抄録
A-017
ビジネスダイナミクスを活用したプロジェクト損益の変動予兆検知モデル
那須弘明・長岡晴子・中村英生・野口昭人・小野俊之・難波康晴(日立)
企業では,システム構築プロジェクト(PJ)の赤字撲滅が重要課題であり,損益悪化を未然に防ごうとしてきた。PJマネジメントの知識体系としてPMBOKが広く利用されているが,導入後のPJ成功率は3割に留まり,さらに失敗した大規模PJの3割以上は,PJ着手時点の見積りより5割以上もコスト超過しているという報告がある。本発表では,ビジネスダイナミクスを用いて,マネジメント項目間の連鎖的な因果関係を可視化,定式化し,その因果関係によって生じる損益の変動から最終損益を推定する損益変動予兆検知モデルを提案する。提案モデルの評価実験では,従来方法と比べて平均6.5ヶ月先行して悪化予兆を検知できた。