全国大会イベント企画の概要

招待講演(1):Stories from the Early History of Computing

3月6日(火)13:30-14:45[第1イベント会場(57号館2階 201教室)]

 
  [講演概要]
In large computing conferences, like those run by the IPSJ and the IEEE, the usual presentations center on the major research and application areas of the day. It is, however, often useful to look back and see how far we have come in developing the subject of computation and the devices we use to do our calculations.
This will be an illustrated survey of some of the people and devices that helped shape the early history of computation. I hope to be able to show that the history of our subject is full of interesting inventions, legal problems and colorful characters.
There will certainly not be enough time to examine every interesting aspect, but I will take examples from different parts of the world and different historical eras to support my thesis that history is not only interesting but can also be fun.
  Michael Williams(IEEE-CS会長)
It was while working as a graduate student at Glasgow University that Mike acquired a interest in the history of computing, something which has developed over the years into his main research and teaching interest. In 1969 he joined the University of Calgary, first in the Department of Mathematics then as a Professor of Computer Science.
He has participated in the publishing of 11 books, 92 articles, 58 technical reviews and 72 invited lectures and has been involved in the creation of 10 different radio, television, and museum productions. During his career he has had the opportunity to work for extended periods at several different universities and at the National Museum of American History (Smithsonian Institution) and as Head Curator at the Computer History Museum in Mountain View California.
His association with the IEEE Computer Society began when he was asked to help out with the journal The Annals of the History of Computing. He eventually became Editor-in-Chief then moved to become the Editor-in-Chief of the CS-Press and Vice President for Publications. He is the 2007 President of the IEEE Computer Society and also serves on many of the IEEE governing boards and committees.
In 2005 the University of Glasgow, Scotland, awarded him an honorary Doctor of Science degree for his contributions to computer science, particularly the history of computing.
 

 
招待講演(2):システムバイオロジー研究の最前線

3月7日(水)13:00-14:15[第1イベント会場(57号館2階 201教室)]
 
  [講演概要]
システムバイオロジーは,生命をシステムレベルで理解することを目的とした研究領域である.分子生物学の飛躍的発展によって遺伝子やタンパク質に関する研究が進み,網羅的解明が可能になってきたことによって現実味を帯びてきた分野である.遺伝子やタンパク質の研究は,生命を構成する部品やそのつくり方の研究であり,最終的に生命を理解するためには,それらの部品からなる「システム」を理解することが必要となる.
システムとしての理解を行うには,(1)システムの構造の理解,(2)システム・ダイナミクスの理解,(3)システム制御方法論の理解,(4)システム・デザイン方法論の理解の,4つのレベルがあると考えている.
これらの各レベルでの理解を行うためには,定量的かつ網羅的な測定を実現する技術,大規模実験,タンパク質の相互作用のレベルから染色体動力学,細胞壁の物性などヘテロで大規模なシミュレーションを可能にする計算プラットフォーム,解析手法と理論のブレークスルーが必要である.それらの分野を統合して,システムレベルでの生命の理解を目指す分野であるシステムバイオロジー研究の最前線について述べる.
  北野 宏明(特定非営利活動法人システム・バイオロジー研究機構 会長)
1961年埼玉県生.1984年国際基督教大学教養学部理学科(物理学専攻)卒後,日本電気(株)入社,ソフトウエア生産技術研究所勤務.1988年より米カーネギー・メロン大学客員研究員.1991年京都大学博士号(工学)取得.
1993年ソニーコンピュータサイエンス研究所入社.1996年同シニアリサーチャー,2002年同取締役副所長.1998年より科学技術振興事業団ERATO北野共生システムプロジェクト総括責任者兼務.2003年10月より,同プロジェクトの発展継続プロジェクト,独立行政法人科学技術振興機構北野共生システムプロジェクト(ERATO-SORST)総括責任者.2001年4月,特定非営利活動法人システム・バイオロジー研究機構設立,会長を務める.ロボカップ国際委員会ファウンディング・プレジデント.
Computers and Thought Award(1993), Prix Ars Electronica(2000)等受賞.
 

 
招待講演(3):大学発超小型衛星による新しい宇宙開発への挑戦

3月8日(木)13:00-14:15[第1イベント会場(57号館2階 201教室)]
 
  [講演概要]
東京大学では10kg以下の超小型衛星を手作りで開発しており,すでに世界最小の人工衛星CubeSat(1kg)を2度打ち上げ,3年以上も軌道上で運用してきた.これは宇宙工学教育を第一の目的,また,迅速で低コストな宇宙開発を目指すことを第二の目的とした活動である.後者に関しては,宇宙利用を考える人たちの宇宙へのアクセスの「しきい」を下げ,これまでに考えられなかったような新しい宇宙利用法,宇宙開発のプレーヤーが出てくることを目指した挑戦である.本講演では,現在の宇宙開発の問題点を概観し,東京大学の中須賀研究室における超小型衛星開発の意義,現状,将来のビジョンなどを述べる.
http://www.space.t.u-tokyo.ac.jp
  中須賀 真一(東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻 教授)
1983年東京大学工学部航空学科卒業.1988年東京大学大学院博士課程修了,工学博士(航空学専攻) .1988-1990年日本アイ・ビー・エム(株)東京基礎研究所勤務,AI,自動化工場に関する研究.1993-1994年東京大学航空学科講師.1994-1998年東京大学先端科学技術研究センター 助教授.1998-2004年東京大学航空宇宙工学専攻助教授.2005年- 東京大学航空宇宙工学専攻教授.その間,1996-1997年アメリカ,メリーランド大学コンピュータサイエンス学科客員研究員.1999年アメリカ,スタンフォード大学航空宇宙工学科客員研究員.専門分野,宇宙関係:宇宙システム工学,小型衛星の設計・製作,宇宙機の知能化・自律化,将来の新しい宇宙システム,航法・誘導・制御,知能工学関係:ロボティックス,人工知能(特に機械学習)とその宇宙応用.AIAA,日本航空宇宙学会,日本ロケット協会,計測自動制御学会等会員.
 

 
特別セッション(1):安全・安心を保証する組込みソフトウェアに向けて

3月6日(火)10:00-12:30[第1イベント会場(57号館2階 201教室)]
  [全体概要]
組込みシステムの複雑性は年々増加している.その一方,組込みシステムは我々の生活にはなくてはならない物となってきており,信頼性の向上が重要な課題となって来ている.組込みソフトウエアは年々巨大となり,ソフトウエアバグにより生じる製品のリコールやセキュリティ的攻撃による個人情報の 流失など様々な問題が生じる可能性がある.高信頼な組込みシステムを構築するためには,ソフトウエア設計面と基盤ソフトウエアの面と両方から現在の方式を見直す必要がある.国内の組込みシステムの競争力を強化するためには,新規の技術や方法論を開発するための研究が必要不可欠である.しかし, 組込みシステムの場合は,実際の現場での問題を意識しないと見当違いの研究を進めることになり,産官学連携の促進がもっとも重要な課題であると考えられる.本セッションでは,いくつかの産官学連携の取り組みを紹介した後,今後取り組むべき方向性に関して議論をおこなう.
 
講演(1):次世代組込みシステム用ディペンダブルOS研究開発における産学官連携
3月6日(火)10:00-10:45[第1イベント会場(57号館2階 201教室)]
  [講演概要]
技術の発展の度合いによって,研究開発の目的や方法は変わる.黎明期から発展・成長期には独自技術による差異化が有効であるが,成熟期になると寡占化,標準化が進み,独自技術による差異化は時間的,品質的,コスト的に報われないばかりか,インターオペラビリティが失われて孤立する.成熟期の研究開発戦略は世界標準の中にいかに問題点を見つけてこれを改良し,技術的な地位を獲得し発言権を増すと同時に,特許ポジションを改善することにある.そのためには,現場からのニーズに耳を傾け,利用者の立場から研究開発のポイントを明確に整理して研究開発を行うことが必須である.OSの考え方が出現してから50年以上が経過し,OS技術は成熟期にあると言える.平成18年度よりJST/CRESTの下で進められている「実用化を目指した組込みシステム用ディペンダブル・オペレーティングシステム」の研究開発においては,成熟期にある基幹技術に対して産官学が協力して成果を挙げるための色々な試みがなされている.
  所 眞理雄(ソニー)
1975年慶應義塾大学大学院電気工学専攻博士課程を修了,同大学助手,専任講師,助教授を経て1991年より理工学部電気工学科教授.その間,ウォータールー大学ならびにカーネギーメロン大学訪問助教授.1988年にソニーコンピュータサイエンス研究所を創立し,取締役副所長を兼務.1997年慶応義塾大学を退職し,ソニー(株)執行役員上席常務ならびにソニーコンピュータサイエンス研究所代表取締役社長に就任.ソニー(株)IT研究所長,CTO,プラットフォームテクノロジーセンタープレジデントなどを経て,2004年より(株)特別理事,イノベーション戦略室担当.2006年よりコーポレートエグゼクティブSVP,技術渉外担当.2005年にフランス共和国より国家功労賞オフィシエ受賞.
 
講演(2):e-Societyプロジェクトにおける高信頼性組込みソフトウェアへの取り組み
3月6日(火)10:45-11:15[第1イベント会場(57号館2階 201教室)]
  [講演概要]
「高信頼性組込みソフトウェア構築技術」プロジェクトは,2003年度より文部科学省が進めている「e-Society基盤ソフトウェアの総合開発」の中での,産学連携の取り組みのひとつであり,組込みシステム特有の計算資源・実時間処理といった制約を考慮しつつ,ソフトウェアの信頼性を高めるために 必要となる,分析・設計環境,実行環境ソフトウェア,実行基盤ソフトウェアを開発することを目的としている.具体的には,北陸先端科学技術と国立情報学研究所で形式手法を用いた高信頼な分析設計環境の研究を,早稲田大学と筑波大学でソフトウェアを空間的時間的に隔離してコンポーネントを高信頼に実行する環境を,京都大学でJavaでの実時間アプリケーションのためにごみ集めによる停止時間とメモリ制約を解決する実行基盤の開発を進めている.本講演では,本プロジェクトの内容やこれまでの成果,ならびにそこにおける企業連携について紹介する.
  岸 知二(北陸先端大)
1982年京都大学工学部情報工学科修士課程修了.同年NEC入社.入社以来一貫してソフトウェア生産技術の研究開発,社内・顧客支援(コンサルテーション業務)に従事.1986年カーネギーメロン大学コンピュータサイエンス学科客員研究員.2002年北陸先端科学技術大学院大学情報科学研究科博士後期課程修了.博士(情報科学).2003年北陸先端科学技術大学院大学情報科学研究科.組込みソフトウェアの高信頼性設計の研究に従事.
専門:ソフトウェア工学,ソフトウェアアーキテクチャ,プロダクトライン開発,ソフトウェア設計・検証技術.
 
パネル討論:次世代組込みソフトウェアにおける産学連携
3月6日(火)11:15-12:30[第1イベント会場(57号館2階 201教室)]
  [討論概要]
近年,日本における組込みシステム産業の重要性がさらに高まるにともない,いくつかの大きな産学官連携プロジェクトがスタートしている.
これらのプロジェクトでは,次世代の組込みシステムの実現に向け,開発ツール,基盤ソフトウエア,方法論など様々な側面から研究を進めている.しかし,より大きな効果を生み出すためには,それらのプロジェクトが連携し成果を共有していくことが重要である.本パネルでは,産学官プロジェクトのキーパーソンを招き現状と将来について語り,今後の連携の可能性に関して検討する.
  司会:中島 達夫(早大)
早稲田大学理工学部コンピュータネットワーク工学科教授,2000年から日本エンベデッドリナックスコンソーシアム会長,2006年から情報家電サービス基盤フォーラム会長,2005年度ノキアリサーチセンタービジティングリサーチフェロー.
  パネリスト:岸 知二(北陸先端大)
1982年京都大学工学部情報工学科修士課程修了.同年NEC入社.入社以来一貫してソフトウェア生産技術の研究開発,社内・顧客支援(コンサルテーション業務)に従事.1986年カーネギーメロン大学コンピュータサイエンス学科客員研究員.2002年北陸先端科学技術大学院大学情報科学研究科博士後期課程修了.博士(情報科学).2003年北陸先端科学技術大学院大学情報科学研究科.組込みソフトウェアの高信頼性設計の研究に従事.
専門:ソフトウェア工学,ソフトウェアアーキテクチャ,プロダクトライン開発,ソフトウェア設計・検証技術.
  パネリスト:菅谷 みどり(早大)
大学卒業後,アプリケーション・OS開発に従事.
2002年より早稲田大学大学院理工学研究科情報科学専攻入学,2003年度未踏開発ソフトウェア創造事業,2004年4月より第1回オープンソフトウェア活用基盤整備事業にて研究開発に従事.2004年3月情報科学専攻修了後博士後期課程に進学.
2006年4月より,理工学術院助手,コンピュータ・ネットワーク工学科在籍.
  パネリスト:田丸 喜一郎(IPA/SEC)
1981年慶應義塾大学工学研究科博士課程修了.工学博士.同年,株式会社東芝入社.半導体技術研究所にてマイクロプロセッサおよび応用ソフトウェア開発環境の研究・開発に従事.本社技術企画室を経て,現在,ブロードバンドシステムLSI開発センター参事.独立行政法人情報処理推進機構ソフトウェア・エンジニアリング・センター組込み系プロジェクトサブリーダー.
  パネリスト:所 眞理雄(ソニー)
1975年慶應義塾大学大学院電気工学専攻博士課程を修了,同大学助手,専任講師,助教授を経て1991年より理工学部電気工学科教授.その間,ウォータールー大学ならびにカーネギーメロン大学訪問助教授.1988年にソニーコンピュータサイエンス研究所を創立し,取締役副所長を兼務.1997年慶応義塾大学を退職し,ソニー(株)執行役員上席常務ならびにソニーコンピュータサイエンス研究所代表取締役社長に就任.ソニー(株)IT研究所長,CTO,プラットフォームテクノロジーセンタープレジデントなどを経て,2004年より(株)特別理事,イノベーション戦略室担当.2006年よりコーポレートエグゼクティブSVP,技術渉外担当.2005年にフランス共和国より国家功労賞オフィシエ受賞.
 

 
特別セッション(2):情報爆発時代における理論と実際

3月7日(水)9:30-12:00[第1イベント会場(57号館2階 201教室)]
  [全体概要]
実際的な研究と理論研究との間のギャップの存在,それは分野を問うことのない永遠かつ困難な問題であり,情報学においても例外ではない.過去にも幾度となくこの問題は取りざたされているであろうテーマではあるが,本特別セッションでは,IT研究におけるこのテーマを取り上げる.まず,実際的な研究と理論研究との間に横たわるギャップを双方の研究者の立場から指摘し,理論と実際のコラボレーションを行ううえで解消すべき問題点を共有する.
その上で,将来における両者のコラボレーションをどのように構築すればよいかを議論する.
会場からの発言を大いに歓迎し,そのための時間を十分に取るので,ぜひ,多くの方にご参加いただき,理論と実際のコラボレーションのあるべき姿について活発にご議論いただきたい.
 
基調講演(1):情報爆発と実世界インタラクション
3月7日(水)9:30-9:50[第1イベント会場(57号館2階 201教室)]
  [講演概要]
情報爆発の問題は,発生時に実世界と結びついていた情報がメディア化によってそのルーツを失い,ばらばらになって人々のもとに押し寄せるために生じるものであると考えられる.種々のセンサーからの情報が情報ネットワークによって大量にばらまかれるようになると,この傾向はますます加速される恐れがある.この問題を解決するためには,情報発生状況に関するメタ情報をうまく管理して,情報の受け手が眼前の状況との関わりをもつ情報だけを選別して,自分の行動の流れに適したストーリーとして再構成して,自分の行動に活用できるようにすることであろう.ここでは,実世界インタラクション−なかでも実世界会話− に焦点をあてて,実世界インタラクションにおいて発生する情報を実世界との関わりのなかで捉えて,別の場面で再利用するアプローチを提案する.これまでの研究成果を紹介し,今後の展望を示す.
  西田 豊明(京大)
1977年京都大学工学部卒業.1979同大学院修士課程修了.1993年奈良先端科学技術大学院大学教授,1999年東京大学大学院工学系研究科教授,2001年東京大学大学院情報理工学系研究科教授を経て,2004年4月京都大学大学院情報学研究科教授.会話情報学,社会知のデザインの研究に従事.日本学術会議連携会員.2006年本学会フェロー,IFIP TC12日本代表,人工知能学会理事・編集委員長.
 
基調講演(2):計算理論の現実の場での応用例−講演者の経験から
3月7日(水)9:55-10:15[第1イベント会場(57号館2階 201教室)]
  [講演概要]
情報科学の中でも,計算理論は抽象的なモデルを考え,数学的な手法を用いた厳密な証明や解析を重んじる分野である.計算理論の研究が情報科学や工学の発展の基盤として重要な役割を持つことは,歴史的に認められる事実である.一方,情報社会の発展と利用範囲の拡大につれ,計算理論が古典的な趣を持つ学問になり,数学的な難解さもあいまって,現実のシステムやソフトウエアの設計者などに身近でなくなっている事も事実である.この現状を憂慮して,計算理論の成果を有効に利用する仕組みが必要であるという声がよく聞かれる.本講演では,企業の研究所で計算理論の専門家として働いていた経験から,計算理論の成果を,応用により近い研究(データマイニングや最適化,電子商取引など)に利用する際の,自分自身の成功や失敗の事例や原因について紹介し,必要な要素について話題の提供を行う予定である.
  徳山 豪(東北大)
1985年東京大学理学系大学院数学専門課程卒(理学博士).日本IBM東京基礎研究所研究員(1986-1999).東京大学数理科学研究科連携客員教授(1999).現在,東北大学大学院情報科学研究科情報システム評価学分野教授.
アルゴリズム理論を中心に,理論計算機科学,離散数学,データマイニング等の研究を行う.
著書:はみだし幾何学(岩波書店),データマイニング(共立出版),離散数学とその応用(数理工学社)など.
授賞歴:情報処理学会研究賞,同Best Author賞,日本IBM科学賞,船井情報科学振興賞など.
 
パネル討論:理論と実際のコラボレーションは可能なのか?
3月7日(水)10:20-12:00[第1イベント会場(57号館2階 201教室)]
  [討論概要]
基調講演2件を受け,実際的な研究と理論研究との間のギャップをさらに掘り下げ,理論と実際のコラボレーションを行ううえで解消すべき課題を会場も含めて共有する.その上で,お互いの良い点をとって,協力してビッグプロジェクトを行い成功させるにはどうすればよいのかを,これまでにうまくいった事例を紹介しつつ,議論する.会場からの発言を大いに歓迎し,そのための時間を十分に取るので,ぜひ,多くの方にご参加いただき,理論と実際のコラボレーションのあるべき姿について活発にご議論いただきたい.
  司会:山下 雅史(九大)
1977年京都大学大学院工学研究科情報修士,1980年名古屋大学大学院工学研究科情報博士,1981年工学博士(名古屋大学).
1980年豊橋技術科学大学助手,1985年広島大学工学部助教授,1992年同教授,1998年九州大学大学院システム情報科学研究院教授.
主要な研究テーマは分散システムの基礎理論.
計算機ネットワークばかりでなく,群ロボットや分子計算などに興味を持つ.
  パネリスト:宇野 毅明(国立情報学研)
1998年東京工業大学総合理工学研究科博士課程終了,博士(理学)を取得.同大学経営工学専攻助手を経て2001年から国立情報学研究所助教授を勤める.専門はアルゴリズム理論.特に基礎的な問題にアルゴリズム的構造解析からアプローチしており,文字列,列挙,グラフクラス,データマイニング,動的計画法などの問題に対して成果がある.応用においてもアルゴリズム実装を含め,他分野の研究者とも多くの共同研究を行っている.
  パネリスト:小林 直樹(東北大)
1968年生.1991年東京大学理学部情報科学科卒.1993年同大学大学院理学系研究科情報科学専攻修士課程修了,同年博士課程進学.東京大学大学院理学系研究科情報科学専攻助手,講師,東京工業大学大学院情報理工学研究科助教授を経て2004年より東北大学大学院情報科学研究科教授,現在に至る.博士(理学).型理論,プログラム解析,並行計算などに興味を持つ.ACM,情報処理学会,各会員.2001年IFIP TC2 Manfred Paul Award,2003年日本IBM科学賞受賞.
  パネリスト:武田 英明(国立情報学研)
1986年3月東京大学工学部卒業.1988年3月同大学院工学系研究科修士課程修了.1991年3月同博士課程修了.東京大学工学博士.ノルウエー工科大学,奈良先端科学技術大学院大学を経て,2000年4月から国立情報学研究所助教授,2003年5月同教授.2006年4月同学術コンテンツサービス研究開発センター長(併任).東京大学人工物工学研究センター寄付部門客員教授(兼務).大阪大学特任教授.知識共有,設計学等の研究に従事.人工知能学会,情報処理学会,電子情報通信学会,精密工学会,AAAI,Design Society各会員.
  パネリスト:徳山 豪(東北大)
1985年東京大学理学系大学院数学専門課程卒(理学博士).日本IBM東京基礎研究所研究員(1986-1999).東京大学数理科学研究科連携客員教授(1999).現在,東北大学大学院情報科学研究科情報システム評価学分野教授.
アルゴリズム理論を中心に,理論計算機科学,離散数学,データマイニング等の研究を行う.
著書:はみだし幾何学(岩波書店),データマイニング(共立出版),離散数学とその応用(数理工学社)など.
授賞歴:情報処理学会研究賞,同Best Author賞,日本IBM科学賞,船井情報科学振興賞など.
    パネリスト:豊田 正史(東大)
1971年生.1994年東京工業大学理学部卒業.1999年同大学大学院情報理工学研究科博士後期過程修了.博士(理学).同年東京大学生産技術研究所博士研究員.2004年同所特任助教授に就任.2006年より同所助教授.ウェブマイニング,ユーザインタフェース,情報可視化,ビジュアルプログラミングに興味を持つ.ACM,IEEE CS,日本ソフトウェア科学会各会員.
  パネリスト:西田 豊明(京大)
1977年京都大学工学部卒業.1979同大学院修士課程修了.1993年奈良先端科学技術大学院大学教授,1999年東京大学大学院工学系研究科教授,2001年東京大学大学院情報理工学系研究科教授を経て,2004年4月京都大学大学院情報学研究科教授.会話情報学,社会知のデザインの研究に従事.日本学術会議連携会員.2006年本学会フェロー,IFIP TC12日本代表,人工知能学会理事・編集委員長.
 

 
特別セッション(3):真に社会的受容をもたらすイノベーションの創出へむけて
          −新しいユーザー像と提供価値−


3月7日(水)14:30-16:30[第1イベント会場(57号館2階 201教室)]
  [全体概要]
ICTは確かに人・社会に新たな利便性を提供してきている.しかし,携帯電話に代表される個人用ガジェットが提供する面白さ・利便性に比べ,我々が仕事や生活の部分局面で利用する情報サービスや情報アプライアンスは,十分な満足度を与えるレベルに達していないばかりでなく,人々に種々の利用上の負担(隠れた)がかかり,サービスの不備への批判も絶えず,真の社会的受容とはかけ離れた状況になっている.現行のICTによるサービスの多くは,個々に独立した人工物には留まらず,暗黙的に社会システムの構成要素として取り込まれる.そうした状況にもかかわらず,現在のサービスの多くが,発注者(システムを使わせたい者)と開発者の間だけで計画され,本質的にトータルな人間観を基にしたサービス利用者の視点が欠落しているのではないか.利用者は人間としての日常活動の一環としてシステムを用いるのであり,システムの為に活動するのではない.その視点に立ったとき,従来のICTの発展(研究・開発)とは一線を画した新しいアプローチが必要なのではないだろうか.真に社会的に受容されるICTイノベーションに関して,ICTの提供価値そのものへの吟味,利用者側の視点も交えて,これまでのICTサービスのアプローチのどこがいけないのか,どうすれば改善されるのかを考えてみる必要があるのではないか.このセッションでは,教育現場・医療現場・生活者現場・仕事現場などにかかわるステークホルダーのそれぞれの立場を代表する方々のパネル討議を通じ,課題を明らかにし解決策への道筋を探ってゆきたい.
 
趣旨説明
3月7日(水)14:30-14:50[第1イベント会場(57号館2階 201教室)]
  上林 憲行(東京工科大)
1980年慶應義塾大学大学院理工学研究科博士課程修了,工学博士.広島大学工学部助手,富士ゼロックス(株)入社後,主幹研究員(Research Fellow),研究所所長等を歴任.メディア・サービスアーキテクチャの研究開発に従事.2000年山形大学工学部情報科学科教授を経て2003年より現職.人工知能学会理事,情報処理学会理事,情報処理学会情報メディア研究会幹事・主査を歴任.現在,情報処理学会ネットワーク生態学研究G主査.サービスサイエンス,ネットワーク生態学,情報臨床工学に関心をもつ.
 
パネル討論
3月7日(水)14:50-16:30[第1イベント会場(57号館2階 201教室)]
  [討論概要]
教育現場・医療現場・生活者現場・仕事現場などにかかわる立場を代表する方々討議を通じ、課題を明らかにし解決策への道筋を探る
  司会:上林 憲行(東京工科大)
1980年慶應義塾大学大学院理工学研究科博士課程修了,工学博士.広島大学工学部助手,富士ゼロックス(株)入社後,主幹研究員(Research Fellow),研究所所長等を歴任.メディア・サービスアーキテクチャの研究開発に従事.2000年山形大学工学部情報科学科教授を経て2003年より現職.人工知能学会理事,情報処理学会理事,情報処理学会情報メディア研究会幹事・主査を歴任.現在,情報処理学会ネットワーク生態学研究G主査.サービスサイエンス,ネットワーク生態学,情報臨床工学に関心をもつ.
  パネリスト【生活の視点】:伊藤 淳子(エイガアル)
女性,食,農業をテーマとしたコンテンツ・プロデュースや地域活性化,コミュニティ・ビジネス,ICTおよびISTに早期から取り組んでいる.総務省「eコミュニティ地域SNS実証実験」では五島市SNSほか,地域SNSの運営に係る.「Web2.0時代の地域のありかた」研究会,農林水産省「食料・農業・農村政策審議会」,日本酪農乳業協会等委員.
株式会社エイガアル http://www.a-girl.co.jp
    パネリスト【教育の視点】:高橋 正視(教育ソフト研)
1945年新潟県生まれ.1969年東京大学工学部計数工学科卒業.同年通商産業省入省.電子計算機専門職として省内のシステム開発を担当するほか,情報処理振興課において情報処理技術者試験なども担当.1979年東京都立白鴎高校数学科教員となり,1989年に退職.その後有限会社教育ソフト研究所において教育ソフトの開発を行うほか,情報処理技術者試験センターにおいて,技術課長,技術顧問を歴任.現在は,東京都足立区渕江小学校の算数ボランティア兼ステップアップ講師を務める.
  パネリスト【医療の視点】:中島 和江(阪大医学部附属病院)
1984年神戸女子薬科大学薬学部,1989年大阪大学医学部医学科卒業,1996年ハーバード公衆衛生大学院医療政策学部修士課程卒業.1989年大阪大学医学部附属病院第二内科,1990年市立豊中病院内科,1995年ハーバード・リスクマネジメント・ファンデーション損失予防部インターン,2000年大阪大学大学院医学系研究科社会環境医学助手,2003年大阪大学医学部附属病院中央クオリティマネジメント部助教授を経て,2005年より同部病院教授.
    パネリスト【全体を認知科学,とりわけ人とシステムの界面から考察】:原田 悦子(法政大)
法政大学社会学部教授.筑波大学人間学類(心理学),同大学院(博)心理学研究科を修了後,日本アイビーエム(株)東京基礎研究所研究員(認知工学)を経て現職.教育学博士.専門は認知心理学・認知工学・認知科学.主な研究領域は,人間の記憶と学習(経験による変化),および人−人工物(モノ)間相互作用分析に基づく人工物デザイン研究.特に近年は,認知的高齢化と使いやすさ,認知的視点からみた医療安全,インタフェイスとしてのロボットに興味を持つ.
  パネリスト【オフィスワーカーの視点】:山崎 竹視(富士ゼロックス)
1973年慶應義塾大学大学院工学研究科修士課程修了.
日本電気(株)を経て,1983年富士ゼロックス(株)に入社しSmalltalk80処理系研究開発に従事.
現在は,遠隔協業における周辺参加の支援とその効果に興味を持っている.
同社研究本部フェロー.ACM会員.
 

 
特別セッション(4):産学連携によるIT人材の育成

3月8日(木)9:30-12:00[第1イベント会場(57号館2階 201教室)]
  [全体概要]
情報技術の急速な発展に伴い,情報産業界で必要とされるスキルと,大学でなされる教育の間の大きなギャップが社会問題となってきている.そこで,企業,大学の人材教育に関する識者を招き,パネル討論を通して,産学それぞれで行われている人材育成の共通点,相違点について明らかにすることで,今後の大学と産業界の目指すべき人材育成の方向性について展望する.
 
基調講演(1):刺激的な未来創出に向けた人材を求める新しい産学連携の取り組み
3月8日(木)9:30-10:10[第1イベント会場(57号館2階 201教室)]
  [講演概要]
今,ITは,あらゆる産業に,社会,経済,生活基盤に大きな影響を与えてきています.さらに,この動きは地球レベルで加速されています.そしてその加速を支えるIT技術の進展も目覚しいものがあります.世界(米,欧,アジア,新興諸国)で,この動きにあわせて高度ICT人材の育成に向けた積極的な施策がおこなわれています.ところが,日本では,逆に,近年の学生の理系離れが大きな課題になり,IT人材の不足が深刻化しています.グローバル化の急速な波が経済のサービス化などを促し,世界中のCEOが,必要とするのはイノベーション能力だと言っています.そのようなトレンドを見据えて,基礎力を持って柔軟に環境の変化に対応できるような人材を育成するのに,新しい産学連携の形や場が望まれています.経団連高度情報通信人材育成部会では2006年5月に拠点候補として筑波大学と九州大学の2大学,及び協力拠点候補として7大学を決定しました.今後文部科学省とも連携を取りながら,日本の国際競争力を支える高度IT人材の育成を,これら拠点候補大学を中心に協力して行きます.
  岩野 和生(日本IBM)
1975年 東京大学理学部数学科卒業後,日本アイ・ビー・エム(株)入社.1987年 プリンストン大学よりPh.D.取得.
1995-2000年 東京基礎研究所所長.2001年米国IBM T. J. ワトソン研究所でオートノミックコンピューティング担当ディレクター.
2002年 基礎研究&エマージングビジネス担当取締役.2003年 同執行役員.2004年7月 大和ソフトウエア研究所担当.現在に至る.
専門分野は,グラフ・アルゴリズム,組合せ最適化,オートノミックコンピューティング.
2003年 情報処理学会フェロー.
 
基調講演(2):トップエスイーの目指すもの −サイエンスによる知的ものづくり教育−
3月8日(木)10:10-10:50[第1イベント会場(57号館2階 201教室)]
  [講演概要]
16年度文科省科学技術振興調整費の支援を得て,国立情報学研究所は,産業界の10社(NTTデータ,東芝,日本電気,日立,富士通研,CSK,松下電器,鹿島建設,三菱総研,日本ユニシス:順不同)と共にトップクラスのソフトウェア技術者(スーパーアーキテクトと呼ぶ)の養成プログラムを立ち上げている.
ここでスーパーアーキテクトとは,計算機科学に関する豊富な知識を持つと同時に,もっとも重要な能力である問題の抽象化力,モデリング力を有しているソフトウェア技術者と定義する.本プログラムでは,産業界から数年先の実問題を導入し,それに対してのサイエンスに基づくソフトウェアツールの適用可能性を検証し,その上で,教材を開発している.その教材に基づいて,受講生が多種多様なソフトウェアツールを実問題に対して適用するという反復学習過程で自ずと問題の抽象化力,モデリング力が備わることを目指している.なお,開発した教材は全国の大学,産業界にも広く配布していく予定である.
  本位田 真一(国立情報学研)
1978年早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了.
(株)東芝を経て2000年より国立情報学研究所教授,2004年より同研究所アーキテクチャ科学研究系研究主幹を併任,現在に至る.
2001年より東京大学大学院情報理工学系研究科教授を兼任,現在に至る.2005年度パリ第6大学招聘教授.早稲田大学客員教授.
工学博士(早稲田大学).1986年度情報処理学会論文賞受賞.
日本ソフトウェア科学会理事,情報処理学会理事を歴任.日本学術会議連携会員.
 
パネル討論:IT人材教育における大学の役割,企業の役割
3月8日(木)11:00-12:00[第1イベント会場(57号館2階 201教室)]
  [討論概要]
経団連の社会提言,文科省の先導的ITスペシャリスト育成推進プログラム,総務省の情報セキュリティ分野対象の人材育成・資格制度体系化専門委員会審議,経産省の産業構造審議会配下での人材育成WG審議など,IT人材教育に対する感心と要求とが高まっている.IT人材教育において,大学は何をなすべきか,企業は何をなすべきか.それぞれの立場からのパネリストの討論によって明らかにしていく.
  司会:筧 捷彦(早大)
1970年東京大学大学院工学系研究科修士課程修了,東京大学助手,立教大学理学部講師・助教授を経て,1986年から早稲田大学理工学部教授(コンピュータ・ネットワーク工学科).
プログラミングおよびプログラム言語に関して研究教育を行う.
本会フェロー,情報処理教育委員会委員長.学術会議連携会員.日本ソフトウェア科学会,ACM等会員.
  パネリスト:岩野 和生(日本IBM)
1975年 東京大学理学部数学科卒業後,日本アイ・ビー・エム(株)入社.1987年 プリンストン大学よりPh.D.取得.
1995-2000年 東京基礎研究所所長.2001年米国IBM T. J. ワトソン研究所でオートノミックコンピューティング担当ディレクター.
2002年 基礎研究&エマージングビジネス担当取締役.2003年 同執行役員.2004年7月 大和ソフトウエア研究所担当.現在に至る.
専門分野は,グラフ・アルゴリズム,組合せ最適化,オートノミックコンピューティング.
2003年 情報処理学会フェロー.
  パネリスト:大岩 元(慶大)
1965年,東京大学理学部物理学科卒.1971年東京大学大学院理学系研究科博士課程修了,理学博士.東京大学理学部助手,豊橋技術科学大学講師,同・助教授,同・教授を経て1992年慶應義塾大学環境情報学部教授.情報教育学,ソフトウェア工学,認知工学の研究に従事している.
所属学会:情報処理学会(フェロー),CIEC(Council for Improvement of Education through Computers理事),日本ソフトウェア科学会,電子情報通信学会,教育システム情報学会,日本教育工学会,日本オペレーションズリサーチ学会,人工知能学会.
  パネリスト:西尾 章治郎(阪大)
1975年京都大学工学部数理工学科卒業.1980年京都大学院工学研究科博士後期課程修了.工学博士.京都大学助手等を経て,現在,大阪大学大学院情報科学研究科長・教授.大阪大学サイバーメディアセンター長,文部科学省科学官等を歴任.データベース,マルチメディアシステムの研究に従事.電子情報通信学会業績賞・論文賞,人工知能学会論文賞,日本データベース学会論文賞等を受賞.
岩波講座「マルチメディア情報学」,「インターネット」等を編集・執筆.本会理事を歴任.
  パネリスト:本位田 真一(国立情報学研)
1978年早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了.
(株)東芝を経て2000年より国立情報学研究所教授,2004年より同研究所アーキテクチャ科学研究系研究主幹を併任,現在に至る.
2001年より東京大学大学院情報理工学系研究科教授を兼任,現在に至る.2005年度パリ第6大学招聘教授.早稲田大学客員教授.
工学博士(早稲田大学).1986年度情報処理学会論文賞受賞.
日本ソフトウェア科学会理事,情報処理学会理事を歴任.日本学術会議連携会員.
 

 
特別セッション(5):文部科学省 先導的ITスペシャリスト人材育成推進プログラム

3月8日(木)14:30-17:00[第1イベント会場(57号館2階 201教室)]
  [全体概要]
本セッションでは,日本のソフトウェア分野における高度人材育成に関して大きな期待が寄せられている文部科学省「先導的ITスペシャリスト人材育成推進プログラム」を取り上げる.講演(1)では,文部科学省から本プログラムの趣旨等を説明する.その後,講演(2)では,採択された大学連携6チームから,各チームが企画しているプログラムの概要を紹介する.その後,パネル討論に移り,産官の立場からのパネリストが,先導的ITスペシャリストとして求める人材像およびこのプログラムに寄せる期待等を述べる.それらの意見をもとに,国家的にも重要な本プログラムがより意義あるものとなるように,会場参加者も含めて相互に意見交換をする.
 
講演(1):先導的ITスペシャリスト育成推進プログラムの概要
3月8日(木)14:30-14:45[第1イベント会場(57号館2階 201教室)]
  [講演概要]
近年,我が国を支える社会インフラの基盤となっているソフトウェア技術を担う人材の質・量の不足が指摘されている.
このため,文部科学省においては,本年度より,大学間及び産学の壁を乗り越えて潜在力を結集し,教育内容・体制を強化することにより,世界最高水準のソフトウェア技術者として求められる専門的スキルを有するとともに,社会情勢の変化等に先見性をもって柔軟に対処し,企業等において先導的役割を担う人材を育成することを目的とした「先導的ITスペシャリスト育成推進プログラム」を実施している.
本講演では,本事業を実施するに至った経緯をはじめ,第3期科学技術基本計画やIT新改革戦略など,政府における高度情報通信人材育成の位置付けとともに,今後の知識基盤社会を支える大学に対する期待などについて説明する.
 

一居 利博(文部科学省)

 
講演(2):各育成拠点の取組み紹介
3月8日(木)14:45-15:15[第1イベント会場(57号館2階 201教室)]
  筑波大学グループ:田中 二郎(筑波大)
1975年東京大学理学部卒.1977年同大学院理学系研究科修士課程修了.1984年米国ユタ大学計算機科学科博士課程修了,Ph.D. in Computer Science.1984年から1992年富士通(株)勤務,その間1985年から1988年に(財)新世代コンピュータ技術開発機構に出向.
1993年から筑波大学に勤務,現在,同大学院システム情報工学研究科教授.2002年4月から2006年3月まで筑波大学第三学群情報学類長.
2004年4月からはシステム情報工学研究科コンピュータサイエンス専攻長.2006年4月からは電子・情報工学系長を兼務.
 
  東京大学グループ:竹内 郁雄(東大)
1969年東京大学理学部数学科卒業.1971年同大学大学院修士課程終了.博士(工学)東京大学.
電電公社電気通信研究所,NTT基礎研究所,NTTソフトウェア研究所,電気通信大学情報工学科教授を経て,2005年より現職.
情報処理学会,日本ソフトウェア科学会,ACM各会員.
 
  慶應義塾大学グループ:徳田 英幸(慶大)
1975年慶應義塾大学工学部卒.同大学院工学研究科修士.ウォータールー大学計算機科学科博士(Ph.D. in Computer Science).1983年米国カーネギーメロン大学計算機科学科に勤務,研究准教授を経て,1990年より,慶應義塾大学環境情報学部に勤務.慶應義塾常任理事(1997-2001年)を経て,現職.主に,オペレーティングシステム,分散システム,ユビキタスコンピューティングシステムに関する研究に従事.現在,情報処理学会ユビキタスコンピューティングシステム研究会顧問,ネットワークロボットフォーラム会長,ユビキタスネットワークフォーラム技術部会長&電子タグ高度利活用部会長,総務省ユビキタスネット社会の実現に向けた基本政策WG副委員長.研究教育業績に関してMotorola Foundation Award, IBM Faculty Award, 経済産業大臣賞,総務大臣賞などを受賞.
 
  名古屋大学グループ:野呂 昌満(南山大)
1958年生.1981年慶應義塾大学工学部卒.1983年同大学院工学研究科前期博士課程修了.1986年同後期博士課程単位取得退学.
1986年より南山大学経営学部講師,助教授,教授を経て,2000年より同大学数理情報学部教授,現在に至る.
この間1988年から1990年まで米国メリーランド大学計算機科学科客員研究員.工学博士.
ソフトウェアアーキテクチャ,アスペクト指向ソフトウェア開発に興味を持つ.
 
  大阪大学グループ:井上 克郎(阪大)
1979年阪大・基礎工・情報卒.1984年同大大学院博士課程了.同年同大・基礎工・情報・助手.
1984〜1986年ハワイ大マノア校・情報工学科・助教授.1989年阪大・基礎工・情報・講師.1991年同学科・助教授.1995年同学科・教授.2002年阪大・情報・コンピュータサイエンス・教授.工学博士.
ソフトウェア工学の研究に従事.情報処理学会,日本ソフトウェア科学会,IEEE,ACM各会員.
 
  九州大学グループ:福田 晃(九大)
1977年九大・工・情報卒.1979年同大大学院修士課程了.同年NTT研究所入所.1983年九大・総理工助手.1989年同大学助教授.1994年奈良先端科学技術大学院大学教授.
2001年九大・システム情報科学研究院教授,現在に至る.工学博士.
ITC教育,および組込みソフトウェア,ユビキタスコンピューティングに関する研究に従事.
 
パネル討論:先導的ITスペシャリスト育成推進プログラムへの期待
3月8日(木)15:30〜17:00[第1イベント会場(57号館2階 201教室)]
  [討論概要]
本パネル討論では,「先導的ITスペシャリスト人材育成推進プログラム」を推進している拠点からの3名のパネリストに加えて,ソフトウェアベンダーの立場から山下徹氏(NTTデータ),ソフトウェア業界団体の立場から富野壽氏(構造計画研究所,JISA),および先進ソフトウェア開発プロジェクトを産学官の枠組みを越えて展開しているソフトウェア・エンジニアリング・センター(SEC)所長の鶴保征城氏がパネリストとして参画して議論を展開する.まず,産業界およびSECの立場から,先導的ITスペシャリストとして求める人材像およびこのプログラムに寄せる期待等を述べる.それらの発表に対する育成拠点からのパネリストによる対応意見,さらに会場参加者からの意見も含めて,国家的にも重要な本プログラムがより強化され有効なものとなるように,相互に意見を交換する.
  司会:西尾 章治郎(阪大)
1975年京都大学工学部数理工学科卒業.1980年京都大学院工学研究科博士後期課程修了.工学博士.京都大学助手等を経て,現在,大阪大学大学院情報科学研究科長・教授.大阪大学サイバーメディアセンター長,文部科学省科学官等を歴任.データベース,マルチメディアシステムの研究に従事.電子情報通信学会業績賞・論文賞,人工知能学会論文賞,日本データベース学会論文賞等を受賞.
岩波講座「マルチメディア情報学」,「インターネット」等を編集・執筆.本会理事を歴任.
  パネリスト【産官からのメンバー】:鶴保 征城(IPA/SEC)
1942年大阪府出身,工学博士.1966年大阪大学大学院工学研究科電子工学専攻修士課程修了後,同年4月日本電信電話公社(現NTT)入社.1989年11月NTTソフトウェア研究所長,1993年6月NTTデータ通信株式会社取締役開発本部長,1995年6月同社常務取締役技術開発本部長を歴任し,1997年 6月NTTソフトウェア株式会社代表取締役社長に就任.2004年6月独立行政法人情報処理推進機構参与.同年10月ソフトウェア・エンジニアリング・センター所長に就任.高知工科大学工学部情報システム工学科教授(2003年〜),奈良先端科学技術大学院大学客員教授(2003年〜),和歌山大学システム情報学センター客員教授(2005年〜),独立行政法人日本学術振興会「基盤的ソフトウェア技術開拓」に関する研究開発専門委員会委員(2003年〜),独立行政法人科学技術振興機構学技術振興調整費審査ワーキンググループ委員(2005年〜),日本郵政公社アドバイザリーグループメンバー(2005年〜),独立行政法人科学技術振興機構大学発ベンチャー創出推進事業評価委員会委員(2005年〜),経済産業省産業構造審議会臨時委員(2005年〜),社団法人情報処理学会会長(2001年〜2002年),XMLコンソーシアム会長(2001年〜),日本BPM協会副会長(2006年〜),社団法人電気情報通信学会フェロー,社団法人情報処理学会フェロー.
  パネリスト【産官からのメンバー】:富野 壽(構造計画研究所)
1959年3月東京工業大学理工学部卒業.同年(株)構造計画研究所入社.1982年3月〜1987年6月日本データゼネラル(株)代表取締役社長.
1987年6月〜2002年9月(株)構造計画研究所代表取締役社長.2002年10月〜会長 現在に至る.
(社)情報サービス産業協会常任理事(1995年6月〜).
「ソフトウェア開発の定量化手法」,「ソフトウェアプロセス改善」,「ソフトウェア見積りのすべて」,「ソフトウェア品質工学の尺度とモデル」など監訳書多数.
  パネリスト【産官からのメンバー】:山下 徹(NTTデータ)
東京工業大学理工学部卒業後日本電信電話公社に入社.1988年のNTTデータ通信株式会社(当時)分社以降,産業営業本部長,ビジネス開発事業本部長,経営企画部長などを歴任し,2005年より株式会社NTTデータ代表取締役副社長執行役員.日本経団連高度情報通信人材育成部会長,情報サービス産業協会(JISA)副会長を務める.主な著書:「これからのITマネジメント戦略(1999年)」,「世界のペイメントカード(2004年)」,「危機対応社会のインテリジェンス戦略(2006年)」等.
  パネリスト【育成拠点からのメンバー】:竹内 郁雄(東大)
1969年東京大学理学部数学科卒業.1971年同大学大学院修士課程終了.博士(工学)東京大学.
電電公社電気通信研究所,NTT基礎研究所,NTTソフトウェア研究所,電気通信大学情報工学科教授を経て,2005年より現職.
情報処理学会,日本ソフトウェア科学会,ACM各会員.
  パネリスト【育成拠点からのメンバー】:田中 二郎(筑波大)
1975年東京大学理学部卒.1977年同大学院理学系研究科修士課程修了.1984年米国ユタ大学計算機科学科博士課程修了,Ph.D. in Computer Science.1984年から1992年富士通(株)勤務,その間1985年から1988年に(財)新世代コンピュータ技術開発機構に出向.
1993年から筑波大学に勤務,現在,同大学院システム情報工学研究科教授.2002年4月から2006年3月まで筑波大学第三学群情報学類長.
2004年4月からはシステム情報工学研究科コンピュータサイエンス専攻長.2006年4月からは電子・情報工学系長を兼務.
  パネリスト【育成拠点からのメンバー】:徳田 英幸(慶大)
1975年慶應義塾大学工学部卒.同大学院工学研究科修士.ウォータールー大学計算機科学科博士(Ph.D. in Computer Science).1983年米国カーネギーメロン大学計算機科学科に勤務,研究准教授を経て,1990年より,慶應義塾大学環境情報学部に勤務.慶應義塾常任理事(1997-2001年)を経て,現職.主に,オペレーティングシステム,分散システム,ユビキタスコンピューティングシステムに関する研究に従事.現在,情報処理学会ユビキタスコンピューティングシステム研究会顧問,ネットワークロボットフォーラム会長,ユビキタスネットワークフォーラム技術部会長&電子タグ高度利活用部会長,総務省ユビキタスネット社会の実現に向けた基本政策WG副委員長.研究教育業績に関してMotorola Foundation Award, IBM Faculty Award, 経済産業大臣賞,総務大臣賞などを受賞.
 

 
シンポジウム(1):情報専門学科カリキュラムJ07−その骨子

3月6日(火)10:00-12:30[第2イベント会場(57号館2階 202教室)]
  [全体概要]
情報処理学会が情報専門学科のカリキュラム標準を策定したのは,直近では1997年のことであった.それから10年が経とうとしている.その間に,インターネットの爆発的な発展があり,ウェブサービスなど,IT分野での技術動向もおおきく変貌をとげてきた.
その中で,米国では,IEEE CSとACMとが協力して,CC(Computing Curriculum)2001を公表しCS領域に対する標準カリキュラムを提示したのを皮切りに,2002年にはIS領域,2003年にはSE領域,2004年にはCE領域,そして2005年にはIT領域と,標準カリキュラムを公表してきた.この一連の標準カリキュラムに特徴的なことは,具体的なコース設定,科目設定などは例示にとどめ,その特定領域のカリキュラムにおいて扱うべき知識項目とその深さとを知識体系(Body of knowledge)として定めたことにある.さらに,それらの中で,最低限身に付けさせるべきものをcoreとして明示した.
日本においても,この新しい状況に対応した標準カリキュラムを定めるべきであると,大学側からも産業界からも強く要請を受けるに至り,学会としてJ97の10年後である2007年度に改訂版を作成すべく,J07プロジェクトを発足させることとなった.2006年度は,知識項目・知識体系を整理する作業にあたった.ここにその成果を発表し,広く意見を求めるものである.
なお,現に情報専門学科では,そのカリキュラムによって,どのような知識・能力を卒業生に与えているかについてのアンケート調査を2005年度に引き続いて行った.その結果も合わせて報告し,今後の議論の材料を提供する.
 
基調報告:J07プロジェクトの設定
3月6日(火)10:05-10:20[第2イベント会場(57号館2階 202教室)]
  [報告概要]
情報処理学会は,数度にわたって情報専門学科向けの標準カリキュラムを検討し公表してきた.その最近のものは1997年に公表されたもので,J97の名前で知られている.それから10年が過ぎようとし,情報分野の科学技術はいちだんと進展をみた.その進展に見あった標準カリキュラムを策定するべく,J07プロジェクトが進行中である.
この10年の間には,科学技術内容が進展したばかりでなく,大学教育の質の向上を目指す活動も広がった.そこでは,何を教えるか,ということ以上に,何ができるように育てるのかという教育学習目標を明らかにすることが求められている.その目標を達成させる教育の方法も多様化してきている.プロジェクト中心の学習形式も採用されるようになってきた.
こうした動きに合わせて,J07では,それぞれの教育学習領域ごとに”知識体系(body of knowledge)”を定めることを中心において作業を進めている.つまり,何をどこまで達成させるかを,できるだけ明確にすることを作業の中核に据えている.今年度は各学習領域の知識体系を策定するところまでの作業とし,広くコメントを求めて洗練しつつ,2007年度末までにカリキュラム例を作成する予定である.
  筧 捷彦(早大/J07プロジェクト連絡委員会委員長)
1970年東京大学大学院工学系研究科修士課程修了,東京大学助手,立教大学理学部講師・助教授を経て,1986年から早稲田大学理工学部教授(コンピュータ・ネットワーク工学科).
プログラミングおよびプログラム言語に関して研究教育を行う.
本会フェロー,情報処理教育委員会委員長.学術会議連携会員.日本ソフトウェア科学会,ACM等会員.
 
報告(1):情報専門学科での達成度調査
3月6日(火)10:20-10:35[第2イベント会場(57号館2階 202教室)]
  [報告概要]
JABEE(日本技術者教育認定機構)による認定審査および情報専門教育カリキュラムに関連して,情報専門教育に関する内容の調査を行っている.学生が卒業時点においてどの程度のレベルを有するかを,「熟達している」,「活用できる」,「使用できる」,「説明できる」,「知っている」の5段階で回答してもらい,さらに具体的な内容について記載してもらうアンケート調査を行っている.
2005年7月に理工系情報学科協議会会員学科を対象に最初のアンケート調査を行い,28学科から回答を得ている.22項目について,おおよその内容と達成度を記載してもらった.2006年はこの回答結果を比較検討のうえ,同じ22項目について対象範囲をより明確にし,また記載例を示す他,新たにJABEEに関係するCS,CE,SEおよびISの4分野についての達成度の調査を含めて行っている.この調査結果および状況について簡単に述べる.
  佐渡 一広(群馬大/達成度調査WG)
1977年東京工業大学理学部情報科学科卒業.1979年同大学院修士課程修了.1983年同大学院博士課程単位取得退学.
1983年群馬大学工学部助手.1987年同大学助教授.1993年同大学社会情報学部助教授.理学博士.
プログラミング言語,教育支援,電子民主主義等に興味を持つ.
ACM,IEEE,日本ソフトウエア科学会他会員.
 
報告(2):CS領域の知識項目
3月6日(火)10:35-10:50[第2イベント会場(57号館2階 202教室)]
  [報告概要]
わが国の理系情報学科のカリキュラムモデル案は,J97までは,米国同様,CS(コンピュータ科学)として作成し提示していた.しかし情報分野の最近の拡大と多様化によって,SE,CEなど5分野それぞれにカリキュラム案を作成することになった.その中でのCSの占める位置はどのようなものだろうか.米国版CC2001CSは,知識項目からなる知識体系(BOK, Body of Knowledge)と,知識項目を組み合わせたカリキュラム例いくつかからなる.知識項目のうちでコアユニット(必修)がCSの特徴付けを与えていると言える.CSのコアを一言でいうと「情報とコンピュータの基礎技術」であろう.重視されているエリアは,コアユニット所要学習時間数で測ると,離散構造,プログラミング基本,アルゴリズム,アーキテクチャ,ソフトウェア工学などである.
日本版CSモデル案の作成にあたっては,この基礎技術中心の考え方を保ちつつ,日本固有の事情や特長を生かし,さらに国際共通性との調和をいかに追求するかが課題であると考えている.
  疋田 輝雄(明大/CS委員会委員長)
1989年から明治大学理工学部情報科学科教授.
計算理論,ネットワークコンピューティング等に興味をもっている.
2003年から情報処理学会コンピュータ科学教育委員会委員長.
著書は「コンパイラの理論と実現」(共立出版)など.
「情報科学こんせぷつ」(朝倉書店)共同編集.
 
報告(3):IS領域の知識項目(ISBOK)
3月6日(火)11:00-11:15[第2イベント会場(57号館2階 202教室)]
  [報告概要]
情報システム(IS)の専門家には,情報技術の解決手法と情報に関する企業のニーズを満たす業務プロセスに焦点をあてて,企業の目標を効果的かつ効率的に達成できることが求められている.このためISカリキュラムには,情報技術と称している技術的な側面,組織や管理などに注目した組織的な概念,および組織の情報システムの仕様・設計から実装・運用に焦点をあてたシステムの理論と開発などに関する知識項目(BOK)が組み込まれる.ISBOKはISモデルプログラム(IS '97)作成時に集大成され,知識項目は4階層まで詳細化された.以後,これを基に,時代の変化を反映して追加修正することになっている.
J07で検討しているISBOKは,ISJ2001(情報処理学会ISモデルカリキュラム;CC2001反映),IS2002(IS '97の改訂版;CC2005対応)を継承しており,我が国固有の教育環境で必要な知識が反映されている.
  神沼 靖子(IS委員会委員長)
1961年東京理科大理学部数学科卒.
日本鋼管,横浜国大,埼玉大,帝京技科大を経て,2003年前橋工科大教授を定年退職.博士(学術).
情報システム教育委員会委員長,情報処理教育委員会委員,アクレディテーション委員会委員など.
情報システム教育カリキュラムISJ2001,情報工学分野社会人キャリアアッププログラムの開発に参加.
電子情報通信学会,AIS,ACMなどの会員.情報処理学会フェロー.
 
報告(4):SE領域の知識項目
3月6日(火)11:15-11:30[第2イベント会場(57号館2階 202教室)]
  [報告概要]
我が国のソフトウェア産業,そして製造業や金融業などあらゆる産業において急務なのは,実践的なソフトウェアエンジニアリング(SE)を体系的に習得した技術者の確保である.その解決のためいくつかの大学では,経団連や文科省,経産省の支援のもとに実践的なSEの講義や演習を実施している.こうした取り組みをさらに発展させるためには,各大学の取り組みを教育体系として俯瞰的に把握し,産業界の現状やニーズ,将来像とのすり合わせを行っていく必要がある.
情報処理学会情報処理教育委員会SE教育委員会(旧アクレディテーション委員会SEアクレディテーション分科会)ではこれまで,SEの教育体系としてCCSEをベースにし,日本の高等教育の現状を反映させたカリキュラムモデルJpn1を検討してきた.
今回のJ07カリキュラムの策定では,Jpn1を軸に各大学の取り組みを俯瞰し,産業界の現状やニーズ,将来像とのすり合わせを行っていく.本講演ではJpn1の概要を紹介し,J07策定に向けた方針について議論を行う.
  西 康晴(電通大/SE委員会幹事)
電気通信大学電気通信学部システム工学科講師.IPSJソフトウェアエンジニアリング教育委員会幹事.
NPO法人ASTER(ソフトウェアテスト技術振興協会)理事長.
NPO法人SESSAME(組込みソフトウェア管理者技術者育成研究会)副理事長.
某社でソフトウェアテストに関するコンサルティング部門を立ち上げた後,電気通信大学にて研究や教育,コンサルティングを行う傍ら,ソフトウェアテストのエバンジェリストとして「現場に笑顔を」をキーワードに活動している.
 
報告(5):CE領域の知識項目
3月6日(火)11:30-11:45[第2イベント会場(57号館2階 202教室)]
  [報告概要]
本CE領域はCE2004をベースに検討を行った.CE2004のコンピュータ工学の定義は概ね「現代のコンピュータシステムとコンピュータ制御機器に使用されているソフトとハードの要素の設計,組み立て,実装および維持する科学および技術を扱う分野」となっている.CE2004のBOKは,自動車の燃料噴射システム,医療機器などへのコンピュータの応用が主であり,組込み系に近い内容である.ただし,ややハード面に偏っており,日本で大量の不足が叫ばれている組込みソフト技術者を育成するには不十分である.委員会では,CE2004の骨子を生かしつつ,組込みソフト技術者を育成できる知識項目を追加することとした.
主たる追加項目は,リアルタイムOS,ソフトウェアメトリクス,デバイスドライバなどである.回路部品による回路設計などはコアから外す方針で臨み,日本版のBOKを作成した.コア時間もハードとソフトのバランスを考え,各大学の特徴を出せるように350時間程度までに減らす方針とした.
  大原 茂之(東海大/CE委員会委員長)
1971年3月東海大学大学院工学研究科修士課程電気工学専攻修了,同年4月東海大学工学部助手,現在,東海大学情報理工学部教授,工学博士.独立行政法人情報処理推進機構SEC組込みスキル標準(ETSS)領域幹事,社団法人組込みシステム技術協会理事.情報処理技術者試験委員,産業構造審議会人材育成WG委員.専門は,ハプティックデバイスの同期化技術,デバイスドライバの開発支援技術,MOT,MOSなど.
 
報告(6):IT領域の知識項目
3月6日(火)11:45-12:00[第2イベント会場(57号館2階 202教室)]
  [報告概要]
情報処理教育カリキュラムJ97の後継である『J07』は5分野で構成されるが,そのうち『IT(Information Technology)分野』について報告を行う.
情報処理学会情報処理教育委員会に新たにIT教育委員会を設置し,CC2005のIT2005をもとにIT分野のBOK(Body of Knowledge)およびカリキュラムを検討してきた.
IT分野(IT学科)は,企業等の組織におけるIT基盤の構築・維持に関する技術を対象としている.BOKは,ネットワーク,セキュリティ,Web技術,情報管理などの12の知識分野に分かれている.IT教育委員会ではIT2005をもとにIT分野の日本語版BOKを作成した.IT分野はCC2005のなかでも最も新しい分野である.今後日本でもIT分野を教える学部学科が新設させる可能性があるが,講演ではIT分野(IT学科)の狙い,日本語化されたBOKの紹介などを行う.
  駒谷 昇一(NTTソフトウェア/IT委員会委員長)
1985年NTTソフトウェア株式会社入社
情報処理学会正会員(代表会員),IT教育委員会委員長,一般情報処理教育委員会幹事,論文誌編集委員,教科書編集委員.
ITSSユーザー協会導入コンサルタント認定委員会委員長.情報サービス産業協会(JISA)技術委員会技術者育成部会長.
著書『ずっと受けたかったソフトウェアエンジニアリングの授業1,2』他
2007年3月から株式会社NTTデータ,筑波大学教授.
 
質疑応答
3月6日(火)12:00-12:30[第2イベント会場(57号館2階 202教室)]
 

 
シンポジウム(2):5周年を迎えたJABEE認定制度:現状分析と今後の展望

3月6日(火)15:00-17:30[第2イベント会場(57号館2階 202教室)]
  [全体概要]
JABEE認定制度がスタートして5年が経過した.情報および情報関連分野でも18プログラムが認定を受けており,2006年度の審査も行なわれている.また,JABEE内部では認定制度の見直しに関する議論も始まった.本シンポジウムでは,情報系専門学科の教育活動に対してJABEE認定制度が与えたインパクトを検証すると同時に,IT人材育成に関わる課題の整理を通じて,情報専門教育およびIT人材育成の今後を展望する.
 
講演(1):JABEEによる大学教育へのインパクト(1)
3月6日(火)15:03-15:15[第2イベント会場(57号館2階 202教室)]
  [講演概要]
佐賀大学知能情報システム学科では,2001年度より学部教育における教育システムの構築に着手し,2003年度にJABEE認定を受けた.本学科の教育システムの特徴としては,(1)学習・教育目標,評価基準,評価基準と科目の対応表を活用した系統的カリキュラム,(2)学科HP等を通じた各種の情報公開,(3)学科全教員によるFD活動,(4)学生に対する組織的ケアなどが挙げられる.また,JABEE認定による好影響としては,(1)第三者評価による緊張感と教育活動の改善,(2)学生の学力保証,(3)学科全教員による相互協力体制の構築,(4)定型業務のシステム化およびそれに伴う非定型業務への注力,(5)他大学や社会に向けた視野の広がりなどが挙げられる.一方で,JABEE認定制度に対する産業界の認識が十分とは言えない点や,IT人材育成に関する産官学の相互理解促進,産官学連携の推進などについては,今後の改善努力が必要と考える.
  掛下 哲郎(佐賀大)
九州大学情報工学科卒業.同博士後期課程修了.工学博士.現在,佐賀大学知能情報システム学科助教授.2001年度より学科の教育システムの構築を推進し,2003年度にJABEE認定を受けた.2004年度より情報処理学会アクレディテーション委員会幹事およびJABEE基準委員.IT人材育成における産学連携活動を推進中.データベースおよびソフトウェア工学を専門とする.情報処理学会,電子情報通信学会等会員.
 
講演(2):JABEEによる大学教育へのインパクト(2)
3月6日(火)15:15-15:27[第2イベント会場(57号館2階 202教室)]
  [講演概要]
地方の大学における技術者教育プログラムのJABEE受審準備から受審および認定に至るまでの受審側の体験と審査に関わった審査側の経験を踏まえ,JABEE認定制度に対する現状認識,認定効果,課題および将来の期待について述べる.ここでは,「計算機科学を基盤とし,知能工学を含む分野の基礎知識と基盤技術を確実に身につけ,社会の要求水準を満たす情報技術者を養成する」大分大学知能情報システム工学科「知能情報コース」を実例に取り上げる.
このコースの設置理念,学習・教育目標,特色,実施状況や諸問題を題材にして述べ,更に,認定制度と教育現場が目指すものの間に存在するギャップについても触れる.また,PDCAの好循環による質的向上のために行ってきた地域のIT企業との「教育における産学連携」やJABEE認定後に学内で実施している「知の創造プロジェクト」などの取組みにも言及し,国際通用性のある人材養成のあり方についても考える.
  宇津宮 孝一(大分大)
1968年九州大学工学部電子工学科卒業.九州大学大型計算機センター等を経て1986年大分大学工学部教授(知能情報システム工学科所属).
1998年工学部長,2002年副学長(研究等担),2006年総合情報処理センター長.2002年から財団法人ハイパーネットワーク社会研究所所長.本会九州支部長を歴任.学内や地域で情報化計画やIT技術者教育の推進に当たる.2005年度にJABEE認定を受ける.専門は分散仮想環境.本会のほか,IEEE,ACM等会員.
 
講演(3):非認定校から見たJABEE認定制度の課題
3月6日(火)15:27-15:39[第2イベント会場(57号館2階 202教室)]
  [講演概要]
JABEEの導入には,教員の負担の増大,演習を積極的に行うことが困難になる,カリキュラムの改変や新たな科目や分野への進出が難しくなるなど,いくつもの問題点がある.さらに,情報分野における技術士の地位が確立されておらず,得るものも少ない.
情報分野のように新しい技術,知識が次々に生まれるホットな学問領域には,確立されたカリキュラムを前提としたJABEEは本質的に適さない点がある.学生による授業評価,自己点検等ファカルティデベロプメントをきっちり行い,きめ細かく学生に対して演習,実習を行い,定期的に外部評価を行う方式は,大きな負担と危険を冒してJABEE認定を目指すよりも学生にとって優れた教育システムを作ることができる可能性がある.
  天野 英晴(慶大)
1986年慶應義塾大学大学院理工学研究科修了,工学博士.
現在,慶應義塾大学情報工学科に所属,設計しながらコンピュータアーキテクチャを学ぶカリキュラムを開発し,実施している.
 
講演(4):産業界のIT人材育成と大学への期待
3月6日(火)15:39-15:51[第2イベント会場(57号館2階 202教室)]
  [講演概要]
我が国の情報サービス産業の概況について簡単にふれ,JISAにおける人材問題の現状認識とJISAにおける高度ソフトウェア技術者育成への取組みの現状について紹介する.ソフトウェアの重要性は益々増大し,ソフトウェア技術者に対するニーズは多様化している.一方,ソフトウェアシステム開発の現場では,情報工学を専攻した人材が必ずしもを主役を演じていない産業界の実態がある.大学に対する産業界の期待は,いつにかかって将来さまざまなソフトウェア開発組織において主導的役割を演ずることができることができる特色ある優れた「実務家の卵」の育成であり,なかんずくソフトウェア工学についての基礎的素養を身につけた人材の輩出であることについてふれる.
  富野 壽(JISA)
1959年3月東京工業大学理工学部卒業.同年(株)構造計画研究所入社.1982年3月〜1987年6月日本データゼネラル(株)代表取締役社長.
1987年6月〜2002年9月(株)構造計画研究所代表取締役社長.2002年10月〜会長 現在に至る.
(社)情報サービス産業協会常任理事(1995年6月〜).
「ソフトウェア開発の定量化手法」,「ソフトウェアプロセス改善」,「ソフトウェア見積りのすべて」,「ソフトウェア品質工学の尺度とモデル」など監訳書多数.
 
講演(5):JABEEおよび産学連携教育の現状
3月6日(火)15:51-16:03[第2イベント会場(57号館2階 202教室)]
  [講演概要]
私が2001年から2006年まで担当した日本経団連の産学官連携推進部会の主要なテーマは,今後益々進展し,また競争も厳しくなるグローバルな経済の下で,世界に通用する人材の育成に関するものであった.まず,ここ7〜8年来入社して来た技術系の新入社員(部会構成企業33社は約80%が修士卒)について調査し論議した結果,その特徴(良い点および問題点)が浮き彫りになった.国際競争力の維持,強化の上で,またフロント・ランナーとしてイノベーションを先導する上で,これらの問題点の解消をどう進めるかが課題になった.複数の仕組みが考えられ,そのうちいくつかは既に実行段階にある.仕組みの中の重要な一つがJABEE認定プログラムの実行であり,特に今後の大学院認定への期待感がある.
なお,産学連携の重要性が喧伝され実情も進捗しているが,しかし相互理解はまだまだであり,その為の切磋琢磨の対話がもっと必要と考えている.
  山野井 昭雄(JABEE)
1958年3月東京大学農学部農芸化学科卒業,同年4月味の素株式会社入社,1995年6月同社代表取締役専務,1997年6月同社代表取締役副社長,2001年6月同社技術特別顧問,2005年6月同社顧問,現在に至る.2001年7月〜2005年6月日本経団連産業技術委員会産学官連携推進部会長.2002年4月農林水産省独立行政法人評価委員会委員,同委員会農業分科会委員(兼任).2003年3月文部科学省科学技術・学術審議会人材委員会委員.2004年4月独立行政法人大学評価・学位授与機構監事,国立大学法人東北大学経営協議会委員.2005年1月国立大学法人東京大学産学連携協議会アドバイザリーボード.同年10月富山県立大学アカデミック・アドバイザー.2006年11月独立行政法人科学技術振興機構アドバイザー委員会委員.
 
総合討論
3月6日(火)16:03-17:30[第2イベント会場(57号館2階 202教室)]
  司会:牛島 和夫(九産大)
1961年東京大学工学部卒.1977年九州大学工学部教授.2001年九州大学名誉教授.同年,財団法人九州システム情報技術研究所長.2002年4月九州産業大学情報科学部教授・学部長.
本会理事,監事,九州支部長を歴任.2003年本会名誉会員.現在本会アクレディテーション委員会委員長.
  パネリスト:天野 英晴(慶大)
1986年慶應義塾大学大学院理工学研究科修了,工学博士.
現在,慶應義塾大学情報工学科に所属,設計しながらコンピュータアーキテクチャを学ぶカリキュラムを開発し,実施している.
  パネリスト:宇津宮 孝一(大分大)
1968年九州大学工学部電子工学科卒業.九州大学大型計算機センター等を経て1986年大分大学工学部教授(知能情報システム工学科所属).
1998年工学部長,2002年副学長(研究等担),2006年総合情報処理センター長.2002年から財団法人ハイパーネットワーク社会研究所所長.本会九州支部長を歴任.学内や地域で情報化計画やIT技術者教育の推進に当たる.2005年度にJABEE認定を受ける.専門は分散仮想環境.本会のほか,IEEE,ACM等会員.
  パネリスト:掛下 哲郎(佐賀大)
九州大学情報工学科卒業.同博士後期課程修了.工学博士.現在,佐賀大学知能情報システム学科助教授.2001年度より学科の教育システムの構築を推進し,2003年度にJABEE認定を受けた.2004年度より情報処理学会アクレディテーション委員会幹事およびJABEE基準委員.IT人材育成における産学連携活動を推進中.データベースおよびソフトウェア工学を専門とする.情報処理学会,電子情報通信学会等会員.
  パネリスト:富野 壽(JISA)
1959年3月東京工業大学理工学部卒業.同年(株)構造計画研究所入社.1982年3月〜1987年6月日本データゼネラル(株)代表取締役社長.
1987年6月〜2002年9月(株)構造計画研究所代表取締役社長.2002年10月〜会長 現在に至る.
(社)情報サービス産業協会常任理事(1995年6月〜).
「ソフトウェア開発の定量化手法」,「ソフトウェアプロセス改善」,「ソフトウェア見積りのすべて」,「ソフトウェア品質工学の尺度とモデル」など監訳書多数.
  パネリスト:山野井 昭雄(JABEE)
1958年3月東京大学農学部農芸化学科卒業,同年4月味の素株式会社入社,1995年6月同社代表取締役専務,1997年6月同社代表取締役副社長,2001年6月同社技術特別顧問,2005年6月同社顧問,現在に至る.2001年7月〜2005年6月日本経団連産業技術委員会産学官連携推進部会長.2002年4月農林水産省独立行政法人評価委員会委員,同委員会農業分科会委員(兼任).2003年3月文部科学省科学技術・学術審議会人材委員会委員.2004年4月独立行政法人大学評価・学位授与機構監事,国立大学法人東北大学経営協議会委員.2005年1月国立大学法人東京大学産学連携協議会アドバイザリーボード.同年10月富山県立大学アカデミック・アドバイザー.2006年11月独立行政法人科学技術振興機構アドバイザー委員会委員.
 

 
シンポジウム(3):情報家電ネットワーク:技術とサービス
         −ニーズとシーズとのギャップを埋める方策は?−


3月7日(水)9:30-12:30[第2イベント会場(57号館2階 202教室)]
  [全体概要]
ユビキタス情報化社会の進展の中で,情報家電が登場し始めているが,本格的普及には至っていない.情報家電の利用で期待されるサービスに対応するニーズと,それを実現する技術となるシーズとの間のギャップが未だ大きいことが,大きな要因と考えられる.本セッションでは,このギャップについて議論し,それを埋めるための解決策を探る.
最初に,情報家電ネットワークとサービスの最新動向を概観し,重要技術として注目されている「情報家電サービスのプラットフォーム」,「電力線通信(PLC)」,「通信放送融合」の各技術について講演する.次に,これらの技術を用いて今後の市場を開拓することが期待されるいくつかの新しいサービスについて講演し,最後にニーズとシーズとのギャップを埋めるための方策に関して,パネル討論を行う.
 
講演(1):情報家電ネットワーク・サービスの最新動向
3月7日(水)9:30-9:45[第2イベント会場(57号館2階 202教室)]
  [講演概要]
ユビキタスネットワーク実現のための中核的な役割を果たす情報家電ネットワークに関するニーズとシーズ,標準化の最新動向について,2006年3月に行ったヨーロッパ調査を含め,2004年から2006年にわたる情報処理相互運用技術協会(INTAP)における調査研究内容を中心に講演する.屋内のホームネットワークとしては,既に無線LANが定着し,今後は防犯・防災や医療・健康などの目的でZigBeeをはじめとするセンサネットワークの家庭内での利用も考えられる.本稿では,無線LAN,UWB,PLC,ZigBeeなどの屋内のネットワーク,およびネットワーク上で動作するUPnP, OSGi, DLNAなどのミドルウェア,屋外の携帯電話やPCから屋内の情報家電機器を監視したり制御したりするための相互連携方式(ホームゲートウェイ,NAT越え方式,SIPなど)に関して最新動向と将来予測を述べる.
  阪田 史郎(千葉大)
1974年早稲田大学理工学部電子通信修士卒.同年NEC入社,以来同社中央研究所にて,コンピュータネットワーク,マルチメディア通信,インターネット,モバイルコンピューティング,ユビキタスシステム等の通信とコンピュータの統合領域の研究に従事.工学博士.同社パーソナルC&C研究所所長,インターネットシステム研究所所長を経て2004年より千葉大学大学院教授.1997〜99年奈良先端科学技術大学院大学客員教授.情報処理学会フェロー.情報処理学会山下記念研究賞受賞.電子情報通信学会監事・理事,情報処理学会理事・監事歴任.著書・共著書「マルチメディアシステム」,「モバイルコンピューティング」,「インターネットとQoS制御」,「インターネットプロトコル」,「ユビキタス技術 無線LAN」,「ユビキタス技術 センサネットワーク」,「SIP/UPnP 情報家電プロトコル」,「ZigBeeセンサネットワーク」,「UWB/ワイヤレスUSB」,「組込みシステム」他30余.
 
講演(2):情報家電サービス普及に向けた共通プラットフォーム技術
3月7日(水)9:45-10:00[第2イベント会場(57号館2階 202教室)]
  [講演概要]
パソコン,携帯電話以外の情報家電機器に向けたインターネットサービスはまだ揺籃期にある.今後情報家電向けのサービスが普及していくには,家庭内外のネットワークや機器間で相互接続性が確保され,多様な企業やサービス事業者がビジネスに参入できる環境を整える必要がある.この環境を支える共通プラットフォーム技術として財団法人情報処理相互運用技術協会と国内メーカ6社が共同で開発している「デジタル情報機器の統合リモート管理基盤技術」を紹介する.主要技術テーマは,(1)サービスを安全確実に提供するための「機器認証運用管理技術」,(2)種々のサービスを集約・管理するサービスポータルと家庭内ホームコントローラ間の通信プロトコルやこれらのサーバや機器に搭載されるソフトウェアフレームワークを提供する「高信頼リモート管理技術」,(3)多様なサービス事業者から各家庭のデジタル情報機器を安全・確実にリモート管理するための「サービスポータル基盤技術」である.紹介技術は,独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)より委託を受け実施した開発成果であり,その仕様は広く公開していく予定である.
  松岡 恭正(三菱)
1976年三菱電機入社,ミニコン,汎用機等のコンパイラ技術,システム生産技術,高信頼Webシステムアーキチェクチャ等オープン系システム技術の研究開発に従事.現在は,情報システム関連の技術政策を担当し,独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機能(NEDO)デジタル情報機器相互運用基盤プロジェクト(デジタル情報機器の統合リモート管理基盤技術の開発)に参画している.三菱電機株式会社インフォメーションシステム事業推進本部所属.
 
講演(3):電力線通信(PLC)の最新動向
3月7日(水)10:00-10:15[第2イベント会場(57号館2階 202教室)]
  [講演概要]
FTTHをはじめとするブロードバンドネットワークの普及に伴って,これを利用した映像配信など新しいサービスが期待されている.また,PCやHDレコーダを中心として,音楽,静止画,ビデオなど家庭内におけるローカルコンテンツの蓄積も急速に増加している.これらのサービスやコンテンツをTVなどの情報家電端末で自由に楽しむためには,高速でかつ設置が自由なホームネットワーク環境の提供が重要となる.この候補として注目されている高速電力線通信技術(PLC)の動向について概観する.情報家電向けネットワークとしての要件,ホームネットワークの他の媒体との比較,PLC技術概要,業界における動向,応用商品像などに触れる.
  北口 進(シャープ)
1976年シャープ株式会社入社,オフィスコンピュータの開発,ローカル・エリアネットワーク・システム及び構内交換機の開発等を経て,現在ホームネットワークの研究開発に従事.ワイヤレスLANを用いた家庭内AVネットワークやPLCによるホームネットワーク開発を担当.IEEE会員.
現職:シャープ株式会社技術本部プラットフォーム開発センター副所長,ネットワークプラットフォーム開発室長兼務
 
講演(4):デジタル放送のIPマルチキャスト伝送技術
3月7日(水)10:15-10:30[第2イベント会場(57号館2階 202教室)]
  [講演概要]
通信と放送の連携と言われて久しく,制度的な問題を含め、さまざまな議論が行われている.また昨年12月には全国すべての都道府県で地上デジタル放送が視聴可能となるなど,放送のデジタル化の一層の普及により,放送コンテンツと情報家電ネットワークとの親和性はますます高まっている.放送コンテンツの情報家電向けのニーズは高く,情報ネットワークへの波及効果も大きい.
特に,より親和性が高まる技術手段として,IPマルチキャスト伝送技術が注目されている.本講では,技術的な視点から,デジタル放送のIPマルチキャスト伝送技術について,開発事例や動向などを紹介し,解決すべき課題を考察する.
  藤田 欣裕(NHK放送技研)
1976年東京大学工学部電気工学科卒業.同年日本放送協会,大阪放送局を経て1980年より同放送技術研究所,(1998〜2000年)技術局開発センター,現在放送技術研究所〈システム〉部長,工博.
超高精細撮像システム,制作送出システム,放送通信連携システムなどの研究開発に従事.
(2002〜2004)映像情報メディア学会総務理事,情通審ITU-T技術部会専門委員,電波産業界デジタル放送システム開発部会委員長.
 
講演(5):家庭向ブロードバンドコンテンツサービス
3月7日(水)10:30-10:45[第2イベント会場(57号館2階 202教室)]
  [講演概要]
ケーブルや衛星を含むテレビ放送の番組コンテンツはチャンネル数と放送時間に制限があるため,視料率に従って番組やチャンネルが選定される.一方視聴者数にかかわらず,多様なかつ良質なコンテンツの放映や実況中継時間の柔軟性に対する期待は少なくない.
そこで実況放送やビデオコンテンツの視聴要求に対する応えとして,インターネットを媒体とするにコンテンツ配信が考えられ,いくつかの大手動画ポータルサイトにおいて配信されている.
しかし,インターネット上でいわゆる1対1の通信方式を以って高画質な動画の配信を数万規模の視聴者に対して行なうことは,非常にコストがかかるだけでなく,ネットワークの負荷を著しく上げることにもなる.
この問題の解決のため,昨今インターネット上に視聴者のPCをノードとするオーバーレイマルチキャストによる配信システムが実用化され効果を上げている.
本パネルでは,その事例報告と今後の適用分野について解説する.
  川原 洋(ソフトバンクBB)
1984年マサチューセッツ工科大学工学部博士課程卒業.工学博士(Sc.D.).
多国籍石油探査企業,国内大手独立系SI企業,外資系ソフトウェアメーカーを経て,2000年ソフトバンクECホールディングス(現ソフトバンクBB)に入社.以来,数々の海外IT企業との合弁会社の設立や国内ITサービスの起業に参画.一貫してソフトバンク・グループ内主要新規事業会社のIT基盤構築を担当.
2005年12月より現職.「ヤフー動画」向け動画配信システムの開発と運用の総指揮をとる.
 
講演(6):デジタルコンバージェンスは何をもたらすか
3月7日(水)10:45-11:00[第2イベント会場(57号館2階 202教室)]
  [講演概要]
ディジタルコンバージェンスとは,従来,アナログ技術の異質性によって,事業領域的にもビジネスモデル的にも分割されていたさまざまな領域が,ディジタル技術によって統合されていくことを示す.特に,通信,放送,家電,コンピュータなどの領域が融合していくことは,新しいビジネスエコシステムの成立を予感させるものとして語られている.ディジタルの本質は再利用できることであり,一度しか使わないのならばディジタルにする意味はあまりない.この場合の再利用は時間軸,空間軸の両方を意味している.
ディジタルコンバージェンスが影響すると考えられる領域は4つある.これらについて議論していく.
 (1)ビジネスモデルの転換:通信,放送,家電,コンピュータ,ゲームなどのビジネスモデルの変質,技術とビジネスモデルの誘引関係の変質
 (2)コンテンツ利用:時間シフトと空間シフト
 (3)コンテクスト空間:マルチコンテクスト,パブリックとプライベートの相互侵食
 (4)パーソナライズの拡大:自分を対象とするコンテンツの拡大,エゴやアイデンティティの変質
特にビジネスモデルの転換は産業領域全体への影響が大きく,ディジタル権利保護や政策的誘導も深く関係するところである.これらは,ビジネスモデルを誰が率先して変革していくかも含めて不確定性が大きい.一方,それを触発する技術のほうはまったなしに進展しており,家庭ネットワークの大きな進展は新しいディジタルハブが一般家庭をベースに日本中に波及していく可能性を秘めている.
情報家電インターネット技術を例にディジタルコンバージェンスの展望を議論していく.
  山上 俊彦(ACCESS)
東京大学大学院理学系研究科修士課程修了.電電公社横須賀電気通信研究所,AT&Tベル研究所,NTTマルチメディアビジネス開発部,NTTデータ新世代情報サービス推進部を経て,現在(株)ACCESS技術戦略企画本部Senior Specialist.通信プロトコル,協調行動支援システム,セキュリティなどを研究.1995年情報処理学会山下記念研究賞受賞.ISO SC18/WG4国内主査,情報処理学会グループウェア研究会幹事などを務めた.また,携帯電話インターネットの標準化に取り組み,W3C XHTML BasicのCo-editorやWAP Forum WML 2.0のEditorを務めた.東京農工大客員教授.
 
パネル討論:情報家電ネットワークとサービス
     −ニーズとシーズとのギャップを埋める方策は?−
3月7日(水)11:10-12:00[第2イベント会場(57号館2階 202教室)]
  [討論概要]
ユビキタス情報化社会の進展に向けて,情報家電が登場し始めて久しいが,本格的普及には至っていない.情報家電の利用で期待されるサービスに対応するニーズと,それを実現する技術となるシーズとの間のギャップが未だ大きいことが,大きな要因と考えられる.本セッションでは,ニーズとシーズの最新動向を踏まえてこのギャップについて議論し,それを埋めるための解決策を探る.
はじめに,情報家電ネットワークに関する技術,標準化およびサービスに関する最新動向を概観し,今後中核的な役割を果たすものとして注目されている「情報家電機器とネットワークのプラットフォーム」,「電力線通信(PLC)」,「通信放送融合」の 各技術について講演する.次に,これらの技術を用いて今後の市場を開拓することが期待されるいくつかの新しいサービスについて講演し,最後にニーズとシーズとのギャップを埋めるための課題や方策,今後の展開に関して,パネル討論を行う.
  司会:阪田 史郎(千葉大)
1974年早稲田大学理工学部電子通信修士卒.同年NEC入社,以来同社中央研究所にて,コンピュータネットワーク,マルチメディア通信,インターネット,モバイルコンピューティング,ユビキタスシステム等の通信とコンピュータの統合領域の研究に従事.工学博士.同社パーソナルC&C研究所所長,インターネットシステム研究所所長を経て2004年より千葉大学大学院教授.1997〜99年奈良先端科学技術大学院大学客員教授.情報処理学会フェロー.情報処理学会山下記念研究賞受賞.電子情報通信学会監事・理事,情報処理学会理事・監事歴任.著書・共著書「マルチメディアシステム」,「モバイルコンピューティング」,「インターネットとQoS制御」,「インターネットプロトコル」,「ユビキタス技術 無線LAN」,「ユビキタス技術 センサネットワーク」,「SIP/UPnP 情報家電プロトコル」,「ZigBeeセンサネットワーク」,「UWB/ワイヤレスUSB」,「組込みシステム」他30余.
  パネリスト:川原 洋(ソフトバンクBB)
1984年マサチューセッツ工科大学工学部博士課程卒業.工学博士(Sc.D.).
多国籍石油探査企業,国内大手独立系SI企業,外資系ソフトウェアメーカーを経て,2000年ソフトバンクECホールディングス(現ソフトバンクBB)に入社.以来,数々の海外IT企業との合弁会社の設立や国内ITサービスの起業に参画.一貫してソフトバンク・グループ内主要新規事業会社のIT基盤構築を担当.
2005年12月より現職.「ヤフー動画」向け動画配信システムの開発と運用の総指揮をとる.
  パネリスト:北口 進(シャープ)
1976年シャープ株式会社入社,オフィスコンピュータの開発,ローカル・エリアネットワーク・システム及び構内交換機の開発等を経て,現在ホームネットワークの研究開発に従事.ワイヤレスLANを用いた家庭内AVネットワークやPLCによるホームネットワーク開発を担当.IEEE会員.
現職:シャープ株式会社技術本部プラットフォーム開発センター副所長,ネットワークプラットフォーム開発室長兼務.
  パネリスト:中島 達夫(早大)
早稲田大学理工学部コンピュータネットワーク工学科教授,2000年から日本エンベデッドリナックスコンソーシアム会長,2006年から情報家電サービス基盤フォーラム会長,2005年度ノキアリサーチセンタービジティングリサーチフェロー.
  パネリスト:藤田 欣裕(NHK放送技研)
1976年東京大学工学部電気工学科卒業.同年日本放送協会,大阪放送局を経て1980年より同放送技術研究所,(1998〜2000年)技術局開発センター,現在放送技術研究所〈システム〉部長,工博.
超高精細撮像システム,制作送出システム,放送通信連携システムなどの研究開発に従事.
(2002〜2004)映像情報メディア学会総務理事,情通審ITU-T技術部会専門委員,電波産業界デジタル放送システム開発部会委員長.
  パネリスト:松岡 恭正(三菱)
1976年三菱電機入社,ミニコン,汎用機等のコンパイラ技術,システム生産技術,高信頼Webシステムアーキチェクチャ等オープン系システム技術の研究開発に従事.現在は,情報システム関連の技術政策を担当し,独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機能(NEDO)デジタル情報機器相互運用基盤プロジェクト(デジタル情報機器の統合リモート管理基盤技術の開発)に参画している.三菱電機株式会社インフォメーションシステム事業推進本部所属.
  パネリスト:山上 俊彦(ACCESS)
東京大学大学院理学系研究科修士課程修了.電電公社横須賀電気通信研究所,AT&Tベル研究所,NTTマルチメディアビジネス開発部,NTTデータ新世代情報サービス推進部を経て,現在(株)ACCESS技術戦略企画本部Senior Specialist.通信プロトコル,協調行動支援システム,セキュリティなどを研究.1995年情報処理学会山下記念研究賞受賞.ISO SC18/WG4国内主査,情報処理学会グループウェア研究会幹事などを務めた.また,携帯電話インターネットの標準化に取り組み,W3C XHTML BasicのCo-editorやWAP Forum WML 2.0のEditorを務めた.東京農工大客員教授.
 

 
シンポジウム(4):"Competitive Learning(競合学習)"を進めよう

3月7日(水)14:30-17:00[第2イベント会場(57号館2階 202教室)]
  [全体概要]
次の週(3月12日〜16日)に世界最大規模のプログラミングコンテストである"ACM ICPC World Final"が東京で開催されるのを機に,ACM ICPC責任者のB. Poucherを招いて,ICPCを紹介する.
大学生向けのICPCと同様に,今年から参加が再開された高校生対象の情報オリンピック(IOI)についても紹介する.今年のIOIでは,日本チームが金メダルを獲得している.これらの「競技会」へ生徒・学生を参加させることを通じて,日本にいる情報に興味をもった若い沢山の逸材を掘り起こし,実力をつけ,引き立て,磨き上げることは,日本のITを元気にする一つの道である.
特に,「競技会」という場が,問題を解いたら優勝できるというわかりやすいことに起因している.同時に,たとえ,優勝できないとしても,一番簡単な問題だけは解けるようになりたいなどの,実力に合わせた目標をたてることができる.
こういった競技会を通すことによって,プログラミングスキルを向上させ,情報の分野全体を向上させる一つの道筋を検討する.
 
基調講演(1):情報オリンピックと日本での取り組み
3月7日(水)14:30-15:05[第2イベント会場(57号館2階 202教室)]
  [講演概要]
国際情報オリンピック(IOI)は,高校生を中心とした20歳未満の生徒を対象にした8つある国際科学オリンピックの1つである.1989年に第1回大会が
開催されて以来,今年8月に開催予定のクロアチア大会で19回を数える.IOI の目的は,情報の科学的側面に特別な才能を有する生徒を見出し,その能力の育成を助成し,選手・教育者間の国際交流を図ることなどである.情報オリンピック日本委員会でも,国内オリンピックの開催や選手の派遣を通じて,中高生に楽しみながら情報科学に触れる機会を提供することを目指している.IOI 自体は,回数を重ね,参加国が増えるなど状況に変化に伴い,これらの目的を実現するためにあり方を再検討する時期に来ている.また,他の科学オリンピックと異なる情報ゆえの課題も存在する.
これらの事情と出題される問題の解説を交え,情報オリンピックの概要を報告する.
  谷 聖一(日大)
1987年早稲田大学理工学部数学科卒業.博士(理学).
現在,日本大学文理学部情報システム解析学科教授.
研究分野は,計算量理論,アルゴリズム論など.特に,計算論的位相幾何学.
(特非)情報オリンピック日本委員会理事.
2005年国際情報オリンピックメキシコ大会日本代表団団長.
 
基調講演(2):What's ICPC
3月7日(水)15:05-15:35[第2イベント会場(57号館2階 202教室)]
  [講演概要]
大学生向け世界最大規模のプログラミングコンテストであるACM国際大学対抗プログラミングコンテスト(ACM/ICPC)ACM International Collegiate Programming Contest World Finalが東京で開かれる. 今回は,そのACM/ICPCを通し,コンテストにおいて培われた技術(PC^2)を利用してコンテストと教育について議論する.
  Bill Poucher(Baylor University, ACM ICPC Director)
Ph. D. Mathematics of Computing (Combinatorics), Auburn University.
M.S. Mathematics, Auburn University.
B.S. Mathematics Music, Auburn University.
現在,Professor of Computer Science, Baylor University. ACM ICPC Director.
ACM Fellow.
 
基調講演(3):ICPCへの日本での取り組み
3月7日(水)15:35-15:55[第2イベント会場(57号館2階 202教室)]
  [講演概要]
ACM国際大学対抗プログラミングコンテスト(ICPC)に対する日本での取組みが本格的に始まったのは1998年であり,今年がちょうど10年目の節目にあたる.
当初は参加チームも少なかったが,近頃では,国内予選への参加チーム数が200を超え,大学数で数えても60を超えるようになった.挑戦する意欲のある若者にとって,またとない腕試しの場となっている.さらに,アジア地区予選まで駒を進めると,海外チームの強いモチベーションと勝負へのこだわり,そして世界の広さに触れることもできる.しかし,競争だけがICPCの本質ではない.1チーム3名に1台のPCのみが割り当てられる環境で競技が行われるため,チーム内での協調もまた重要になる.5時間程度にわたって集中力を持続しながら戦い続ける姿は「考えるチームスポーツ」と言ってもよいだろう.日本での過去10年間にわたるICPCへの取り組みについて報告する.
  柴山 悦哉(東工大)
1983年京都大学理学研究科修士課程修了.理学博士.
東京工業大学助手,龍谷大学講師,東京工業大学助教授を経て,2000年より東京工業大学情報理工学研究科教授.
情報処理学会プログラミング研究会主査,同論文誌:プログラミング編集委員長などを歴任.
プログラミング言語,ユーザインタフェースソフトウェア,ソフトウェアセキュリティなどに興味を持つ.
ACM日本支部ICPC Boardメンバー.
 
パネル討論:"Competitive Learning(競合学習)"を進めよう
3月7日(水)16:05-17:00[第2イベント会場(57号館2階 202教室)]
  [討論概要]
大学生向け世界最大規模のプログラミングコンテストである"ACM ICPC World Final"や高校生対象情報オリンピック(IOI)における日本チームの取り組みから,コンテストを通じたプログラミング教育について検討を行う.
プログラミングコンテストは,プログラミングの楽しさを教える一つの方法である.コンテストは,強くなるということが優勝するということだけではなく,自分にあった目標を立て,実力に応じた一つ一つを少しずつステップアップするというテーマ設定が可能である.また,学生間で自主的に進めていくことも可能である.
このパネルディスカッションでは,学生にどのように興味を持たせていくか,また,日本チーム全体を強くすることによって,情報教育の全体的な活性化の方法について議論する予定である.
  司会:繁富 利恵(産総研)
2001年3月津田塾大学芸学部情報数理科学科卒業.2003年3月同大学院理学研究科数学専攻修士課程修了.
2006年3月東京大学情報理工学系研究科電子情報学専攻博士課程修了,博士(情報理工学).
同年4月より産業技術総合研究所情報セキュリティ研究センターセキュリティ基盤技術研究チームにおいて研究員として勤務.
この間,暗号プロトコル,プライバシ保護技術などの研究に従事.
  パネリスト:柴山 悦哉(東工大)
1983年京都大学理学研究科修士課程修了.理学博士.
東京工業大学助手,龍谷大学講師,東京工業大学助教授を経て,2000年より東京工業大学情報理工学研究科教授.
情報処理学会プログラミング研究会主査,同論文誌:プログラミング編集委員長などを歴任.
プログラミング言語,ユーザインタフェースソフトウェア,ソフトウェアセキュリティなどに興味を持つ.
ACM日本支部ICPC Boardメンバー.
  パネリスト:谷 聖一(日大)
1987年早稲田大学理工学部数学科卒業.博士(理学).
現在,日本大学文理学部情報システム解析学科教授.
研究分野は,計算量理論,アルゴリズム論など.特に,計算論的位相幾何学.
(特非)情報オリンピック日本委員会理事.
2005年国際情報オリンピックメキシコ大会日本代表団団長.
  パネリスト:柳沢 弘揮(日本IBM)
1996年日本情報オリンピック本選出場.1997年京都大学工学部情報学科入学.1999年ACM国際大学対抗プログラミングコンテスト世界大会18位.2001年同世界大会14位.同年同大学卒業.2003年同大学大学院情報学研究科通信情報システム専攻修士課程修了. 同年日本アイ・ビー・エム株式会社東京基礎研究所入所.
2007年ACM国際大学対抗プログラミングコンテスト東京大会の運営に携わる.