5J-6
複雑システムの構造推定のためのグレンジャー因果性に基づく閾値決定法
○上岡祐太(同志社大),鈴木智也(茨城大),山本誠一(同志社大)
現実世界には多数の要素が相互作用して複雑な挙動を示すシステムが多く存在する.
これらのシステムの解析・予測を行うには,各要素の挙動として観測された時系列データを用いて,要素間の構造を推定することが重要である.
この推定方法として様々な手法が提案されているが,いずれも計算結果から結合の有無を判定するための閾値が存在する.
しかしこの閾値は,経験的または恣意的に決定される場合が多い.
そこで本研究では,グレンジャーの因果性に基づいてこの閾値を定める方法を提案する.
グレンジャーの因果性では,予測精度を向上し合う要素同士は互いに結合していると考える.
そこで予測精度を最大化する要素集合を選べるように,結合の有無を判定する閾値を設定する.
この提案手法の有用性を検証すべく,無作為化検定など従来手法との比較実験を行う.