本賞の選考は、表彰規程および論文賞受賞候補者選定手続に基づき、論文賞委員会(委員長 坂井修一)が、情報処理学会論文誌第47巻10号〜第48巻9号および第47巻
SIG14号〜第48巻 SIG14号に掲載された対象論文554編につき慎重に審議を行いました。その結果、下記の10編が受賞候補論文として選定され、第533回理事会(平成20年3月)の承認を得て決定されました。なお、本会表彰規程により、第51回通常総会(平成20年5月)において著者に表彰状、賞牌および賞金が授与されました。
「産学連携に基づいたコードクローン可視化手法の改良と実装」
[論文誌Vol.48, No.2, pp. 811-822 (2007)]
[論文概要]
著者らは,コードクローンを対象としたソフトウェア保守支援を行うために,可視化ツールCCFinderおよびGeminiを開発してきている.コードクローンとはソースコード中のある一部分(コード片)のうち,他のコード片と同一または類似しているものを指す.著者らは,これらのツールを産業界に配布し,実用的な手法として高めるため,広く意見を仰いできた.その結果,従来提案した手法を大幅に改良することに成功した.本論文では,その産学連携活動と,改良した手法の紹介,および複数の企業により共同開発された数十万ステップのソフトウェアに対する適用実験について述べている.
[推薦理由]
本論文は、ソフトウェア保守で問題となっているコードクローンを検出/可視化する手法を提案している。筆者らは、提案手法を実現したツールを公開するだけではなく、利用者からの意見交換を行うセミナーを実施し、そこからのフィードバックを得て、現実的な大規模問題に対応する改良を行った。さらに、利用者の協力を得て、実際の大規模ソフトウェア保守作業における評価を行い、その有効
性を示した。本論文は実用性、有効性はもちろんのこと、産学連携の適用例としても意義あるものであり、高く評価できる。よって本論文を論文賞に推薦する。 |
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肥後 芳樹 君
平成 14 年大阪大学基礎工学部情報科学科中退.平成 18 年同大学大学院博士後期課程修了.平成 19 年同大学大学院情報科学研究科コンピュータサイエンス専攻助教.博士(情報科学).ソースコード分析,特にコードクローン分析やリファクタリング支援に関する研究に従事.
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吉田 則裕 君
平成 16 年九州工業大学情報工学部知能情報工学科卒業.平成 18 年大阪大学大学院博士前期課程修了.現在,同大学院博士後期課程 3 年.リファクタリング支援およびデザインパターン適用支援の研究に従事.
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楠本 真二 君
昭和 63 年大阪大学基礎工学部卒業.平成 3 年同大学院博士課程中退.同年同大基礎工学部助手.平成 8 年同講師.平成 11 年同助教授.平成
14 年同大大学院情報科学研究科助教授.平成 17 年同教授.博士(工学).ソフトウェアの生産性や品質の定量的評価に関する研究に従事.
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井上 克郎 君
昭和 59 年大阪大学博士課程修了.昭和 59〜61 年ハワイ大マノア校情報工学科助教授.平成元年大阪大学情報工学科講師.平成 3 年同学科助教授.平成
7 年同学科教授.平成 14 年大阪大学大学院情報科学研究科コンピュータサイエンス専攻教授.工学博士.ソフトウェア工学の研究に従事.
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「RNA Pseudoknotted Structure
Prediction Using Stochastic Multiple Context-Free Grammar」
[論文誌Vol.47, No.SIG17(TBIO1), pp. 12-21 (2006)]
[論文概要]
RNAの2次構造を文脈自由文法(CFG)でモデル化し、2次構造予測を文法の構文解析に置き換える試みが行われてきた。一方で、塩基配列上で塩基対を表す弧が交差するシュードノットと呼ばれる部分構造が存在し、CFGでは記述できないことが知られている。本論文では、CFGの自然な拡張である多重文脈自由文法(MCFG)を確率モデルに拡張して、確率最大の導出木を求めるアルゴリズム及び確率パラメータ推定アルゴリズムを設計した。また、上記構文解析アルゴリズムを用いて、シュードノットを含むことが知られているRNA配列に対して2次構造予測を行った結果、高い予測精度を示した。
[推薦理由]
近年、RNAの生体内における重要性が再認識されるに従い、その構造予測がバイオインフォマティクスにおける重要な課題となってきているが、本論文ではシュードノットつきRNA二次構造予測という問題に対し新たなアプローチを示している。具体的には、この問題のモデル化のために、多重文脈自由文法に確率を導入した確率多重文脈自由文法を提案し、その構文解析アルゴリズムおよびパラメータ学習アルゴリズムを与えている。さらに、実際のRNA二次構造データを用いた計算機実験を行い、その有効性を示している。このように本論文ではバイオインフォマティクスにおける重要な課題に対して、新たな理論的アプローチを示し、その有効性を計算機実験により示しており、独創性と有用性を兼ね備えた論文となっている。よって本論文を論文賞に推薦する。 |
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加藤 有己 君
2002年同志社大学工学部電気工学科卒業。2007年奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科博士後期課程修了。博士(工学)。同年、日本学術振興会特別研究員PD。現在、京都大学化学研究所バイオインフォマティクスセンター特定研究員。バイオインフォマティクスに関する研究に従事。 |
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関 浩之 君
1982年大阪大学基礎工学部情報工学科卒業。1987年同博士後期課程修了。工学博士。同年大阪大学基礎工学部助手。同講師、助教授を経て、1994年奈良先端科学技術大学院大学助教授。1996年同教授、現在に至る。形式言語理論、ソフトウェア基礎理論に関する研究に従事。1997年度情報処理学会論文賞受賞。
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嵩 忠雄 君
1958年大阪大学工学部通信工学科卒業。1963年同博士課程修了。工学博士。同年大阪大学工学部助教授。1966-1994年大阪大学基礎工学部教授。1992-1998年奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科教授。
1998-2003年広島市立大学情報科学部教授。1975年IEEEフェロー。1999年シャノン賞受賞。2007年逝去。
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「大量データストリームの類似探索手法」
[論文誌Vol.48, No.SIG7(TOD33), pp. 1-14 (2007)]
[論文概要]
現在データストリームを利用したアプリケーションに対する注目が様々な分野で集まっている.データストリームを処理するには今までにない新しいアプローチが必要であるが,本論文ではその中で流入する複数の任意長のシーケンスのうち類似した組み合わせを探索する問題について取り組んだ.本論文では
(1) シーケンスの特徴量をメモリ内で保持し,(2) 圧縮されたシーケンスをディスク内に保持する手法 DAPSS
を提案した.DAPSS を検証した結果ナイーブな手法と比較して高速かつ省メモリに処理が行えることを確認した.
[推薦理由]
本論文は、大量データストリームの活用という近年重要性を増している話題に関し、並行流入する多数のストリーム群から、部分的に類似するシーケンスをアドホックに検索・列挙するという、有用性のある新たな問題を定式化し、その解法を提案している。提案方式は、1次記憶上に保持した、任意長の直近部分シーケンス間のユークリッド距離を精度よく見積り可能な特徴量と、基準点としてランダムに選択した複数のシーケンスからの距離の下限値により枝刈りを行う点に特徴がある。このように問題設定・解法に新規性があり、また、照合する部分シーケンスの長さと類似判定の許容範囲を任意に変更可能な自由度を確保した上で、メモリ効率のよい高速で厳密な類似検索を実現している点が示唆的で、今後の発展が期待されることから、本論文を論文賞に推薦する。
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藤原 靖宏 君
2001年早稲田大学電気電子情報工学科卒.2003年早稲田大学大学院理工学研究科修士課程終了.同年日本電信電話株式会社入社.DEWS2006優秀論文賞,平成19年度電子情報通信学会論文賞各受賞.時系列データ処理の研究開発に従事.電子情報通信学会,日本データベース学会各会員. |
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櫻井 保志 君
1991年同志社大学工学部電気工学科卒業,同年NTT入社.1999年奈良先端科学技術大学院大学博士後期課程修了.工学博士.2004年から2005年までカーネギーメロン大学客員研究員.現在,NTTコミュニケーション科学基礎研究所主任研究員.平成16年度情報処理学会論文賞,平成18年度長尾真記念特別賞,平成18年度日本データベース学会上林奨励賞など受賞.索引技術,データストリームの研究に従事. |
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山室 雅司 君
昭和62年早稲田大学大学院理工学研究科数学専攻修士課程修了.同年日本電信電話株式会社入社.平成2年コロンビア大学大学院電気工学研究専攻修士課程修了.以来ネットワーク設計法,データベース設計・可視化,マルチメディア情報検索,デジタル情報流通基盤の研究開発に従事.博士(工学).平成6年電子情報通信学会学術奨励賞.電子情報通信学会,日本ソフトウェア科学会,日本データベース学会,IEEE−CS各会員.情報処理学会情報規格調査会理事. |
「On the Properties of Evaluation
Metrics for Finding One Highly Relevant Document」
[論文誌Vol.48, No.SIG14(TOD35), pp. 29-46(2007)]
[論文概要]
Traditional information retrieval evaluation relies
on both precision and recall. However, modern search environments
such as the Web, in which recall is either unimportant or
immeasurable, require precision-oriented evaluation. In particular,
finding one highly relevant document is very important for
practical tasks such as known-item search and suspected-item
search. This paper compares the properties of five evaluation
metrics that are applicable to the task of finding one highly
relevant document in terms of the underlying assumptions,
how the system rankings produced resemble each other, and
discriminative
power. We employ two existing methods for comparing the discriminative
power of these metrics: The Swap Method proposed by Voorhees
and Buckley, and the Bootstrap Sensitivity Method proposed
by Sakai. We use four data sets from NTCIR to show that,
while P(+)-measure, O-measure and NWRR (Normalised Weighted
Reciprocal Rank) are reasonably highly correlated to one
another, P(+)-measure and O-measure are more discriminative
than NWRR, which in turn is more discriminative than Reciprocal
Rank. We therefore conclude that P(+)-measure and O-measure,
each modelling a different user behaviour, are the most useful
evaluation metrics for the task of finding one highly relevant
document.
[推薦理由]
近年、Web検索のように、検索要求に高く適合する文書が少数であっても簡単に見つかることが望まれる情報検索タスクの重要性が増している。検索技術のレベル向上には、検索方式の優劣の定量評価が不可欠だが、この種のタスクにおける検索品質評価に適した指標が何かという問題に明確に答える研究はなかった。本論文は、この問題に対して最高水準の答えを与えるものであり、著者による新規指標を含む主要指標を、大規模な検索システム評価実験データに基づき、体系的に比較した結果を報告している。確固とした実験に裏づけられた知見には説得力があり、指標評価の方法論の完成度も高く、さらに、各指標のサーベイ面でも情報が豊富である。このように、当該研究分野内外いずれにとっても極めて高い価値を有することから、本論文を論文賞に推薦する。
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Tetsuya Sakai 君
1968年生.1993年早稲田大学大学院理工学研究科工業経営学専門分野修士課程修了.同年(株)東芝入社.以来,情報アクセス・言語処理の研究開発に従事.2000年工学博士.2000年〜2001年英ケンブリッジ大学客員研究員.2007年より(株)ニューズウォッチ自然言語処理研究室室長.平成18年度論文賞および山下記念研究賞,FIT2005論文賞など受賞.
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「送信者に認証機能を付加したブロードキャスト暗号とその応用」
[論文誌Vol.47, No.11, pp. 2992-3004 (2006)]
[論文概要]
ブロードキャスト暗号とは,多数のユーザが存在する中で,送信者が選択したユーザのみに対し,ブロードキャストチャネルを通して安全かつ効率的にデータを配布する技術であり,有料放送など著作物の配信に有効である.本稿では,送信者が自身の秘密鍵を用いて暗号文を生成することにより,受信者が送信者の本人認証とメッセージ認証を行うことができる方式を提案する.さらに,提案方式を応用し,1-out-of-n署名と検証者指定署名の特徴を併せた署名方式が構築できることを示す.両方式は,いずれも暗号文や署名のサイズがnに依存せず固定長となり,チャネルの帯域が制限された環境に適している.
[推薦理由]
音楽、画像、映像などのディジタルコンテンツの普及に、衛星放送などの放送型通信サービスが多大なる影響を与えている。この放送型通信サービス、特に、有料の放送型通信サービスにおいて、適切なコンテンツ配信を実現するために、料金を支払った利用者へのアクセス権限の動的かつ効率的な付与方法の研究開発が盛んである。しかし、既存研究のほとんどは、この権限付与を実現する方式の議論に留まっており、安全なコンテンツ配信に欠かせないコンテンツ送信者の特定方法に関する議論が全くといってよいほどなかった。これに対して、著者らは、この送信者認証の必要性に着目し、認証機能の付与された放送型の暗号方式の効率的な構成方法を示している。加えて、提案方式を応用した匿名署名方式も構成している。このように、本論文は、今後の放送型通信サービスの健全な発展に
欠かすことのできない重要な題材を取り上げており、今後の本分野の研究開発に大きく貢献するものといえる。
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金沢 史明 君
2003年東京理科大学理学部応用数学科卒業.2005年北陸先端科学技術大学院大学情報科学研究科博士前期課程修了.2008年筑波大学大学院システム情報工学研究科博士後期課程修了.博士(工学).同年特許庁入庁.暗号とその関連技術に興味を持つ.情報処理学会平成18年度山下記念研究賞受賞.情報処理学会,電子情報通信学会,各会員.
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岡本 健 君
2002年北陸先端科学技術大学院大学博士後期課程修了.博士(情報科学).同年東京電機大学理工学部情報科学科助手,2003年筑波大学大学院システム情報工学研究科講師,2008年筑波技術大学保健科学部准教授,現在に至る.情報セキュリティ,暗号とその応用に関する研究に従事.著書に『Linuxハンドブック』(オライリージャパン:共訳)等.
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猪俣 敦夫 君
2002年北陸先端科学技術大学院大学博士後期課程修了.博士(情報科学).同年日本テレコム(株)情報通信研究所, 2004年(独)科学技術振興機構研究員,2008年奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科特任准教授,現在に至る.光伝送制御技術,情報セキュリティに関する研究に従事.情報処理学会,電子情報通信学会,教育システム情報学会,
情報ネットワーク法学会各会員.
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岡本 栄司 君
1973年東工大・工・電子卒.1978年同大学院博士課程了.工博.同年日本電気中央研究所入社.その後, 北陸先端大, 東邦大をへて2002年より筑波大教授.情報セキュリティの教育・研究に従事.1990年電子情報通信学会論文賞,1993年本会ベストオーサ賞受賞.著書「暗号理論入門」(共立出版),「電子マネー」(岩波書店)など.
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「片方向リンクの存在するアドホックセンサネットワークにおけるTDMAスロット割当て手法」
[論文誌Vol.48, No.1, pp. 342-355 (2007)]
[論文概要]
無線通信方式の一つであるTDMA方式は、トラヒック量にかかわらず衝突の発生しないパケット転送が実現できるため、アドホックセンサネットワークへの適用が有効である。本論文では、筆者らがこれまでに提案した、無線通信帯域を効率的に利用するTDMAスロット割当て手法を拡張し、端末ごとの無線通信範囲が異なる環境においても、帯域利用効率を高く保つ手法を提案する。提案手法では、各端末が、隣接端末との無線リンクの方向を考慮したスロット割当てを行うことにより、割当て情報の不整合の発生を抑制する。また、シミュレーション実験を行い、提案手法の有効性を示す。
[推薦理由]
本論文は、片方向リンクを有するアドホックネットワークにおいて、筆者らが提案するネットワーク帯域を効率的に利用するためのTDMAスロット割り当て手法ASAP-UNについて、評価により従来方式と比べてパケット衝突の発生が大幅に減少することを明確な論文構成により示している。アドホックネットワークでは個々の端末の通信性能が異なることにより片方向のリンクが生じ、その存在の元での効率的な通信プロトコルが求められてきた。特にセンサーネットワークに適用する場合は、電力消費の観点からもパケット損失の少ない通信プロトコルが重要となる。ASAP-UNはTDMAにおける効率的なスロット割り当てにより、このパケット損失を大幅に減少しており、学術的のみならず実用的にも有用性が高いと考えられる。以上の理由により本論文を論文賞に推薦する。
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神崎 映光 君
2004年大阪大学大学院情報科学研究科博士前期課程修了。2006年同大学院助教、現在に至る。博士(情報科学)。無線ネットワーク、通信プロトコル、分散処理に関する研究に従事。IEEE、電子情報通信学会、日本データベース学会の各会員。 |
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原 隆浩 君
1997年大阪大学大学院工学研究科博士前期課程修了。2004年同大学院准教授、現在に至る。工学博士。1996年山下記念研究賞、2000年電気通信普及財団テレコムシステム技術賞、2003年研究開発奨励賞受賞。ネットワーク環境上のデータ管理技術に関する研究に従事。IEEE、ACM、電子情報通信学会、日本データベース学会各会員。 |
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西尾 章治郎 君
1980年京都大学大学院工学研究科博士後期課程修了。工学博士。2002年大阪大学教授、現在に至る。2007年大阪大学理事・副学長。電子情報通信学会業績賞・論文賞、人工知能学会論文賞等を受賞。データベース、マルチメディアシステムの研究に従事。本学会および電子情報通信学会フェロー。ACM、IEEE等8学会の会員。 |
「感性語を媒介にした香りコミュニケーションモデル」
[論文誌Vol.47, No.12, pp. 3414-3422 (2006)]
[論文概要]
オープンな香りコミュニケーションシステムを構築するにあたって,香りの基底が発見されておらず,香り情報を一意に表現する方法がないため,送り手側と受け手側との間で正確な香り情報を交換するのは極めて困難である.この問題に対する一つのアプローチとして,映像や音声の雰囲気を伝える香りである背景香の概念を導入し,背景香の通信に香りの印象を表現する形容詞(香りの感性語)を用いるコミュニケーションモデルを提案した.実験の結果,背景香として異なる香りを用いても,これらの香りに対応する感性語の距離が近い場合,映画の印象を同じように増す効果があることが確認できた.
[推薦理由]
本論文は,遠隔地間の「香りの伝達」のために,感性語を媒介したコミュニケーションモデルの提案に関する論文である.近年,五感情報通信は注目を集めているものの,嗅覚情報の伝達は,香り情報の表現手法が確立されていないため困難である.本論文で提案されたオープンな香りコミュニケーションモデルでは,送信側が感性語を用いた抽象的な香りの表現を用い,受信側は各人の香り発生装置を用いることで,香りの伝達を行うことが可能となる.映像とともに香りを提示する実験を行い,適切な香りの提示を行うことによ
り,映像の印象を増すことを示した.システムそのものはプロトタイプ段階ではあるが,「香りの伝達」という新しい領域を切り開く
高い新規性を示しており,論文賞に値する.
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坂内 祐一 君
1980年早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了.1988年ミシガン州立大学コンピュータサイエンス学科修士課程修了.2007年慶應義塾大学大学院理工学研究科後期博士課程修了.博士(工学).1980年キヤノン(株)入社.画像処理,ヒューマンインタフェース,グループウェア,複合現実感等の研究開発に従事.ICAT’07最優秀論文賞受賞,日本VR学会会員.
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石澤 正行 君
2005年慶応義塾大学理工学部情報工学科卒業,2007年同大学院理工学研究科修士課程修了,
2007年キヤノン(株)入社.現在同社においてヒューマンインタフェースの研究開発に従事
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重野 寛 君
1990年慶應義塾大学理工学部計測工学科卒業.1997年同大学大学院理工学研究科博士課程修了.現在,同大学理工学部情報工学科准教授.博士(工学).ネットワークプロトコル,ネットワークセキュリティ,マルチメディアアプリケーション等の研究に従事.著書「コンピュータネットワーク」(オーム社)
等.電子情報通信学会,IEEE,ACM各会員.
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岡田 謙一 君
慶應義塾大学理工学部教授,工学博士.専門は,CSCW,グループウェア,ヒューマン・コンピュータ・インタラクション.現在,情報処理学会MBL研究会運営委員,BCC研究グループ主査,日本VR学会理事,CS研究会委員長.情報処理学会論文賞(1996,2001),情報処理学会40周年記念論文賞,日本VR学会サイバースペース研究賞,IEEE
SAINT’04最優秀論文賞を受賞.情報処理学会フェロー.
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「Acquisition and
Rectification of Shape Data Obtained by a Moving Range Sensor」
[論文誌Vol.48, No.SIG9(CVIM18), pp. 21-38(2007)]
[論文概要]
巨大物体の計測では,空中からの計測が効果的な計測手法のひとつと考えられている.そのため,われわれは気球にレンジセンサを搭載した計測システムを開発した.しかし,このような計測形態では,計測中にレンジセンサが動くため,距離データが歪んでしまう.そこで,本論文では,このような移動型レンジセンサから得られる歪んだ距離データを補正する2つの手法を提案した.ひとつは計測プラットフォームにビデオカメラを搭載し,画像列と歪んだ距離データとを組み合わせることによって,高精度な運動パラメータを求め,歪みを補正する手法である.もうひとつは,地上固定型のレンジセンサによるデータとの位置合わせを利用することによって,移動型レンジセンサのデータを補正する手法である.これらの手法を実際に巨大文化遺跡の計測に適用し,デジタルアーカイブ化に有効であることを示した.
[推薦理由]
本論文は、世界遺産の遺跡のような大規模な対象の全体形状を、Floating Laser Range
Sensor(FLRS)を用いて、細部まで極めて正
確に獲得する方法を提案している。気球にレーザ測距装置を搭載したFLRSはその機構上揺動が不可避であり、従来の手法では正確な三
次元形状を復元することは困難であった。著者らは揺動時に見られる測量結果の特性を数学的にモデル化することに成功し、それに基
づいて実際に大地に広がる遺跡のような対象を全て三次元モデルとして再構成できることを実証した。本論文が提案する手法は世界的
に見ても第一線の科学技術であり、理論の美しさと実効性のある実証とが両立されている点、および情報処理技術の成果を一般社会に
還元している点、の各方面から見て、論文賞に相応しい技術であると判断する。よって、本論文を論文賞に強く推薦するものである。 |
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阪野 貴彦 君
1994年 東大・工・航空宇宙工卒.1996年 同大大学院・工・航空宇宙工修了.同年 警察庁科学警察研究所.2005年
日本学術振興会特別研究員.2006年 東大大学院・情報理工・電子情報学修了.博士(情報理工学).現在,東大生産技術研究所.主として3次元計測・復元,動画像解析に関する研究に従事.平成17年度情報処理学会山下記念研究賞受賞. IEEE,情報処理学会 各会員
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池内 克史 君
1973年 京大・工・機械卒.1978年 東大大学院・工・情報工学博士了.工学博士.MIT 人工知能研究所,電総研,CMU
計算機科学部を経て,1996年 より東京大学生産技術研究所教授.現在,同大情報学環教授.人間の視覚機能,明るさ解析,物体認識,人間による組立作業の自動認識,文化財のディジタル保存,ITS
などの研究に従事.論文賞(ICCV-90, CVPR-91, AIJ-92, ロボット学会誌-97, IEEE R\&A
誌-98, 情報処理学会論文賞-H17)等受賞.人工知能学会,日本ロボット学会,日本バーチャルリアリティ学会,OSA,IEEE
各会員(Fellow) |
「並行プログラミング言語へのチャネル使用法宣言の導入」
[論文誌Vol.48, No.SIG10(PRO33), pp. 101-113(2007)]
[論文概要]
並行プログラムのデッドロック等の性質の検証のため,使用法表現という通信チャネルの使われ方を表す式を型推論によって求める枠組みが小林らによって提案されている.本研究では,使用法表現をプログラマが宣言できるようにこの型システムを拡張することで,通信がプログラマの意図どおりに行われるかどうかを静的に検証できるようにする.拡張に当たっての主な課題は,使用法表現間の部分型関係判定アルゴリズムの構築である.部分型関係は一般に決定不能であるため,宣言できる使用法を制限し,部分型関係判定問題をペトリネットの到達可能性判定問題に帰着する.
[推薦理由]
並行プログラムの通信チャネルが正しく使われているかを型によって判定する方法を提案している.この型は単に送受信されるデータの型のみではなく,チャネルが送受信に使われる回数なども指定することができる.これにより,システムの動作を静的に検証することが可能になる.本論文では,チャネルの使用方法の表現力が従来よりも高くなっており(正規言語から決定性ペトリネット言語に拡張されている),その判定アルゴリズムをペトリネットの到達可能性問題に帰着するなど,十分な新規性がある.また,この型検査アルゴリズムを並行プログラミング言語Pictに試験的に実装するなど,今後実際の並行プログラムの検証への適用が期待できる.理論的にも実用的にも興味深く,論文賞に値する論文である. |
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須藤 崇 君
1983年生まれ。2008年東北大学大学院情報科学研究科情報基礎科学専攻博士課程前期2年の課程修了。同年よりパナソニックITS株式会社に勤務。
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小林 直樹 君
1968年生.1991年東京大学理学部情報科学科卒.1993年同大学大学院理学系研究科情報科学専攻修士課程修了,同年博士課程進学.東京大学大学院理学系研究科情報科学専攻助手,講師,東京工業大学大学院情報理工学研究科助教授を経て2004年より東北大学大学院情報科学研究科教授,現在に至る.博士(理学).型理論,プログラム解析,並行計算などに興味を持つ.ACM,情報処理学会,各会員.2001年IFIP
TC2 Manfred Paul Award,2003年日本IBM科学賞受賞. |
「Network-on-ChipにおけるFat H-Treeトポロジに関する研究」
[論文誌Vol.48, No.SIG13(ACS19), pp. 178-191(2007)]
[論文概要]
Fat H-Tree は Fat Tree の代替として提案されたツリー型トポロジであり,2個の H-Tree
から成るトーラス構造を内包している.本論文では,Fat H-Tree 向けのルーティングアルゴリズムを提案し,Fat
H-Tree トポロジの性能およびハードウェア量を他のツリー
型トポロジと比較する.さらに,3次元構造を持ったIC向けに Fat H-Tree のレイアウト方法を提案し,Fat
H-Tree の2次元および3次元レイアウトについて配線量と消費エネルギーを評価する.その結果,Fat H-Tree
は同規模の Fat Tree よりも配線量が若干多いものの,面積,性能,消費エネルギーの点で Fat Tree
よりも有利であることが分かった.
[推薦理由]
本論文は、計算機システムの高性能ネットワークに対して、Fat H-Treeと呼ばれるトーラスと木を内包した方式を提案し、その最短経路のルーティングを求めている。方式とアルゴリズムは新規性が高いだけでなく、ハードウェアとして実装した上で、実際的なベンチマークプログラムにより評価することで、性能、ハードウェア量、消費電力などを明らかにしており、有用性も高い。また、3次元LSIにおけるレイアウトの提案についても触れており将来性も高い。以上の理由により論文賞に相応しいと判断する。
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松谷 宏紀 君
平成16年 慶應義塾大学環境情報学部卒業.平成20年 同大大学院理工学研究科開放環境科学専攻博士課程修了.博士(工学).現在,同大大学院理工学研究科訪問研究員.平成18年度より日本学術振興会特別研究員.チップ内ネットワークの研究に従事. |
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鯉渕 道紘 君
平成12年 慶應義塾大学理工学部情報工学科卒業.平成15年 同大大学院理工学研究科開放環境科学専攻博士課程修了.博士(工学).平成14年度より16年度まで日本学術振興会特別研究員.現在,国立情報学研究所助教,総合研究大学院大学複合科学研究科情報学専攻助教(兼任).相互結合網と並列処理に関する研究に従事.IEEE,電子情報通信学会会員. |
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天野 英晴 君
昭和56年 慶應義塾大学工学部電気工学科卒業.昭和61年 同大大学院工学研究科電気工学専攻博士課程了.工学博士.現在,慶應義塾大学理工学部情報工学科教授.計算機アーキテクチャの研究に従事. |
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