No.32
3月11日 9:30-12:00
会場:第8イベント会場
イベント司会
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講演・パネリスト
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今日のネットワークセキュリティ技術では,現時点でのネットワークに関する状況把握だけでなく, 問題の原因究明や過去への遡及解析など 5W1H 全般に答えるための技術開発が求められている.このような要件にもとづく技術開発の結果,トラクタブルネットワーク技術が形成されつつある.本セッションではトラクタブルネットワークにおける基本問題と現時点での成果について論じ,次世代ネットワークのあり方について展望する.
9:30-10:00 講演(1):再現テストベッドと次世代ネットワークセキュリティ
三輪 信介
攻撃再現技術と原因究明や遡及解析の技術との関わりについて,我々が研究開発してきた「小規模攻撃再現テストベッド」や「マルウェア体験ラボ」などに触れながら現状と成果について述べ,今後のネットワーク環境におけるセキュリティについて,原因への遡及をより困難にする仮想化技術やオーバレイ,クラウドなどの技術との関連から,その課題と展望を論じる.
10:00-10:30 講演(2):長期バックボーンネットワークトラフィックにおける異常トラフィックの特性について
福田 健介
長期(2001-2009)定点測定されたバックボーンインターネットトラフィックデータ(MAWIレポジトリ)に対して,各種異常検出アルゴリズムを適用した結果について報告する.また,複数の異常検出アルゴリズムで得られた結果を比較し正解データを作成するための試みについて概説する.
10:30-11:00 講演(3):機械語命令列の類似性に基づく自動マルウェア分類システム
岩村 誠
昨今,マルウェアの種類数は増加の一途を辿っている.この要因として,積極的な新種・亜種の開発が挙げられる.また,マルウェアの外見を変化させるランタイムパッカーの併用も,マルウェア数の増加に拍車を掛けており,マルウェアの脅威やトレンドの把握を難しくしている.こうした状況を踏まえ,近年マルウェアの分類技術の研究が進んでいる.本講演では,我々が開発しているプログラムコードの類似性に着目した自動マルウェア分類システムについて述べる.また,実際に収集されたマルウェアの分類結果を紹介しつつ,分類技術の有用性や今後の研究の方向性について述べる.
11:00-11:30 講演(4):次世代ネットワークに向けたダークネット活用の課題と展望
中尾 康二
ネットワークにおける未使用アドレス空間を有効活用することにより,ネットワークに対する攻撃挙動の把握,感染活動の把握を実時間に,精度高く把握する技術が重要となっている.次世代のネットワークにおいては,アドレス空間の拡大,想定できる攻撃手法の変化,利用するコンピューターリソースの進化などを十分に考慮する必要があり,次世代ネットワークにおける本ダークネット活用技術の課題,及び今後に向けた展望について議論する.
11:30-12:00 講演(5):総括: トラクタブルネットワークからの展望
篠田 陽一
トラクタブルネットワークでは,状況の可視化,遡及解析,問題の再現・分類などの要素技術により,ネットワークおよびネットワークに接続されたシステムの問題解決プロセスが大きく変革されると考えられる.本講演ではこれまでの成果を総括し,次世代ネットワークがトラクタブルネットワークを起点として新たな発展段階に入ることを予想する.
門林 雄基
1997年大阪大学大型計算機センター助手,2000年奈良端科学技術大学院大学情報科学研究科助教授.2006年独立行政法人 情報通信研究機構(NICT)情報通信セキュリティ研究センタートレーサブルネットワークプロジェクトリーダー(兼務).博士(工学).
三輪 信介
1999年北陸先端科学技術大学院大学博士後期課程修了.同年同大学情報科学センター助手.2001年通信総合研究所(現情報通信研究機構)研究員,2008年より同主任研究員.インターネットのセキュリティおよびその再現・検証実験環
境の構築方法の研究開発に従事.ACM,USENIX会員.博士(情報科学).
福田 健介
1999年,慶應義塾大学大学院理工学研究科計算機科学専攻後期博士課程修了 (博士(工学)). 同年,日本電信電話株式会社入社. 2002年ボストン大学訪問研究員.
2006年より国立情報学研究所アーキテクチャ科学研究系准教授. インターネットトラフィック測定・解析およびネットワーク科学に関する研究に従事.
岩村 誠
2002年早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了.同年日本電信電話株式会社に入社,情報流通プラットフォーム研究所勤務(現職).早稲田大学大学院基幹理工学研究科博士後期課程在籍.マルウェア対策の研究・開発に従事.
中尾 康二
1979 年 早稲田大学卒業後,国際電信電話(株)に入社.KDD研究所を経て,現在KDDI(株)情報セキュリティフェロー,及び独立法人情報通信研究機構(NICT)インシデント分析Gリーダ兼務.NW/システムを中心とした情報セキュリティ技術に関わる技術開発に従事.電子情報通信学会,情報処理学会などの会員.
2002年より早稲田大学非常勤講師.情報処理学会研究賞,総務省局長表彰,文部科学大臣賞等を受賞
篠田 陽一
1988年東京工業大学工学部助手,1991年北陸先端科学技術大学院大学情報科学研究科助教授,2001年同大学情報科学センター教授.2006年独立行政法人
情報通信研究機構(NICT)北陸リサーチセンター統括責任者(兼務)および,情報通信セキュリティ研究センター長(兼務).2007年内閣官房 情報セキュリティセンター
情報セキュリティ補佐官(兼務).工学博士(東京工業大学).