)。1986年(株)富士通研究所。1992年北陸先端科学技術大学院大学助教授。1998年東京工業大学助教授。2001年東京工業大学教授。現在に至る。博士(工学)。主として情報の蓄積と活用の研究に従事。情報処理学会フェロー。理事。電子情報通信学会フェロー。ACM SIGMOD日本支部長。日本データベース学会理事。人工知能学会、IEEE、ACM 各会員。
パネリスト:市川 周一 (豊橋技術科学大学 電気・電子情報工学系 准教授)
【略歴】東京大学理学部 情報科学科卒業(1985年)、東京大学大学院 理学系研究科修士課程修了(1987年)、理学博士(東京大学・1991年)。新技術開発事業団・後藤磁束量子情報プロジェクト研究員、三菱電機LSI研究所、名古屋大学工学部 電子情報学科・助手、豊橋技術科学大学 知識情報工学系・講師~助教授~准教授をへて、現在 豊橋技術科学大学 電気・電子情報工学系・准教授。主な研究分野は、専用回路設計、並列処理。
パネリスト:安達 淳 (国立情報学研究所 コンテンツ科学研究系 教授)
【略歴】1981年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。工学博士。 東京大学大型計算機センター助手、文部省学術情報センター研究開発部助教授、教授を経て現在国立情報学研究所教授。東京大学大学院情報理工学研究科教授を併任。データベースシステム、情報検索等の開発研究に従事。電子情報通信学会、情報処理学会、IEEE、ACM 各会員。
パネリスト:明石 修 (NTT未来ねっと研究所 主幹研究員)
【略歴】1987年東京工業大学理学部情報科学科卒業。1989年同大学院理工学研究科情報科学専攻修士課程修了。同年日本電信電話株式会社入社。以来、分散システム、ネットワークアーキテクチャ、マルチエージェントシステムなどの研究に従事。現在、NTT未来ねっと研究所主幹研究員。博士(理学)。ACM、情報処理学会、日本ソフトウェア科学会各会員。
パネリスト:奥乃 博 (京都大学 大学院情報学研究科 教授)
【略歴】1972年東京大学教養学部基礎科学科卒業。日本電信電話公社入社、NTT基礎研究所、1998年科学技術振興事業団、 1999年東京理科大学を経て、2001年現職。音環境理解、音楽情報処理、ロボット聴覚、人工知能などの研究に従事、 博士(工学)。本学会理事、日本ソフトウエア科学会、人工知能学会元理事。
パネリスト:田中 譲 (北海道大学 大学院情報科学研究科 教授)
【略歴】1972年京都大学卒業、1990年北海道大学大学院工学研究科教授、2004年同大学院情報科学研究科教授、1996年より北海道大学知識メディアラボラトリ長、1998年から2000年まで京都大学大学院社会情報学専攻教授(併任)。 本会理事(1995-1996、2000-2001年度)。知識メディアのアーキテクチャと応用フレームワークの研究に従事。
パネリスト:宗森 純 (和歌山大学 システム工学部デザイン情報学科 教授)
【略歴】1984年東北大学大学院工学研究科電気及通信工学専攻博士課程修了。工学博士。同年、三菱電機(株)入社。鹿児島大学工学部助教授、大阪大学基礎工学部助教授、和歌山大学システム情報学センター教授を経て、2002年同大学システム工学部デザイン情報学科教授。1997 年度本会山下記念研究賞、1998年度本会論文賞、2002 年IEEE-CE Japan Chapter 若手論文賞、2004年度本会学会活動貢献賞、2005年、2006年DICOMO 優秀論文賞、2005 年KES’05 Best Paper Awardをそれぞれ受賞。本会論文誌編集委員会ネットワークグループ主査、グループウェアとネットワークサービス研究会主査などを歴任。現在、本会理事。グループウェア、形式的記述技法、神経生理学等の研究に従事。IEEE、ACM、電子情報通信学会、各会員。