抄録
J-023
会話エージェントによる認知症患者への語りかけの効果
酒井洋一(成蹊大)・安田 清(千葉労災病院/京都工繊大)・中野有紀子(成蹊大)
認知症患者の精神的安定と記憶補助を目的とし,アニメーションエージェントが,質問を行うことにより患者に語りかけるシステムを実装した.本システムは,ユーザ発話の音声的特徴に応じて相槌,頷き,発話タイミングを決定する.評価実験において①実装システム,②相槌,頷きを行わず,10秒間隔で質問をするシステム,③一方的に話すシステムを比較した結果,実装システムでの平均発話量は③よりも多く,オーバーラップ数は②と比較して有意に少なかった.また,ビデオ分析の結果,実装システムのエージェントの顔を見る時間は②のエージェントを見る時間と比べて有意に長いことが分かった.以上の結果から,実装システムの有効性が確認された.