No.38
3月9日 9:30-12:00
会場:第3イベント会場
イベント司会井上 創造 |
講演・パネリスト岡安 崇史 光吉 俊二 西尾 信彦 河口 信夫 |
現実世界の状況を計算機が理解できるようになると、実現できることがたくさんあります.例えば人間の日常の生活習慣を定量的にセンシングできれば、生活習慣病への対策ができ医療の発展に貢献できます.また周囲の環境をリアルタイムに観測できれば、農業の効率化や環境対策に寄与できます.
本セッションでは、このような人間の行動や周囲の環境をセンシングし理解することによって可能となる応用や将来の方向性について、講演とパネルディスカッションにより議論します.
9:30-9:55 講演(1):情報化農業とGAP
岡安 崇史
農業生産は,気象環境,地形や圃場条件に強く影響される.このため,農地の気温,日射量,土壌温度(水温),土壌水分等の気象情報,作物生育情報,農作業履歴等は,作物の生育状況の把握や,灌漑・排水,施肥,除草・農薬散布,収穫等の適期判断のための重要な情報である.近年では,情報通信技術を援用して,農地の気境情報,作物生育画像,農作業履歴等の情報を高精度に計測・収集し,例えば,作物の移植時期の推定,病害虫発生の予測,農薬・施肥の管理,収穫適期の判断,作物品質の判定等に活用しようとする試みが行われている.本講演では,このような情報化農業の一端を説明するとともに,現在世界的に導入が進められている新しい農場・農作業管理手法(GAP)についても紹介させていただく.
9:55-10:20 講演(2):人間の感情・心理情報の定量計測可視化の現状
光吉 俊二
我々は1999年より音声感情測定技術を開発商品化してきたが、未だに感情や心理の真値がなにかを研究している。fMRIや生理データとの比較、本人や他者の主観との比較、将来の薬剤による神経遮断でのパラメータ導出の可能性など、この分野での実績と今後のテーマを説明する。同時に、多くの研究機関や商品に採用されている現状を紹介し、非明示な雰囲気コミュニケーションでの展開から社会での応用、そして人の幸せに繋がるシステムの開発までを説明する。
10:20-10:45 講演(3):携帯端末を用いたグローバル行動情報収集プラットフォーム
井上 創造
携帯端末を用いて人間の行動を把握できれば、工業や農業の生産性向上や環境改善、健康や医療の効率化に応用できる.本講演では、iPhone/iPod Touchを用いて大規模な行動情報を収集し、その情報をマイニングし理解する取り組みの現状と今後の発展を紹介する.
10:45-11:10 講演(4):Peta-Tech: ライフログの自動化とペタマイニング
西尾 信彦
Android携帯端末は実世界指向のセンシングシステムのための携帯電話プログラミングを真の意味で現実化したプラットフォームである。筆者らはこれを適用したライフログの自動化プロジェクトとそれを実現するペタマイニング機構の実現を研究開発しており、その成果と展望を報告する。
11:10-12:00 パネル討論:行動センシングの可能性と将来
人間の行動や周囲の環境をセンシングし理解することによって可能となる応用や将来の方向性について、どのような道筋をつけることが重要かを議論する.
井上 創造
2002年九州大学大学院システム情報科学研究科博士後期課程修了・博士(工学).2002年より同システム情報科学研究院・システムLSI研究センター助手.2006年より同附属図書館研究開発室助教授(准教授).2009年より現職。データベース管理システムおよび、センサ情報システムの医療応用、個人情報保護に興味を持つ.IEEE,
ACM, 日本データベース学会、情報処理学会、電子情報通信学会会員.
岡安 崇史
1999年3月 九州大学大学院農学研究科博士後期課程農業工学専攻修了
1999年3月 博士(農学・九州大学)の学位取得
1999年4月 九州大学ベンチャービジネスラボラトリー非常勤講師
2001年4月 九州大学大学院農学研究院学術特定研究者
2002年1月 九州大学大学院農学研究院助教授
2007年4月 九州大学大学院農学研究院准教授
至現在
光吉 俊二
多摩美術大学 美術学部彫刻科卒業 / 徳島大学 大学院工学研究科 博士後期課程修了 / スタンフォード大学 Robotics Labratory
客員研究員(~2004)/ 慶應義塾大学 主席研究員(訪問・2009~)/ 東京大学 非常勤講師(2009~).
西尾 信彦
東京大学工学部計数工学科、理学系研究科情報科学専攻を経て、1993年より慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスに勤務。2003年より現職。博士(政策・メディア)。
河口 信夫
1995年名古屋大学大学院工学研究科情報工学専攻博士後期課程満了,名古屋大学助手,講師, 助教授(准教授)を経て2009年より同大教授.モバイルコンピューティング,ユビキタスコミュニケーション,スマートルーム,位置情報システムに関する研究に従事.博士(工学).