FIT2011 第10回情報科学技術フォーラム 開催:2011年9月7日~9日 会場:函館大学
共催団体:一般社団法人情報処理学会/社団法人電子情報通信学会情報・システムソサイエティ/社団法人電子情報通信学会ヒューマンコミュニケーショングループ 一般社団法人情報処理学会 社団法人電子情報通信学会 情報・システムソサイエティ 社団法人電子情報通信学会 ヒューマンコミュニケーショングループ
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実践が拓く情報処理の次なるステップ ~デジタルプラクティスの試み~
9月9日(金)9:30-11:30
第2イベント会場 (函館大学 3F講義室301)
【セッション概要】2010年2月に創刊されたデジタルプラクティス(DP)誌は、ICT実務の現場で日々生み出される実践に関する知見を発表する論文誌である。DPは生まれたばかりで取り扱う範囲も広いため、論文の審査基準に関するコンセンサス、実践から得られた知見の記述に適した論文形式、DPに論文が掲載される価値などがまだ完全には固まっておらず、尻込みしている著者も多いようである。我々DP編集委員会は、現場で日々実践されているICTに関する知見を共有することが、新しい情報処理技術の世界を拓くと信じDPの編集に取り組んでいる。一人でも多くの方々にDPに興味を持っていただき、安心して論文を投稿していただくため、潜在的著者や読者の方々に向けて、このような人々がこのようなことを考えてDPの編集作業に携わっているというメッセージを送りたいと思う。前半は丸山宏、平田圭二、諏訪良武、中田登志之各氏によるポジション発表を、後半は下間芳樹事務局長を交えてのパネル討論会を予定している。
司会:平田 圭二(公立はこだて未来大学 複雑系知能学科 教授)
【略歴】1987年東京大学大学院工学系研究科情報工学博士課程修了、工学博士。同年NTT入社。音楽情報処理、ビデオコミュニケーション、論理型プログラミング等の研究に従事。1990-93年第五世代コンピュータプロジェクトにて並列推論マシンの研究開発に従事。2011年より現職。本会フェロー及び教育担当理事。
9:30-9:40 オープニング
9:40-9:55 講演-1 なぜ企業の技術者が論文を書くのか
丸山 宏(大学共同利用機関 情報・システム研究機構 統計数理研究所 教授)
【講演概要】大学や研究機関に所属する研究者が論文を書くのは当たり前である。しかし、日々製品開発や顧客プロジェクトに追われている私企業の技術者が論文を書くのはなぜだろうか? 「デジタル・プラクティス」の編集を通して、実はこの点がほとんど理解されていない、つまりそもそも、企業の技術者に論文を書くモチベーションがほとんどない、ということに思い至った。ここでは、発表者自身の経験から、企業の技術者が、自分のキャリア形成上、論文を書くことに非常に大きな意味を持つのだ、ということを議論する。
【略歴】1983年東京工業大学情報科学専攻修士課程修了。同年日本IBM入社。ジャパン・サイエンス・インスティチュート(後の東京基礎研究所)で、人工知能、自然言語処理などの研究に従事。1997年-2000年東京工業大学計算工学専攻客員助教授。2003年-2004年IBMビジネス・コンサルティング・サービスへ出向。2006年-2009年IBM東京基礎研究所所長(2007年より執行役員)。2009年-2010年キヤノン株式会社 デジタルプラットフォーム開発本部副本部長。2011年-現在 統計数理研究所教授。
9:55-10:10 講演-2 論文という形式を守ることの意味
平田 圭二(公立はこだて未来大学 複雑系知能学科 教授)
【講演概要】論文という形式は表現だけでなく、審査、思考、記録という目的のもとで試行錯誤が繰り返され発達し生まれてきたものである。その細部に至るまで、営々と先人の知恵と工夫が蓄積されている。論文という形式に従うことで、伝えたいことが楽に伝えられるようになり、その内容を吟味したり審査するのが効率的になり、科学的に思考を進めるガイドが手に入る。さらに、論文という形式で成果を発表しやすいように仕事を進めていくことさえも考えられる。DPの読者著者の方々の多くは、論文という形式に馴染みが薄いのではないかと感じているが、論文という形式に従うことをもっと積極的にとらえ直すことを提案したい。
【略歴】1987年東京大学大学院工学系研究科情報工学博士課程修了、工学博士。同年NTT入社。音楽情報処理、ビデオコミュニケーション、論理型プログラミング等の研究に従事。1990-93年第五世代コンピュータプロジェクトにて並列推論マシンの研究開発に従事。2011年より現職。本会フェロー及び教育担当理事。
10:10-10:25 講演-3 論文の書ける基幹人材を育成する
諏訪 良武(ワクコンサルティング(株) 常務執行役員)
【講演概要】基幹人材の育成は、経営が最も注力すべき仕事の一つである。多くの企業は、それなりの教育を実践している。しかし、一般的な教育では、基幹人材は育たない。経験則だが、本気の企業イノベーションは、基幹人材を育成する。自分の能力をはるかに超える巨大なテーマを担ぎ、フラフラになりながらゴールインできた時に、社員は大きく成長する。「現場を観察し、現場と話し込み、現場を見える化する」「ありとあらゆる工夫で、問題の全体像を把握する」「マネジメントに必要な情報が自然に集まってくる仕組みを作り上げる」このような人材育成方針が論文を書くために必要な姿勢やスキルを自然と身に付けさせるであろう。
【略歴】1971年オムロン入社。1985年通産省のΣプロジェクトに参加。1995年情報化推進センター長。1997年オムロンフィールドエンジニアリングの常務取締役として保守サービス会社の改革を指揮。2004年OA協会のIT総合賞、第1回コンタクトセンタアワードのマネジメント部門金賞を受賞。2006年ワクコンサルティング常務執行役員、国際大学グローバルコミュニケーションセンター上席客員研究員、多摩大学大学院客員教授。サービスや顧客満足を科学的に分析し、サービス企業の改革を支援するサービスサイエンスを提唱している。著書「顧客はサービスを買っている」ダイヤモンド社。
10:25-10:40 講演-4 編集員も汗をかきます!! ~デジタルプラクティスの論文の質の向上に向けて~
中田 登志之(NEC中央研究所 主席技術主幹)
【講演概要】デジタルプラクティス(DP)の論文の著者と想定される現場の実務を経験された方は、貴重な知見をお持ちの一方、今まで、論文を書かれた経験が殆ど無い方も多い。このような方々の知見を、最大限に引き出すために、DPでは、各論文毎に、編集担当をアサインして、著者と二人三脚になって、論文をブラシュアップする共同推敲プロセス(メンタリング (mentoring) あるいはシェファーディング(shepherding)とも呼ばれる)をとっている。本発表では、この共同推敲プロセスにおいて、編集担当が意識して著者の知見を引き出すための工夫を紹介する。また、著者へのアンケートを元にこの共同推敲プロセスの有効性に関して考察する。
【略歴】1985年京都大学大学院工学研究科情報工学専攻博士後期課程単位取得退学、京都大学工学博士。1985年NEC入社、その後Cenju/HAL等の並列計算機アーキテクチャの研究に従事、2010年度より現職。情報処理学会論文誌編集委員、学会誌編集委員、アーキテクチャ研究会幹事、総務担当理事、企画担当理事などを歴任。2010年よりデジタルプラクティス編集委員。
10:50-11:30 パネル討論 情報技術者にとってのデジタルプラクティスの意義と位置付け
【討論概要】前半の講演者達に、情報処理学会事務局長下間芳樹氏に加わってもらい学会活動・事業におけるDPの位置付けや意義について討論を行う。産業界の情報技術者向けイベントであるソフトウェアジャパン、技術者コミュニティであるITフォーラムを通して、日本の情報技術者のキャリアパスや教育制度をどのように支えていくかというビジョンを描き、その中でDPの果たすべき役割を議論する。
司会:平田 圭二(公立はこだて未来大学 複雑系知能学科 教授)
【略歴】1987年東京大学大学院工学系研究科情報工学博士課程修了、工学博士。同年NTT入社。音楽情報処理、ビデオコミュニケーション、論理型プログラミング等の研究に従事。1990-93年第五世代コンピュータプロジェクトにて並列推論マシンの研究開発に従事。2011年より現職。本会フェロー及び教育担当理事。
パネリスト:丸山 宏(大学共同利用機関 情報・システム研究機構 統計数理研究所 教授)
【略歴】1983年東京工業大学情報科学専攻修士課程修了。同年日本IBM入社。ジャパン・サイエンス・インスティチュート(後の東京基礎研究所)で、人工知能、自然言語処理などの研究に従事。1997年-2000年東京工業大学計算工学専攻客員助教授。2003年-2004年IBMビジネス・コンサルティング・サービスへ出向。2006年-2009年IBM東京基礎研究所所長(2007年より執行役員)。2009年-2010年キヤノン株式会社 デジタルプラットフォーム開発本部副本部長。2011年-現在 統計数理研究所教授。
パネリスト:諏訪 良武(ワクコンサルティング(株) 常務執行役員)
【略歴】1971年オムロン入社。1985年通産省のΣプロジェクトに参加。1995年情報化推進センター長。1997年オムロンフィールドエンジニアリングの常務取締役として保守サービス会社の改革を指揮。2004年OA協会のIT総合賞、第1回コンタクトセンタアワードのマネジメント部門金賞を受賞。2006年ワクコンサルティング常務執行役員、国際大学グローバルコミュニケーションセンター上席客員研究員、多摩大学大学院客員教授。サービスや顧客満足を科学的に分析し、サービス企業の改革を支援するサービスサイエンスを提唱している。著書「顧客はサービスを買っている」ダイヤモンド社。
パネリスト:中田 登志之(NEC中央研究所 主席技術主幹)
【略歴】1985年京都大学大学院工学研究科情報工学専攻博士後期課程単位取得退学、京都大学工学博士。1985年NEC入社、その後Cenju/HAL等の並列計算機アーキテクチャの研究に従事、2010年度より現職。情報処理学会論文誌編集委員、学会誌編集委員、アーキテクチャ研究会幹事、総務担当理事、企画担当理事などを歴任。2010年よりデジタルプラクティス編集委員。
パネリスト:田中 秀樹 (グリー(株) メディア開発本部 エンジニア)
【略歴】株式会社NTTデータ入社後、ベンチャー制度により株式会社NTTデータポケットを起業。代表をつとめた後、インプレスグループにジョイン。Think IT代表、Impress Watch 役員等を歴任。国立情報学研究所特任教授を経て、現在は、グリー株式会社にて産学連携を担当している。著書「はじめてのレッドハット」「はじめてのGentoo」など。情報処理学会 学会誌「全国技術系勉強会マップ」の企画等。
パネリスト:下間 芳樹(一般社団法人情報処理学会 事務局長)
【略歴】1973年 京都大学工学部卒業、 1975年 東京大学大学院修士課程修了。同年三菱電機(株)入社。コンピュータ・ハードウェアの開発、 ネットワークソフトウェアの研究と事業化に従事。専門分野はコンピュータアーキテクチャ、 インターネットアプリケーション、 プロジェクトマネジメント等。1995年 情報技術総合研究所情報処理基盤部長、2001年 通信システム統括事業部副統括事業部長、2005年 三菱電機インフォメーションシステムズ(株)取締役技術本部長、2007年(株)テクノウェア取締役社長、2004-2006年情報処理学会理事、2011年1月から現職。情報処理学会会員、工学博士。