No.05

招待講演 4

「課題先進国」から「課題解決先進国」へ

3月11日 13:00-14:15

会場:第1イベント会場

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講演者 Speaker

小宮山 宏
株式会社三菱総合研究所 理事長

概要 Abstract 講演資料はこちら

「有限の地球,高齢化する社会,爆発する知識」が21世紀の重要なパラダイムである.これらの問題に対して日本に何ができるか考えてみたい.日本のエネルギー消費は,家庭,オフィス,輸送の「日々のくらし」が55%,素材,自動車,家電などの「ものづくり」が45%を占める.日々のくらしには削減余地が大きい.これからは,ものづくりではなく,日々のくらしでCO2を削減することが重要である.また,日本は,温暖化のみならず多くの課題を抱えている.これらを同時に解決するためのまちづくり運動を提案したい.日本の国土は南北に長く,気候,生活,文化は多様である.そこで,全国の自治体と協働でまちづくりの実験を行うのが「プラチナシティ・ネットワーク構想」である.プラチナとは次世代のキーワード,高齢者,生態系,低炭素の3つの輝きを表している.エコでバリアフリーで快適なまちづくりが,日本の課題を解決し,温暖化の解決や新産業の創出を通じて世界を先導し,日本を真の先進国とするのだ.

講演者略歴 Biography

1944年栃木県生まれ.1967年東京大学工学部化学工学科卒業.1972年同大学大学院工学系研究科博士課程修了.1988年東京大学工学部教授,2000年工学部長,大学院工学系研究科長,2003年副学長などを経て,2005年4月第28代総長に就任.2009年3月に総長退任後,同年4月に三菱総合研究所理事長,東京大学総長顧問に就任.
専門は化学システム工学,地球環境工学,知識の構造化.地球温暖化問題の第一人者でもある.著書に「地球持続の技術(岩波新書)」,「知識の構造化(オープンナレッジ)」,「『課題先進国』日本(中央公論新社)」など多数.