No.12

ディペンダブルシステム -新しい原理から実装まで -

3月10日 9:30-12:00

会場:第2イベント会場

講演者 Speaker

イベント司会

写真藤田 昌宏
東京大学 東京大学大規模集積システム設計教育研究センター 教授

基調講演

写真南谷 崇
東京大学 情報理工学系研究科 教授

パネリスト

写真所 眞理雄
(株)ソニーコンピュータサイエンス研究所 代表取締役社長

写真浅井 彰二郎
(株)リガク 取締役副社長

写真中島 達夫
早稲田大学 基幹理工学部・情報理工学科 教授

写真安浦 寛人
九州大学 理事・副学長

写真松田 晃一
(独)情報処理推進機構 ソフトウェア・エンジニアリング・センター 所長

写真西 直樹
日本電気(株) システムIPコア研究所 所長

概要 Abstract

本セッションは,JSTで行われている情報ディペンダビリティに関するアクティビティ,特にソフト・ハードの2種類のプロジェクトを中心とした講演,パネル討論を行う.情報ディペンダビリティは,社会の安全・安心という点でも,本邦の情報産業の捲土重来という点でも,最重要な課題である.ここでは,プロセッサとOSというもっとも基盤的な技術を核として,ディペンダビリティとは何か,実社会のニーズは何か,ディペンダビリティをどのように実現するべきか,JSTの研究成果として期待できるものは何か,ディペンダビリティは収益に結びつくか,今後のITの安全・安心を展望するとどうなるか,などを論じる.

プログラム Program

9:30-10:20 基調講演:ディペンダビリティの過去・現在・未来

南谷 崇

情報社会では,ひとたびシステム障害,インフラ事故,サイバーテロ,情報漏洩など,社会の期待や合意に反する事象が起きると,財産逸失,人命損傷,社会・経済機能マヒなどの深刻な事態を招く.場合によっては国家安全保障への脅威になる.実際,我々の社会は,システムの複雑化・巨大化,VLSIの微細化,情報量の爆発的増加,サービスの多様化,要素の経年劣化など,様々なリスク要因に直面している.科学技術が目指すべきは,社会インフラ,情報環境から提供されるサービスの信頼性,安全性に揺るぎない確信を持つことができるディペンダブルな情報社会の実現である.この講演では情報システムのディペンダビリティについて,過去の事例から現在の研究動向,将来の展望までを総合的・体系的に述べる.

10:30-12:00 パネル討論:真にディペンダブルなITを創造する

講演者略歴 Biography

藤田 昌宏
昭55年東京大学工学部電気工学科卒業.昭60同大学大学院情報工学博士課程了.工学博士.同年富士通(株)入社,LSI用CAD技術の研究開発に従事.平成5年米国富士通研究所.平成12年東京大学大学院教授.現在,東京大学大規模集積設計教育研究センター教授.情報処理学会坂井特別賞,元岡賞など受賞.主な研究テーマは,電子機器上位設計手法とその支援技術,特に形式的な解析に基づく設計検証・テスト技術全般.

南谷 崇
1969年東大工学部計数工学科卒,1971年同大学院修士了.同年日本電気中央研究所.1978年工学博士.1981年東工大工学部情報工学科助教授.1989年同電気電子工学科教授.1995年東大工学系研究科計数工学専攻教授.1996年東大先端科学技術研究センター教授.2001年から2004年まで東大評議員・先端研センター長.2005年からJST-CREST「情報システムの超低消費電力化」領域の研究総括.IEEE-CS TC on Dependable Computing委員長.IFIP-TC10 日本代表.IEEE Fellow.電子情報通学会フェロー.学術会議連携会員.

所 眞理雄
慶應義塾大学大学院博士課程修了(工学博士).同大学助手,専任講師,助教授を経て,1991年教授に就任.その間,カナダ・ウォータールー大学,米カーネギーメロン大学訪問助教授を歴任.1988年株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所を設立,取締役副所長(兼務)に就任.1998年代表取締役社長に就任し,現在に至る.1997年慶應義塾を退職,ソニー株式会社に入社,執行役員上席常務に就任.IT研究所長,Co-CTOなどを歴任,2008年に退任.2009年慶應義塾特別研究教授に就任.

浅井 彰二郎
1963年 東京大学工学部応用物理学科物理工学コース終了.
1968年 東京大学大学院 応用物理学専攻 博士課程単位取得終了,同年(株)日立製作所に入社.
1991年 基礎研究所所長,1997年 日立本社に移り,1999年 常務・研究開発本部長,2000年 RFIDミューチップの事業化を社内ベンチャーにより立ち上げ.
2003年 (株)日立メディコ専務
2006年 (株)リガク副社長(現任)
2007年 JST CREST研究領域「ディペンダブルVLSIシステムの基盤技術」研究総括(現任)
2009年 (社)日本分析機器工業会理事(現任)
応用物理学会フェロー,IEEEライフフェロー.

中島 達夫
早稲田大学基幹理工学部情報理工学科教授, 科学技術振興機構・戦略的創造研究推進事業「実用化を目指した組込みシステム用ディペンダブル・オペレーティングシステム」に高信頼マルチコアプロセッサ向け仮想化技術の研究開発に取り組んでいる.次世代の計算機環境を実現するための基盤ソフトウエア,インタラクションデザイン等に関する研究に取り組んでいる.

安浦 寛人
1978年京都大学工学研究科修士課程(情報工学専攻)修了.京都大学工学部助手,
同助教授を経て,1991年より九州大学大学院教授.現在,九州大学大学理事・副学長.VLSIシステムの設計手法とCADの研究およびハードウェアアルゴリズムの研究に従事.
1992年本会論文賞,1993年坂井記念特別賞およびBest Author賞,2001年電子情報通信学会業績賞,をそれぞれ受賞.ICCADやASP-DACなどの大会委員長・プログラム委員長
を務めるとともに,IEEE CAS Societyの副会長や情報処理学会/電子情報通信学会理事等も歴任.

松田 晃一
昭和43年京都大学工学部卒業,昭和45年同大学院修士課程修了.電電公社に入社,データ通信システム用OSの研究開発,システムの性能評価,ソフトウェア開発技術の研究に従事.NTTコミュニケーション科学研究所長,先端技術総合研究所長などを歴任.NTTアドバンステクノロジ社 代表取締役常務を経て,平成20年よりIPA IT人材育成本部長.平成21年より現職.情処学会/通信学会フェロー.日本学術会議連携会員.工学博士.

西 直樹
1982年広島大学工学部二類(電気)卒業, 1984年同大学院工学研究科修了, 同年 日本電気(株)入社.C&Cシステム研究所にてスーパーコンピュータのアーキテクチャ研究開発を進め, 1992年からコンピュータ事業部でCMOS SX-4開発に従事. 1995年より研究所にてマルチコアプロセッサの研究開発・携帯等の組み込み機器向け実用化を推進. 2003年研究部長, 2007年より現職.