査読付き論文について

 電子情報通信学会情報・システムソサイエティ,ヒューマンコミュニケーショングループおよび情報処理学会が共同開催する情報科学技術フォーラム(FIT: Forum on Information Technology)は,2002年に創設され今回が第7回となる日本の情報科学分野最大の学会大会である.査読採択論文は各分野の講演論文集の前半に収録されている.
 FIT2008では,特に各分野に所属する研究会が担当する研究分野間の関連と各分野に対する投稿件数のバランスを考慮して,本会議に参加する63の研究会を13の分野に再編成した.また,これまでFIT査読付き論文として採択された論文は,学会論文誌に掲載されているレター,テクニカルノート,ショートペーパー,研究速報等と位置付けされてきたが,今回から「国際会議におけるカンファレンスペーパー扱い」とその位置付けを実質化した.査読はこれまでと同様,各分野に分野責任者を置き,各研究会から推薦された担当委員と協力して,それぞれの分野で独立に論文査読の方針検討と実施を行う体制を取った.これにより分野の特質を反映した分野毎の基準による査読を行うという方針を維持し,それらの査読基準に基づき分野毎に査読を行った.
 以上の過程を踏まえて,6月16日に,査読会議を開催し,採択論文を決定し,それに引き続きプログラム編成会議で大会プログラムを策定した.論文査読を行った各分野の投稿数,採択件数,採択率は次の通りである.

 分野名
投稿数
採録件数
採録率
A:モデル・アルゴリズム・プログラミング
11
6
54.5%
C:ハードウェア・アーキテクチャ
20
12
60.0%
D:データベース
8
1
12.5%
E:自然言語・音声・音楽
15
1
6.7%
F:人工知能・ゲーム
18
7
38.9%
G:生体情報科学
3
3
100.0%
I:グラフィクス・画像
21
8
38.1%
J:ヒューマンコミュニケーション&インタラクション
15
6
40.0%
K:教育工学・福祉工学・マルチメディア応用
9
3
33.3%
L:ネットワーク・セキュリティ
14
9
64.3%
M:ユビキタス・モバイルコンピューティング
11
5
45.5%
N:教育・人文科学
15
7
46.7%
O:情報システム
10
3
30.0%
合計
170
71
41.8%
 以下の6編は,FIT2008学術賞選定委員会が採録された査読付き論文の中から所定の選定手続きを経て選んだFIT2008論文賞最終候補である.

 ・3DCGによる浮世絵構図への変換法(久保友香/東大)
 ・クリックスルーに基づく探検型検索サイトの設計と開発(酒井哲也/ニューズウォッチ)
 ・ブロック歪みを考慮した時空間コントラスト感度特性に基づくH.264/AVC符号化器設計
  (坂東幸浩/NTT)
 ・ソフトウェア不正コピー対策のためのLANアクセス制御システム(山本 賢/岡山大)
 ・LiNeSにおける仮想ネットワーク間接続機能の開発と実用可能性の検討(立岩佑一郎/名大)
 ・A Counting-Based Approximation of the Distribution Function of the Longest Path Length in
  Directed Acyclic Graphs(安藤 映/九大)

 最後になったが,多忙の中,査読プロセスの運営および論文賞候補選考にご尽力頂いたFIT2008プログラム委員会およびFIT2008学術賞選定委員会の方々,限られた短期間で論文査読の責務を果たして頂いた査読者の方々に深く感謝する.
FIT2008 プログラム委員会
FIT2008 学術賞選定委員会
 委員長  阿草 清滋
 
FIT2008 第7回情報科学技術フォーラム 論文査読者一覧