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クロード・シャノンはデジタルを論じていなかった
○得丸公明(衛星システム・エンジニア)
筆者は言語のデジタル起源を調査する中で、デジタル通信の概念は,(1)離散・有限符号の一次元配列による通信,(2)符号語と意味の翻訳のために情報源における符号化・復号化が行われている,(3)1信号の誤りも許されないために,送受信点間にエントロピー許容量の差が設けられ,回線雑音によるエントロピー増大が受信点で吸収されデジタル値としてリセットされることと,信号列の信号間の親和性によって誤り検出・誤り訂正が行われる通信路符号化が行われている,(4)受信回路上に自動的・反射的にデジタル符号を処理するデジタル処理回路がつくりだされ,オートマトンを形成している,という幅広く深淵な概念であることに気付いた.
この点からC.E.シャノンの書き残した『通信の数学的理論』他の論文を読み直すと,シャノンはアナログ概念にもとづいた符号化,冗長性,誤り検出・訂正の概念しか論じていないという結論に至った.非常に重要なことであると思うので,広く会員に提示して議論を呼びかけたい.